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【音程の解説】必須の知識です
こんにちは音楽家育成塾のこうたろうです。
本日は基礎楽典編というわけで度数のお話。
最初に覚えるべき音楽理論6選にて紹介した音程の解説になります。
この音程、度数の分野は音大の受験生でも間違いやすい分野になります。
しかし、この理論を知っていると他の様々な楽典の理解も早くなりますし
コードネーム、スケールの判定なども容易になりますので
必ず覚えておく必要があります。
必須の知識にはなるのですが、その中でも優先順位をつけていきますので
必要に応じて覚えていってください。
全と半(2度と短2度)
全と半。
これは全音と半音のこと。
最初にこれを覚えましょう。
全音のことを2度と呼びます。
半音のことを短2度と呼びます。
つまり、CからDへは2度上がったと表現します。
ここが最大の難関であり、注意点であります。
そう、CからDへは1度と解答してしまう受験生の多いこと。
全音動くということはつまり1音動くという発想はなくしてください。
2度動くわけです。
そして半音、CからC♯への移動を短2度と言います。
半音の注意点
最大の難関は先ほど突破しましたね!
次の難関はこちら。
半音とはどことどこなのか?
実はこれ、Youtubeで音楽理論を解説しているチャンネルでも間違って表記されていたりします。
実際に発見しました。
そうなんです。
EからF、やBとCの間、これ半音ですよね。
EからFは、短2度なんです。
これを2度と表記してしまう音楽家もいるほど
とっても間違いやすい問題。
頭に叩き込んでください。
全音のことを2度。
半音のことを短2度。
といいます。
もうこれだけでドリアスケールをマスターしたも同然なんです。
最初に覚えるべき音楽理論6選でも少し触れていますが
教会旋法の中のドリアスケールはトニックから2度下のメジャースケールの調合を当てはめることで判別できます。
つまりDドリアスケールならDから2度下の音、Cのメジャースケールですから調合はシャープもフラットもゼロになりますね。
教会旋法については別記事にて詳しく解説しますので
今はそこまでしっかりわかる必要はありません。
長3度と短3度
これも超大切。
というのも、この音程によって様々な音楽理論を派生して考察することができるからです。
3度の音程が長なのか、短なのかでそのスケールの調整をある程度まで絞り込むことができます。
長3度は全、全の動き。
短3度は全、半の動きになります。
スケールの調合を判別する
例えば、スケールに応用する場合
短3度というのはとても便利に使うことができます。
先ほど教会旋法の話をしましたが、教会旋法以外の通常(あまり褒められた言い方ではないですね)のスケールでの長調と短調の関係性。
例えばCメジャースケール(長調)をマイナースケール(短調)に変えたい場合、みなさんはどうしますか?
アカデミックな現場では調合を判定して付ける方法はちゃんと用意されています。
しかし、Cメジャースケールの短3度上のメジャースケール、ここだとE♭メジャースケールになります。
この短3度上の調合をCに当てはめるだけ。
これでCメジャースケールはCマイナースケールに変えることができるわけです。
これはすべてに当てはまります。
Eマイナースケールは♯1個、Bマイナースケールは♯2個ですね。
とっても簡単でしょう。
完全5度と減5度
5度は次に出てくる4度同様基本軸は完全5度の一種類。
基本軸から半音増えたり減ったりします。
ただし、白鍵だけで作れる音程のうち「BとF」のみが減5度になります。
白鍵だけですよ・・・
受験問題には黒鍵も混ざりますので注意。
受験を解く鍵は『完全5度から5度の音を半音下げると減5度』。
呪文のように覚えてください。
まずは完全5度を探す!
CとF♯は減5度です。
これは音楽の現場では基本的に『♭5』(フラットファイブ)と呼びます。
もういちいち数えないで感覚で覚えちゃってください。
大丈夫、すぐに慣れます。
サークルオブフィフィス
ちなみにジャズ屋さんはサークルオブフィフィスという図表で直感的に覚えちゃいます。
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大丈夫!
難しくないんです!
一番上、Cとありますね?
時計回りに完全5度ずつ変わります。
Cのすぐ右隣が?Gですね。
これで感覚的に掴むことができます。
サークルオブフィフィスは
ジャズ理論の『代理コード』を学ぶ際にも利用します。
代理コードについてはまた別記事にて!
次に増4度に行きますが・・・
おっと、お気づきの方もいらっしゃるかもしれません。
減5度と増4度は何が違うんだ?!
完全4度と増4度
覚える優先順位としては結構低め・・・(受験のためには必須ですよ)
あんまりパッと出てこなくてもそんなに困らない。
むしろジャズ音楽などに多用されます。
ジョンコルトレーンなどは完全4度が大好き。
4度は基本完全4度と増4度だけ。
というのも、後述もしますが、減4度というのは長3度のことですよね。
これも複雑に考察すれば別物にはなりますが、完全4度か増4度かで問題ありません!
白鍵上で音程を構成する場合、FとBのみが増4度になりますので覚えてください。
FとBのみ半音の数が違うことがわかると思います。
これも『白鍵上』でのお話ですよ。
通常FとB♭が完全4度ですよね?
Fを基準とした4度目を半音上げると増4度の音程。
で、FとCは完全5度だけど、5度の音を半音下げると減5度。
増4度と減5度の違い
おいおい、同じじゃねーのか?
同じじゃありません。
音楽の基本的な概念としてはルートは何か?
というのを常に意識する必要があります。
そして構成されている和声、スケールなどなど。
『FとB♭を半音上げた増4度』という情報から何を想像できるでしょうか?
