トレンドアパレルD2CにおけるLTV取り扱いの注意点
SaaS・インターネットビジネスの隆盛もあり、それらのビジネスでよく使われるLTV(Life Time Value=顧客生涯価値) > CAC(Customer Aquisition Cost=顧客獲得コスト)という方程式をSaaS以外の事業領域に応用しようとしている起業家・経営者の人も多いと思います。
一方で僕自身が実際にトレンドを扱うアパレル企業を経営するにあたってはLTVを過信しすぎるのは危険だと感じており、以前こんなつぶやきをしました。
つぶやきがいいたいことのほぼ全てではありますが、①月額課金型のビジネスではない、②シーズンによりトレンドが大きく変わる、③顧客にとって代替手段が多い上に乗り換えが容易といったアパレルビジネスにおいてLTVを当てにして過大にCACをかけることは得策ではないと思っています。
顧客がリピートするかどうかは、リピート促進施策以上に次のシーズンに透過する商品に大きく依存するため、顧客との一度の取引でも十分に利益が出る範囲にCACを抑えた方が長期的に成長し続けられるモデルではないかと考えています。
こういった話をすると初期にある程度のCACをかけて赤字を掘らないと急速に成長することが難しいとネットビジネス系の方は考えがちなように思いますが、自社の商品や他社のD2C商品を見ていても売れる商品を売れる販路にちゃんと置くことができればCACを抑えても飛ぶように売れて急成長するものです。
ここでの話はあくまでトレンドのあるアパレル商品に限っての話なので、トレンドのあまりない消費財・単品通販などについてはLTVからCACを計算して初期段階でCACをかけて顧客を取り切ることに合理性があるケースもあるでしょう。いずれにせよ、自社のビジネスの肝は何かを常に考えて、他業界の成功事例や方程式は鵜呑みにしすぎずに冷静に取り込むことが大事だと思います。