そして父になる
5月30日
僕と妻が付き合った日であり、結婚記念日でもある日
結婚して3年を迎えた昨日、同じく5月30日
娘が生まれた。
学生芸人をやっていた時の相方からは、「おめでとう」の言葉とともに映画の『そして父になる』のポスター画像が送られてきた。
「他人の子では無い」と返す。
「タイトルだけ拾ってくれ」と相方。
詰めが甘い。
コロナの影響もあり、立会どころか病院内にも入れず迎えた出産。
病院に送り届けたあと、子どものための貯蓄口座を開設し、安産祈願をしてもらった神社にダメ押しで祈りに行った。
あなたは神を信じますか、と聞かれたら即答できないが、それでも最後は神頼み。
ただひたすら妻と子が無事であることを祈った。
男はどのタイミングで父になるのだろうと疑問だった。
男は父親になる自覚が芽生えるのが遅い、なんて話はよく聞く話で、僕はそれをとても恐れていたように思う。
妻のお腹がどんどん大きくなっていくのを見ながら、果たして自分は妻と同じスピードで親になれているのだろうかと思っていた。
そんな不安を少しでも消したくて、様々な育児書を買っては読んだ。
知識を身につけ、知らなかったことを知るようになり、妻の身体に今起きていることを知って必死に妻の横に並ぼうとした。
ああそうか、今思えば父になろうとしていたのではなく、夫として寄り添っていたんだな。
では、いつ父になるのだろう。
戸籍上の話をしてしまえば、まだ出生届を出していないから父では無いということになってしまう。
では、生まれたその瞬間に父になるのだろうか。
だとすれば、僕はもう父なのだろうか。
妻からLINEが届いた。
力強く泣く娘がそこにいた。
小さい手足を動かして、確かに生きている。
こんな生命がお腹に宿っていたのか。
すごいな、頑張ったなあ。
そうLINEの返事を打っていたら涙が出てきた。
「パパは泣き虫」という言葉が頭に浮かんだ。
なんだ、僕はもう自分のことを父だと思えてるじゃないか。
自然と浮かんだ言葉を噛み締めながらそう思った。
親に報告をしたら父親からLINEで返事が来た。
なんでこんな詩みたいな文章なのかはわからないが、この言葉には不思議な力がある。
とっくに独り立ちし、大人になったと思っていたけれど、自分が父になると同時に子では無くなったような、そんな気がした。
僕は今、父としてのスタートラインに立った。
恐らくようやく父に“なった”。
ただ「父になる」ことがゴールでは無さそうだ。
これからの毎日では、きっとわからないことや困ること、泣きたくなるようなことが待っていると思う。
そういった日々を歩んでいくことで、徐々に深まっていくんだろうな。
「父を深めていく」
うん。意味がわからないけれど、なんだか悪くない気がする。
子どもがどんな道を歩んでも構わないけれど、
子どもの選択肢を親のせいで狭めることが無いように。
少しでも多くの可能性を与えてあげたい。
頑張ろう。
今まで以上に。
頑張ろう。
笑顔で楽しく。
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