冬の食事づくりに欠かせない『鍋帽子』。大正時代にルーツのあるアイテムが、令和にもフィットするわけ。
シチュー、おでん、ポトフ…。寒い冬は、身体が温まる煮込み料理の登場回数がぐんと増えます。
そこで活躍してくれるのが『鍋帽子』(全国友の会振興財団登録商標)。短時間加熱した鍋にかぶせて使う、保温調理グッズです。レトロなたたずまいがかわいいこのアイテムは、結婚するときに母が持たせてくれました。
鍋帽子の原型が生まれたのは、なんと今から100年以上前。大正時代の婦人向け雑誌に、特集記録が残っているそう。「保温調理している間に他の家事ができる」とうたわれていたようで、まさに「家事の効率化」グッズのパイオニア的存在…?
実家の母が使っていて、あるのが当たり前だったこともありますが、改めて書き出してみるとメリットがたくさん。
① おいしく仕上がる。
→ 穏やかに加熱されるので、うまみ成分やかおり、風味が失われにくい。
② ガスや電気が不要。光熱費が節約できる。
→さまざまなものの値上がりが続く今、これは魅力的なポイントです。煮込み料理の場合、火にかける時間を1/2〜1/4に短縮できるとの実験結果も。
③ 保温中はほったらかしでOK。他のことに時間を使える。
→鍋帽子に入れたら、後は置いておくだけで大丈夫。コンロが1つ空くので、別の料理をつくったり、他の家事をしたり。調理時間は、ポトフなら(沸騰後)5分加熱→1〜1時間半保温。クリームシチューは、9分加熱→30分保温というぐあい。
③ 手持ちの鍋をそのまま使える。
→複雑な設定などは一切不要。ふだん使っている鍋にかぶせるだけでOKです。全国友の会で販売されている正規品は¥4,000前後で👇、専用鍋を買うのにに比べて導入コストが抑えられるのも◎。
④ お手入れが簡単。
鍋をふきんで包んでから鍋帽子をかぶせるようにすれば、ほとんど汚れません。ふだんのお手入れは、天気の良い日に干して湿気をとばすくらい。気になるときには丸洗いができるのも安心です。
などなど、本当にいいことずくめ。大正時代にルーツがある鍋帽子を、まさか令和でも使っているとは…。
唯一の難点は、そのサイズ。大きめのお鍋がすっぽり入るだけあって、存在感のある大きさです👇。コンパクトにたためるわけでもないので、それなりの収納スペースを確保する必要が。
でも、そのデメリットを大きく上回る働きっぷり。わがやでは、収納スペースが今より少なかった1K住まいの頃から、キッチンの良い位置に鎮座し続けています。
先日の夕食にも、鍋帽子を使って子どもたちが好きなおでんを煮込みました。大根が味しみしみでおいしかった…!
夕食以外でも、寒い季節は朝食に温かいスープが欲しくなります。前日の夕食準備のときに半端野菜を切っておいて、翌朝は(沸騰後)4分ほど加熱したら鍋帽子へ。材料にもよりますが、20分くらい保温すればOK。バタバタしがちな朝に火加減を見なくて済むのはとっても助かります。
10年前に母が持たせてくれたときは正直、「新婚だし、おしゃれな家電をそろえたキッチンにしたいのに、このほっこり感はちょっと…」と思ってしまいました。
いざ実家を出て、自分が料理をしないと食べるものがない状態になり、その実力を思い知ることに。
夫婦2人の暮らしに娘2人が加わってからは、さらに助けられる場面が増えました。夫が船員で、年の2/3はワンオペのわがや。娘たちが小さい頃は、生活をまわすのに必死でした。掃除や洗濯は少しくらいしない日があっても大丈夫。でも、食事づくりはそうはいきません。
そんな心身に余裕がなかった時期も、これがあったおかげで、保温している間に赤ちゃんのお世話に集中できたり、子どもを公園に連れて行けたり。これだけでだいぶ心が軽くなったのを覚えています。
今でもふとした瞬間に「娘たちが赤ちゃんの頃は、これでよくポタージュをつくったな」などの記憶がよみがえり、鍋帽子をエモいとさえ感じるほど(笑)。
今年も一気に冬らしい気候になった12月に入ってから、ほぼ毎日登場しているわがやのの一軍アイテム。食事をつくる回数が増える冬休みには、より稼働時間が長くなりそうです。
※鍋帽子に関するデータは、婦人之友社出版『魔法の鍋帽子』からお借りしました。
☆見出し画像は、500mlさんの作品をお借りしました。ありがとうございます。
・キッチンまわりの過去記事はこちら。合わせてお読みいただけると嬉しいです!