2022年に大切にしたくなった本*5

2022年に読んだ中で「よかったぁ」「本棚の良いとこに置いときたい」「誰かに進めたい」「好き」って思った大切な本*5

アジャイルリーダーシップ

SCRUMMASTER THE BOOKの著者 Zuzana Šochováによるリーダーシップのありかた紹介。
組織全体をアジャイルに変えていくという内容で、開発チームはもちろん、アジャイル人事やアジャイル財務といった聞き慣れない概念までを丁寧に解説。
まだ自分はリーダーシップを発揮して組織を変えるようなポジションじゃないしなぁって思ったあなたにも、まえがきにある下記の一節に共感したなら読んでほしいおすすめの一冊。

リーダーシップとは共有ビジョンをもたらし、そのビジョンを成し遂げるために組織や文化を変えていくことです。

アジャイルリーダーシップ xiv

杓子定規で測れない感情の話となることも多く、当時の著者の思いを理解しないと難解で頭に入ってきづらい部分もある。
そのため、技術書のように必要そうな箇所だけを斜め読みするのではなくて、コラムを読んだりエクササイズを実施してみたりと少しゆったりと読んでいくのがおすすめ。

読み終わった時には何かアクションしたくなる大切にしたい本。

失敗の本質

自己革新組織は、その構成要素に方向性を与え、その協働を確保するために統合的な価値あるいはビジョンを持たなければならない。自己革新組織は、組織内の構成要素の自律性を高めるとともに、それらの構成単位がバラバラになることなく総合力を発揮するために、全体組織がいかなる方向に進むべきかを全員に理解させなければならない。

失敗の本質 P392

上記を読む限り、昨今のビジネス書では定番のキーワードとなる、ティール組織やMVV(Mission, Vision, Value)とよく似た概念であり新規性に乏しいように見えるかもしれない。

ただ、この本の最大の特徴は「視座が日本にあること」であり、「日本から日本を眺めて書かれた本」であること。
それは同じ山頂に達するとしても登った道が違うということであり、道中が違うということは山頂で見える景色も完全に同じではないということ。
それがとても素晴らしく、輸入したビジネス書に感じるちょっとしたよそ行き感とは違った、畳の部屋の匂い・国道沿いのバイパス・夕焼けの電信柱のような、経験はしていないけれどもなんとなくわかってしまうという感覚が多分に含まれた内容になっている。

最新の組織論や開発手法を勉強しながら「そんなことは言っても現実はなぁ」と思った時に読みたい本であり、今年も何度目かの読み返しをした大切な本。

荒木飛呂彦の漫画術

帯にある「企業秘密」という言葉が象徴的なだった一冊。
「漫画論とかジョジョの裏話とかをまとめた新書なんでしょ?」的な心構えで読むと度肝を抜かれる本。
どうやって作品を描くかという、自分と作品を射程に捉える。
そこから一段上がってどうやって作品を読んでもらうかという、自分と作品と読者を射程に捉える。
最後にそこからもう一段上がってどうやって数多の作品の中から自分の作品を選んでもらうかという、自分と作品と読者と市場を射程に捉える。
その手法をロジカルに解説した本であり、つまりマーケティングについての本だった。
だからこそ「起業秘密」という言葉が象徴的だった。

数多あるビジネス書の中でも「ヒットの要因がチームやプロジェクトや組織よりも個人の比率が高い稀有な事例をヒットメーカー自身が語る」という意味で、商品・企画の本質に迫った本だと感じた。

イヌと友だちのバイオリン

こういう絵本が一番読み聞かせで困るのよ…
きみには夢を諦めてほしくないけど、夢を諦めきれないのも大変なのもわかってるんだよ
だって、パパにも大人になるまでに諦めちゃった夢があるわけで…
だから、この絵本を読み聞かせすると「パパなんで泣いてるの?」って聞かれるんだよね

チロ愛死

図書館の棚で目があった気がした。
だからめったに借りない写真集を借りた。

シャッターを切れば写真が撮れる。
そのカメラのスピード感がその時の感情を閉じ込めているようで…
死を感じ取っただけの瞬間から、覚悟と寂しさと悲しさと後悔とそれでも今を大切にしたいというような整理もされていない感情がそのままの形で残っているようで、ただ泣いた。
ただただ泣いた。

番外

バキ外伝 ガイアとシコルスキー ~ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし~

コミック化されていればイチオシ候補だった作品。
↑のリンクから無料で1話読めるから、一度でもバキを読んだことがある人は絶対に読んで。あと、多分いないとは思うけど一度もバキを読んだことがない人も絶対に読んで。


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