循環型社会に向けたママノの方針と取り組み。特にプラごみ問題の解決に向けて。 【随時更新】
✔︎ このnoteは随時内容を更新していきます。
✔︎ 正確な数字は環境省、国連等のデータを参照ください。
✔ 改善アイデアやデータの間違った部分などあればコメントください。
海洋汚染の問題は深刻だ。
世界では毎年約900万トンのプラスチックが海に流出しているとされ、海の生態系を壊し、私たち人間にも重大な影響を与えている可能性が高い。
日本のプラスチックゴミの海洋への流出量は年間6万トン、1位の中国は353万トン(環境省 平成30年)。2016年の世界経済フォーラムでは2050年までに世界の魚の総重量(約8億トン)を海洋プラスチックの総重量が超えると予測された。
海洋物理学を専門とする磯部教授の書いた「海洋プラスチック ごみ問題の真実」によれば、海鳥の59%の種類でプラスチックの誤食が既に発見されているが2050年には99%の海鳥からプラスチックが発見され、誤食が発見された海鳥に絞って調べると29%の鳥から誤食が確認されるが2050年には95%の鳥から誤食が発見されるだろうとしている。
ウミガメ、クジラなど多様な種がプラスチックゴミを誤食し死にいたるケースは世界中で報告され、さらにマイクロプラスチックと呼ばれる5mm以下に砕けたプラスチックをプランクトンが食べ、そのプランクトンを魚が食べ、それを人間が食べることによる健康被害への懸念も増大している。また、深海に蓄積したプラスチックが深海生物に与える影響や生態系全体に与える影響などわかっていないことも多い。
海洋研究開発機構の中嶋博士の「海洋プラスチック汚染」によれば、世界のプラスチック消費のうち47%が使い捨てプラスチックで、プラごみの半分をしめている。世界中で破棄されたプラスチックのうちリサイクルが9%、焼却が12%、埋立地もしくは自然環境への流出が79%としている。
日本の一人当たりの容器包装廃棄量はアメリカについで2位。現在ではプラスチックの分別プロセスや焼却機能の向上、埋立地の整備によって海洋流出量は6万トン(研究によっては14万トン)で中国の353万トンと比較すると差があるが、既に海に流出しているプラスチックゴミは過去のゴミであり、日本や他の先進国が発展過程でかなりの流出責任を負っていると予想できる。
日本でもプラスチックを分別をしているものの、実際にはリサイクル25%(国内は10%程度)、焼却して熱回収57%、焼却10%、埋立8%となっている。
2018年に廃棄プラスチックの洗浄過程による人体への健康被害などを理由に中国がプラスチックの受け入れを禁止し、日本やヨーロッパはプラスチックの行き場所を新たにアジアの国々に求めている。健康被害を他国にお金を払って押し付けている一面があるという構造を知ると、考えさせられる。見えていないから被害がないわけではないのだ。
欧州では2018年に使い捨てプラスチック禁止法案が可決された。
循環経済法で使い捨てプラスチックからの脱却を目指す(フランス)
フランスでは、2016年1月に他国に先駆けて使い捨てプラスチック製レジ袋の使用を禁止するなど、廃プラスチックへの取り組みを進めてきたが、2020年2月10日に制定された循環経済法で、取り組みをさらに強化することとなった。同法は、大量生産・大量消費・大量廃棄型から循環型の経済社会への転換を目指すもので、幅広い内容を含むが、柱の1つは、使い捨てプラスチックからの脱却になっている。2040年に使い捨てプラスチックの上市(市場への投入)を禁止するという長期的なゴールを設定し、個々の製品について、以下のような使用禁止のスケジュールが設定されている。
2020年1月1日:カップ、グラス、皿
2021年1月1日:ストロー、花吹雪、ステーキ用ピック、カップ用ふた、ナイフ・フォーク・箸などのカトラリー、マドラー、プラスチックのフィルムが付いた皿、発泡ボリスチレンの容器・ボトル、風船用スティック
2022年1月1日:ティーバッグ、野菜・果物の包装、新聞・雑誌・広告の包装、ファストフードの子供用メニュー向けのおもちゃ
