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カウンセリング体験から学んだこと|傾聴・言葉の意味・メタ認知

こんにちは。
ヌーラボで人事採用担当をしている、小谷 雅司(こたに まさし)です。

このブログは #ヌーラボ真夏のブログリレー2024 Business の18日目の記事として更新しています。


1. 自己紹介

これまでの36年間の人生を、ギュッと以下にまとめました。

  • 熊本生まれ / 熊本育ち / 熊本在住。話題のTSMCから車で15分の場所に自宅があります。妻と息子(3歳)の三人暮らし。最近の趣味は、自宅で野菜(キュウリ / ミニトマト / ニンジン / ピーマン / 大根)を育てて、夕食の材料にしてもらうこと。

  • 小中学校では6年間、野球部に所属していました。好きなプロ野球チームは巨人。野球部の先輩の影響で、競馬(ゲーム)を始める。武豊のデビュー年が1987年、私の生まれも1987年で、武豊の公式HPはブックマーク、レース結果は毎週チェック中。

  • 2010年新卒で教育業界の講師職としてキャリアスタート。一斉授業で最大40名ほどの中学生に英語を教えていました。人前で話すことは苦になりませんが、アドリブが必要な場面は苦手です。

  • そこから事業会社の人事職を志して、以下のキャリアを積んできました。

    • 人材紹介会社(2013~2015年):Webライター職として約2年間で50社ほどの経営者・ハイパフォーマーに取材し、記事を書いていました。書くことは好きです。エージェント業務もちょこっと経験。

    • 人事アウトソーシング会社(2015~2020年):最終的にはオペレーション・アドバイザーという肩書で、年間20~50名規模の新卒採用や中途採用のバックオフィス業務の支援を行っていました。

    • SIer(2020~2023年):主に新卒採用担当として毎年20名程度のエンジニア採用を担当していました。

    • ヌーラボには2023年6月に中途入社し、現在2年目です。国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。

そんな私ですが、今回は人生に大きな影響を受けた心理学やカウンセリング体験からの学びについて、ブログを書きました。

2. プロローグ|心理学との出会い

高校2年の頃、進路学習の一環で、社会人として活躍する高校のOB・OGの講話を伺う機会がありました。多様な職種で活躍するOB・OGの講座が20近く開かれましたが、そのなかから私は心理職の講座を選択しました。

その当時は、心理職に興味を強く持っていたわけではなく、この職種はちがうなぁ・・・、う~ん・・・と、それぞれの職種を検討した結果、最終的に心理職の講座に行き着いた、という感じでした。

ただ、よくよく考えてみると、歴史や小説が好きで人の心理に興味があったことが大きかったと思います。大学では文学部に進学しました。

20代の中頃に、定年や会社組織に関係なく続けられる、ライフワークとなるような仕事をしたいと思うようになりました。そんなときに、フリーペーパーに掲載された「産業カウンセラー説明会開催中!」という記事が目に留まりました。

産業カウンセラーは、働く人たちや組織が抱える問題を自ら解決できるように、心理的な手法を用いて支援するカウンセラーです。一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が主催する養成講座(e-Learning57時間 / 実技学習104時間 ※2021年当時)を受講・修了し、試験に合格(資格登録)するプロセスを経て、産業カウンセラーを名乗ることができます。

2021年の春から約半年をかけて、心理学やメンタルヘルスの専門知識を学び、カウンセリングの基本技能を実技学習を通して習得していきました。特に学びが大きかったのが実技学習で、講師2名と私を含む11名の受講者がほぼ2週間に1回集まり、毎回約7時間をかけて、カウンセラー役・相談者役・観察者役をローテーションで体験しながら、お互いにフィードバックを繰り返していきました(他にケーススタディ学習や宿題もありました)。

その後の人生が大きく変わったと感じる体験でした。その中で、特に学びが大きかった3つの内容をお伝えします。

3. カウンセリング体験からの学び

1)話すことは、放すこと|相手の感情にフォーカスする

カウンセラーとして当然ではあるのですが、カウンセリングでは相手(以降、クライエント)の話を傾聴します。「傾聴」と言っても、ただしっかりとクライエントの話を聞けばよい、ということではありません。

事実や出来事を聴いていくと同時に、クライエントの感情も聴きながら、カウンセラー(私)にクライエント(あなた)の感情が伝わっていることを「伝え返し」ていきます。この特に感情の「伝え返し」がクライエントとの関係構築を深める上で、非常に重要になってきます。

カウンセラーがクライエントの話す出来事や感情を伝え返していくことで、クライエントは自分自身がカウンセラーに理解されつつあることを確認し、そこからカウンセラーへの信頼が生まれます。

信頼が生まれてくると、より本音の部分(これまで誰にも言えなかったようなことや気持ち)を少しずつ話せるようになっていきます(自己開示が進んでいきます)。これがクライエントが変化・成長していくきっかけになるのです。

人には、言いたくても言えないことがあります。聞かれないと答えられない気持ちがあります。そこに関わり、付き合っていくことが、カウンセラーの存在価値の一つです。

私が好きな言葉に、「話すことは、放すこと」というものがあります。クライエントに「話して」もらうことで、もやもやとした感情やずっと蓋をしていた気持ちを「放して」もらう。これはクライエント一人だけではできないことなのです。

そうしたとても大切な「感情(気持ち)」ですが、言葉に感情表現が出ることの他にも、表情やしぐさなどの非言語的な部分や、口調や声の高低、沈黙などから伝わってくることもあります。カウンセラーは傾聴するだけでなく、クライエントを注意深く観察する必要もあるのです。

