逢坂危機一髪「なんで雨降るの?」
よく行く喫茶店でのお話し。
週に一度、よく行く喫茶店にオーナーさんが以前にしていたお店のスタッフさんがお子さんを連れて現れる。昨日がその日だった。
お子さんの名前はあっくんとしておこう。間もなく三歳を迎えるぷくぷくほっぺのかわいい天使だ。
あっくんとはもう一年半くらい顔を合わせ続けて、あっくんは僕のことをしっかりと認識してオーナーさんが「ヒゲ」と言うと僕の顔を見る。数か月前までは抱っこもさせてくれたが、強烈な自我の発達によって最近では「いや~!」と拒否される感じになっていた。
そんな流れで昨日、あっくんと元スタッフさんとオーナーさんと談笑していた。窓の外を見ると暗い雲が見えて、雨降るのかなというオーナーさんの言葉に僕が天下のYahoo天気を開いたところで事件は起こった。
「このあと雨降るね」
僕がそう言った瞬間である、カウンター席の僕の隣に座っていたあっくんがイスを伝って僕の膝の上に乗ってこう言った。
「なんで雨降るの?」
僕は慌てふためいた。まずあっくんがなんの予備動作もなしに僕の膝の上に来たこの事態、天にも昇る思いで意識がふわ~っと飛びそうになった。しかしあっくんのこの言葉である。「なんで雨降るの?」、この質問に大人としてなんと答えるべきか。僕はとりあえず必死になってみた。
「あっくんなー、海とか川とか地面の水が温まったらお空に行って雲になるんや。雲は分かるか~?」
「うん」
「その雲が雨を降らすんやで~。わかった?」
「わからな~い」
何度かこの説明を試みて、グーグルにも頼りながらイラストや動画を使ってあっくんに説明するも撃沈。オーナーさんが助け舟を出してくれた。
「あっくん。雲の中におじさんがいてるんやで。そのおじさんがジョウロでザーッと雨を降らすんやで」
あっくんはムスーッとした表情でオーナーさんを見つめる。俺が求めてるのはそんな答じゃないぜと言わんばかりだった。その後も頭を悩ませる僕だったのだが、ある瞬間にこんなことを思いついた。
「あっくん。雨が降るのはな、虹がかかるためや。虹がかかるために雨は降るんやで。ロマンチストやん。これを幼稚園で言ってみ? モテモテやで?」
オーナーさんとお父さんがくすくすと笑う。あっくんは今度は僕にムスーッとした顔を向けた。結局あっくんに雨が降る理由は伝わらず、僕の努力は水の泡となった。
膝の上に乗ったあっくんが可愛すぎてそれもどうでもいい。
今日は逢坂危機一髪なお話しでした。
志紀
おはようございます、こんにちは、こんばんは。 あなたの逢坂です。 あなたのお気持ち、ありがたく頂戴いたします(#^.^#)