2023年1月1日:ファストフードでのカップ、グラス、カトラリー(再利用可能なものと置き換え)
プラスチックの中でも生分解性プラスチックならいいのではというと、そうでもない。本の中で紹介されている”生分解性プラスチック”の問題点は3つ。
① 高温多湿の土壌で分解されものがほぼ。海では数百年から数千年分解されない。
② 仮に海洋分解性があったとしても長い時間がかかりすぎて分解する前にマイクロプラスチックになってしまう
③ 生分解性という言葉が誤解を与えやすい
ここまでが2冊の本とインターネットでリサーチした結果。ある程度の認識を得たことで、すぐに行動しなければいけないという思いを強くした。
ママノという小さなチョコレート店においてできることを調べながら実施していく。noteに記録することでリサーチ結果などをお店を運営する人や、購入する人の意思決定の後押しになれば嬉しい。
基本方針は以下3つ。
1. 使い捨て包装の量の削減
2. 使い捨て包装の素材の改善
a. 原材料調達の持続可能性
b. 廃棄後のリサイクル率や自然環境流出時の影響
3. 商品の品質とお客様の気持ちを大切にする
カテゴリは商品包装、商品発送、その他消耗品の3つに分けて改善していく。
商品包装
●生チョコレート
剣ピック
∟現状 ポリスチレン、クローム蒸着+OPP袋(Oriented Polypropylene)
→改善① OPP袋に包まない...2020年11月から実施
→改善② ピック提供終了...2021年1月から実施
生チョコ箱の仕切り
∟現状 プラスチック素材
生チョコ接地面に貼っているシート
∟現状 OPP(プラ)...OPPを載せない状態でのチョコレートの変化を確認中
●ボンボンショコラ
∟現状 チョコレート+OPPシート+グラシンクッション
→改善 チョコレート+グラシンクッションに2020年12月から変更
●カードチョコレート、クッキー単品用袋
∟現状 OPP(プラ)袋
●パレットショコラ
スタンドパック
∟現状 OPP袋+クリアケース+紙製スタンドパック
→改善 紙+プラのスタンドパックに変更...2021年1月から変更
ミニ袋
∟現状 OPP(プラ)袋
●オレンジの恵み
スタンドパック
∟現状 OPP袋+クリアケース+紙製スタンドパック
→改善 紙+プラのスタンドパックに変更...2021年1月から変更
ミニ袋
∟現状 OPP(プラ)袋
商品発送
商品を包むプチプチ...2021年1月終了
緩衝材は紙製に変更...2021年1月から実施
リーフレットと納品書をいれるOPP袋をクラフト袋に変更...2021年1月から実施
参考)オンラインショップの梱包方法が変わります。
その他消耗品
保冷剤
保冷袋
保冷袋(エサノン)
改善を始めたばかりなのでまだプラスチック素材の使用箇所の羅列になっているが、1つのお店でもこれだけのプラスチックを使用している。
チョコレートを扱うお店として、酸素バリア性、フレーバーバリア性、遮光性などが非常に重要で、同じチョコレートでも美味しい状態を長く安定的に維持することができる。
プラスチックは安価で高機能。素材として素晴らしいと改めて感じる。しかしプラスチックの海洋汚染は深刻であり改善する必要があるし、プラスチックの90%は石油から作られているため2050年の脱炭素社会に向けて石油製品のプラスチックを使い続けることは現実的ではない。
環境負荷をできればゼロにして循環型店舗を実現していきたい。品質向上、費用で悩むことも多いが、循環型社会実現に向けたママノのお店運営の裏側を皆さんにも共有しながらよりよい循環社会を築いていきたい。
参考
「海洋プラスチック汚染」
「海洋プラスチックゴミ問題の真実」
海洋プラスチック問題について
第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて
循環経済法で使い捨てプラスチックからの脱却を目指す(フランス)
識別表示の義務