#3 頃は(後編)
どうも 綴人です。
前回に引き続き、「頃は」の段についてのお話。
お気づきかもしれませんが、この段は基本的に時節にあった風雅な宮中の様子について述べられています。
前回は正月ごろのお話、今回は三月以降のお話です。
除目という、今でいう辞令のようなものが発表される時期に、
「中宮様によろしくお伝えください。何なら、帝にも」
と口利きを頼んでくる人が、清少納言たちのもとを訪れます。
彼女たちも、彼女たちなりの目利きで、男性貴人の評判を中宮に伝えます。
するとそれを、主人、つまり帝に伝えてくれるという仕組みのようです。
余談ですが、当時の社会の仕組みを少しだけ説明すると、
帝を中心とする男性貴人の場として、清涼殿が挙げられます。
ここは、政治はもちろん、文化的な発信地としての役割ももっています。
対して、中宮を中心とする女性たちの場として、後宮が挙げられます。
ここは、政治というよりも、もっぱら文化の中心地としての役割をもっていました。
そして、男性の場である清涼殿で話題となった女性は、帝を通して中宮に伝わり重宝され、女性の場である後宮で話題となった男性は、中宮を通して帝に重宝される、という仕組みだったようです。
さて、本題に戻ります。
春にはもう一つ、大きなイベントがあります。それが賀茂神社のお祭り。
この頃になると、普段は元気子どもたちも、晴れ着を着て、どこか大人しくなり…と清少納言の目を通した春先の情景の鮮やかな描写が読み取れます。
今回のように、ただ何となく章段の解説で終わってしまうことがあるのも、ご了承ください。
そこにも、清少納言の鮮やかな感性が秘められていることは間違いありません。どうか、そういった場面では、ご自分で読んでみてほしいのです。
それでは、また次回。
良い一日を