調合はF(ヘ長調)かB♭(変ロ長調)の可能性もあります。
この曲の中からCのコードが出てくる時はおそらく短7度(セブンス)が使われることでしょう。
スケールは基軸となる長調に加えてFミクソリディアやCドリアなどが使えるかもしれません。
この状況下では間違いなくFとBの音程感覚は増4度であると言えます。
一方で減5度の状況を想像してみてください。
調合はCかもしれないし、Gかもしれない。
Eフリジアかもしれない。
様々想定できますが、たったこれだけ背景をイメージするだけで
大きく違うことがわかります。
つまり、構成音や響きは同じ。
しかし、背景にあるストーリーが違うという言い方が適切でしょう。
音楽は常にストーリーで構成されます。
ここがアカデミックな落とし穴となります。
実際にストーリーを描く
音楽をイメージする、増4度と減5度の次の展開は?
をイメージすることで違いは明確になります。
ここが重要なポイントですが
あなたの意図次第で増4度は減5度になります。
減5度も増4度になります。
意図を持つこと。
意図を持つことで創造性が生まれるわけです。
長6度と短6度
6度に関しては長6度と短6度が存在します。
完全5度+長2度=長6度
完全5度+短2度=短6度
完全5度がベースになっているのでとてもわかりやすいですよね。
6度というのは現場であまり頻繁にやりとりすることは少なく
使う優先順位は低め。
現場で使うとすればジャズ音楽の領域です。
ジャズ音楽では長6度のことを13度(サーティーンス)、短6度のことを(フラット・サーティーンス)と呼び現場ではよく使います。
これは後述するジャズ理論の項目で詳しくやりましょう。
もちろん受験対策には必須ですので少しアカデミックに解説付け加えましょう。
受験問題で6度の長短判定問題が出てきたら・・・
まずは完全5度を見つける癖をつけましょう。
完全5度の2度上が長6度、完全5度の短2度上が短6度です。
簡単になりましたね!
長6度とサーティーンスの違い
簡単になりましたね!じゃねーよ!
納得できねー!!!!
13度と長6度が同じならなんでジャズ屋は13度と表記するの?!
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
それは意図的なコードの構成において、例えば長6度と♭13(フラット・サーティーンス)が混在するケースは多々あるからです。
つまりスケール内、オクターブ内での6度とテンションノートとしての13度は別物であると考えることができます。
セブンスとメジャーセブンス
最後に重要になってくるセブンスとメジャーセブンスについて。
7度のことですが長7度と短7度があります。
完全5度+長3度=長7度になります。(メジャーセブンス)
完全5度+短3度=短7度になります。(セブンス)
ここも慣れてしまえば感覚的にわかるようになります。
ここはジャズ音楽ではかなり頻繁に使いますし
西洋古典でも自然短音階と和声短音階の判別(別記事にて)に使います。
ジャズ音楽ではまあセブンスが多い。
ボサノバ音楽ではメジャーセブンスが多い。
完全8度?
これはオクターブといって一つしかありません。
受験問題でもたまにひっかけ問題であったり(するのかな?筆者なら出します)
オクターブに減も増もありませんのでオクターブはオクターブ覚えておきましょう。
ジャズ理論(9度、11度、13度)
さて、ここからは主にジャズ理論になってきます。
西洋古典では取り扱うことはほぼありません。
(あっ、、、そうでしたね・・・ラフマニノフのピアコン2番冒頭は10度まで出てくるのか。)
これはジャズの世界でいうところのテンションノートと言われます。
主にコード構成で使われるものですがいずれもルートの音からただ数えるだけ。
なんてロマンのない言い方をするのはやめにしましょう。
テンション🟰緊張と訳せますが、これは意図的にサウンドやスケール(2オクターブスケール等)に緊張とロマンを与える素敵なアイテムになります。
9度の解説
9度(9と書かれていれば基本長9度を意味します)以上が入ることで増4度と減5度の違いで解説した音楽のストーリーや拡張性は一気に広がるわけです。
例えばルートCに対して9度はオクターブより上のDになります。
減9度(♭9)は?C♯。
理屈はわかりますよね。
「長9度」を半音上下に動かすと、「増9度」「短9度」
それぞれ「増9度」を♯9、「短9度」を♭9と表記します。
11度の解説
シンプルに11度と書いてあればオクターブ下げれば「完全4度」のこと。
これもなぜ使い分けるかは6度のところで解説した通りです。
半音高くなれば「増4度」になって♯11と表記します。
注意したいのが♭11は存在しないということ。
つまり完全4度、例えばCとFの間で、Fを半音下げるとどうなりますか?
そうですね!
長3度になります。
11度はコード理論の際にsus4を理解するのに役立ちますので、ジャズ分野に進む方はこういったテンションノートについてしっかりマスターしておいてください。
13度の解説
6度のところでも少しだけ触れましたが、13度は長6度のこと。
♭13は短6度のこと。
11で♭11がないように、13に♯13というものは存在しません。
♯13はとはつまりルートCだとすればどの音程になりますか?
シンキングタイム・・・なんていらない?
そうですね、セブンスの音になります。
長6度と♭13を区別することはあってもセブンスを区別することはできません。
テンションのまとめ
テンションには9,♭9,♯9,11,♯11,13,♭13の7種類しかありません。
テンションに付加されている♯や♭は楽譜上の調合とは全く無関係である。
コードネームとして書く場合は、右上に小さめに書く。
全体のまとめ
本日は音程の話でしたが
ここはとても大事なジャンルなのでじっくり読み込んでいってください。
少し難しいと感じたとしても慣れれば大丈夫なんです。
管楽器や弦楽器の方は必ず鍵盤上で訓練してください。