9月10日(土) 中秋の名月
鹿児島の夜は予報では曇り。だが夜8時頃には綺麗に晴れた。昨年買った天体望遠鏡を月に向けた。妻も参加して年齢順に覗いた。
ウサギがいたと長男が喜んだ。特に大きく感動もせず次男は離れた。望遠鏡に触って位置をずらした娘は兄に叱られて泣いた。
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『玉葉和歌集』をめくりながら心にとまった月の歌。
ススキに良く似た姿の荻が風に吹かれて一面伏せている。荻は露でしとどに濡れている。露の一粒一粒に月の光が宿る。その景色を親子は「月敷く」と詠んだ。大胆だ。
僕の脳裏に浮かぶのは玉砂利のように辺り一面みっしりと敷かれた光の玉だ。溢れるほどの光では無いだろう。一つ一つは星の光のようにかそけき光だ。幻想的で美しい。同時に弱々しく儚い。親子に「寂しき」と言わせたのは風に吹かれれば飛んで行く露の弱さが念頭にあったものだろうか。
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月光を浴びた葡萄は少し冷えそれから少し甘くもなった
月夜の葡萄畑の幻想。