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【無料】マガジン「世間のあたりまえを疑ってしまう」のまえがき

 本マガジンは、一般的にエッセイや随筆と呼ばれるジャンルのものだ。随筆というと「枕草子」や「徒然草」を思い出すが、そんな高尚で深遠な作品とは異なり、日常の生活のなかで気づいた些細なことを書いている。そのため随筆というのはおこがましいので、エッセイと呼ぶことにしよう。どういうわけか、日本語で「エッセイ」というとお堅いイメージが和らぎ、親しみがもてるジャンルに聞こえる。
 エッセイは日常の些細なことから、著者が思ったことや考えたことを書き記したものだ。日本ではエッセイに共感を求める人が多いため、著者がどういう人なのかが重要視される。エッセイだけで生計を立てているエッセイストは少数派で、小説家やタレント業のような本業があって、その経験をもとにエッセイを書いている人が多い。

 僕の場合はどうかといえば、有名になると大変なことが多いだろうなと思っている一般人だ。自分で自分を分析するなら、大学と大学院まで哲学を専攻していたこともあってか、日常の当たり前を素直に受け取れない気質がある。その気質をもとにマガジン名を「世間の当たり前を疑ってしまう」とした。何かとつけて斜めから見て疑うのではない。どうしても気になってしまうのだ、世間の当たり前というものが。といっても、常識や当たり前になんでもかんでも楯突いたり、愚痴をこぼすようなことはしない。それはたんなる拒絶であって、僕からすると、子供っぽく見えるので慎んでいる。
 むしろ、どうして多くの人がそれを当たり前だと思っているのか考えて、エッセイの形にしている。そのため、世間の常識というものを批判したり、皮肉めいたことを書くことになるが、あくまでもこういう異なる考えもあっていいのではないかという提案で書いているつもりだ。「こうすべきだ」「これが正しい」という姿勢ではない。あくまでも、「僕はこう考えているけど、みなさんはいかがでしょうか」という調子で書いている。

 本書は1ページ1つのエッセイとなっている。そのため、どのページから読んでも支障はない。各エッセイは、だいたい1500-2000文字で書かれている。電車やバスなどの通勤、通学のときに読みやすい。
 平日1ページずつ書き進めた後に、校正をして公開した。とはいえ、計画通りいかないところもあり、結果として4ヶ月ほどで書き上げた。最後に、このまえがきは書いている。
 また本書は、他の小説投稿サイトやブログで投稿したものから転記したものではない。noteに書き下ろししたもので、他へ転載する予定もない。

 まえがきを書いている時、東京都の選挙掲示板に関するニュースが話題になっている。かつて「評判を得る」という言葉は、周囲から良いように思われることを意味した。いまは、悪評でも構わないから注目を得たい人や組織が現れるようになった。
 なぜそんなことをする人がいるのだろう、と眉を顰める人もいるかもそれいないが、インターネットとSNSの普及で、評価の内容に関係なく注目を集めることがお金に結びつくようになったのが原因だ。そのうち、候補者名や選挙カーを利用して、悪評を得たい人も現れる。そのうち、「評判を得る」という言葉が悪い意味でも使用されるようになるかもしれない。
 そういう時代になったことを認めながらも、本書が評判を得るような作品になればと思っている。もちろん、この場合の「評判を得る」は好評を得るを意味している。

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当たり前だと思っていたことを疑うと、新しい発見があるかもしれない。繰り返しの毎日にスパイスを与えるエッセイ集

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