
『レスパイトケア』疲れる前に休みましょう。
今、誰かの介護をしているあなた。
胸に手をあててみてください。
体は疲れていませんか?
心は疲れていませんか?
「まだ大丈夫」
そう答えたあなた、
その大丈夫、本当に大丈夫ですか?
そんなあなたへ、
これから『レスパイトケア』の話をしたいと思います。
『レスパイトケア』とは?
一般的には、あまり聞いたことのない言葉だと思います。
レスパイトケア(英: Respite care)は、子どもまたは大人を介護する人に提供される計画的、もしくは緊急の、一時的なケアである。言い換えれば、「ケアする人のケア」である。Respiteは英語で「小休止」の意味。
つまり、介護をする人は休みましょう、ということなのです。
介護を必要としている人には、必ず、介護をしている人がいます。
それは、いちばん近くにいる家族です。
日々の介護で、疲れ切ってしまう前に、介護をする人に休息を。
これが、『レスパイトケア』という考えです。
サービスを利用して休む
では、どうすれば休めるのか?
介護の場合、主に以下のようなサービスがあります。
①デイサービス(通所介護)
②ショートステイ(短期入所生活介護)
③ホームヘルプ(訪問介護)
④レスパイト入院(介護家族支援短期入院)
①〜③は介護保険で、
④は医療保険で受けられるサービスです。
わかりやすく、詳しい説明がされている記事はこちら↓
とはいえ、どんな時に、どれを利用すればいいの?
そんな時は、担当のケアマネージャーに相談してみてください。
「買い物に行きたい」
「友だちと旅行に行きたい」
「映画を見に行きたい」
きっと、それぞれの希望にあったサービスを、提案してくれると思います。
ここまでで、『レスパイトケア』について、少しわかってきたでしょうか?
次は、『レスパイトケア』の実例として、私の母の話を書きたいと思います。
デイサービスを利用しよう
【前置き】
私は介護福祉士として、高齢者施設で介護の仕事をしています。
ですので、介護サービスの知識はある程度あり、父が認知症とわかったと同時に、何かしらのサービスは利用しようと考えていました。
「ゆっくりテレビが見れない」
父がアルツハイマー型認知症とわかり、実家へ様子を見に行った時、母が私にこう言いました。
「お父さん、しょっちゅうチャンネル変えるから、ゆっくりテレビが見れないのさ」
どうやら父は、ずっと同じ番組をみることはせず、リモコンで、何度もチャンネルを変えるらしいのです。
「でもなぜか、野球はずっと見てるから、
私も野球ばっかり見てるわ。まあ、ファイターズ応援してるからいいかな」
母はそう言って笑っていました。
「これはいかん。早急に手を打たないと、母のストレスがたまっていく」
私の経験からくる直感が走りました。
早速、介護サービスを利用するため動き出しました。
“ケアマネージャーを決め、
デイサービスを利用したいと相談、
いくつか施設を紹介してもらい、
父に合いそうな所を決め、
ケアプラン(介護計画書)を作ってもらい、
担当者会議をし、
デイサービスの契約をする”
仕事を調整しながら実家に通い、
なんとか、ここまでたどり着きました。
(サービスを利用するまでの詳しい過程は、またいつか書きたいと思っています)

「おいしいカレー屋さんができたんだって」
無事、デイサービスを利用して、ゆっくりテレビを見る時間ができた母。
父も、ずっと家にいるよりは良いみたいで、結構、楽しんで通っています。
そんなある日、父が出かけている間に、買い物へ行くことにしました。
庭で使っているホースがこわれてしまい、
買いたいけど、大きくて重いので、自分では買ってこられないと、母からのヘルプ。

それと、
「ホームセンターのとなりに、おいしいカレー屋さんができたんだって」
ホースを買ったあと、そのカレー屋に行きたいとリクエストがありました。
そういえば、父が認知症になってから、外へご飯を食べに行くなんて、全然できなくなっていたことに気づきました。
以前は、アクティブで色んな場所へ出かけたり、おいしいものを食べに行ったりしていた母。
私が、もう少し近くに住んでいたら、買い物も、外食も、もっともっと連れて行ってあげられるのに。
きっと、ずっと我慢していたんだろうな。
そう思うと、胸がチクっとしました。
ホームセンターでホースを買い、例のカレー屋へ。
おいしそうにカレーを食べる母を見て、
「もう少し、こういう時間を作ってあげたいな」
反省した、50過ぎの娘です。

がんばっている “ごほうび”
介護をする人にとって、
『レスパイトケア』はとても大切なケアです。
介護は終わりが見えません。
途方にくれる日々が続きます。
小休止。
体や気持ちがリフレッシュできる大事な時間。
しかし、介護から完全に解放されるわけではありません。
大変でつらい現実に引き戻されます。
この長い長い、出口の見えないトンネルを、一気に突き進もうとすると、途中で倒れ込んでしまうかもしれません。
だからこそ、休みながら進む。
休むことは、サボることではありません。
いつもがんばっている "ごほうび" です。
あなたが大切に守っている人のために、
あなたを守ってほしい。
『レスパイトケア』
疲れ切ってしまう前に、休みましょう!