傾聴の技法を習得していくと、人の感情により敏感になっていきます。「敏感になる」というのは、私の中では「相手はこう感じているのではないか?」とさまざまな選択肢が頭の中に浮かんでくる感覚です。

ヌーラボでも、相手との信頼関係(関係構築の度合い)は今どの程度か、を意識しながらコミュニケーションしています。これは採用活動で関わるエージェント企業の担当者や候補者も同様です。

関係構築ができていれば何ら問題はないアプローチでも、関係構築ができていなければ、不快・反発・反感を招くことがあります。特にフルリモートワークの環境下(テキストコミュニケーション)では、非言語情報が除かれて、言語情報のみが相手にダイレクトに伝わるため、注意しています。

2)言葉の意味|あなたは、あなた以外のだれでもないことに意味がある

「近代言語学の父」と言われているスイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュール(1857~1913年)の考え方に、「言語とは差異である」というものがあります。私たちは「先にモノが存在し、それに名前をつけている」わけではなく、実際は逆で、「名前をつけることで、その対象を他のモノから区別している」という考えです。

たとえば、目の前に「うさぎ」がいるとします。その「うさぎ」は、「その他の動物である、「かめ」でもなく、「鳥」でもなく、「牛」でもなく、「犬」でもなく・・・「うさぎ」以外のどの動物でもない動物」と考える(区別する)のです。

よく、仕事上で先輩が新入社員に対するアドバイスとして、「忙しいときは、やるべきタスクを紙に書き出すと冷静に対応できるようになる」や「大きな仕事ほど小さなタスクに分解することで取り掛かりやすくなる」という内容(に近いこと)を聞いたことがないでしょうか。

これは、それまで混沌としていた内容に言葉を与えることで、取り組むべきモノとして明確に区別し、存在させる(認識しやすくする)ためなのです(だからBacklogの親課題・子課題という機能はタスクを細分化(区別)し表現していけるので、言葉の本質に根差している機能だと思います)。

この話は、カウンセラーがクライエントの言葉を傾聴していくことに大きく関係します。

「言語(言葉)とは差異」なので、辞書では、ある言葉は必ず別の言葉で言い換えられています。「うさぎは、うさぎを意味する」と同じ言葉で説明することはできません。

言葉のコミュニケーションで難しいことが2つあります。1つ目は、人は記憶力に限界があるため、辞書の言葉とその意味をすべて覚えられないこと。2つ目は、知っている(と思っている)言葉を辞書のように他の言葉で言い換えたときに、言い換えた表現が他人が考える表現と完全に一致するとは限らないことです。

人事採用の仕事でも、「コミュニケーションスキル」や「地頭」など、人によって認識が異なりやすい言葉があります。配属予定先の部門担当が考える「コミュニケーションスキル」と人事採用担当が考える「コミュニケーションスキル」は、意味の範囲がしっかり重なっているでしょうか。

「記憶力が優れていて会話のテンポが速い人」を「地頭が良い」と認識している人もいれば、「論理的思考力に長けている人」を「地頭が良い」と考えている人もいるかもしれません。

そうしたズレを抑えるためには、「コミュニケーションスキル」「地頭」を別の表現に言い換えてもらったり、それらのスキルや力が発揮される具体的な場面を教えてもらったりと、解像度を上げていく必要があるでしょう。

「言語とは差異である」という話でした。これを人そのものに当てはめてみると、「あなた」は、「あなた以外のだれでもないこと」に意味があります。だから「みんなちがって、みんないい」のです。

3)メタ認知|カウンセラーは、もう一人の自分を持っている

自分自身の言動や感情を客観視できる力を「メタ認知」と言います。産業カウンセラーの養成講座を通して、このメタ認知を鍛えられました。自分の姿をもう一人の自分が斜め上から見ているイメージです。

クライエントの話を傾聴しながら、(頭の中で並行して)関係構築の度合いを測ったり、クライエントが抱える問題を仮定・検討したりします。まさに「脳みそに汗をかく」感覚です。

実技のセッションが終わると、間髪入れずにカウンセラー役は講師から「今回の面談で、クライエントの最も言いたかったことは何でしたか?」「カウンセラーとして上手くできた点とできなかった点は何でしたか?」「カウンセラーとしてこのクライエントを今後どのように支援していきますか?」などと問われます。

こうした訓練を繰り返すことで、カウンセラーとしての技能向上に加えて、自分自身の言動や感情を少しずつ客観視できるようになっていきました。特に、自分がどのような場面で怒りの感情が出やすいのか、を自己理解をふまえて斜め上から見るようになりました。

20代の頃は、嫌な気持ちや怒りの感情を引きずることが多かったのですが、養成講座を受講してからは、寝ると(少し時間が経てば)感情がリセットされるようになりました。

自分が嫌だと感じるパターンを事前に言語化(理解)できていると、実際にその場面に遭遇しても、予防接種を受けたような状態なので、「出た、このパターンだからイライラしているな」と、一呼吸置けるようになります。

4. エピローグ|予期しない出来事もまた、これからの人生に繋がっている

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提唱したキャリア理論に「計画された偶発性理論」があります。「個人のキャリアの8割は予期しない偶発的な出来事によって決定される」とし、その予期しない偶然の出来事に最善を尽くして経験を積み重ねていくことで、よりよいキャリアが形成されるという考え方です。

ここ最近では、「コロナ禍」が予期しない偶然の出来事でした。2020年当時、勤めていた会社が感染予防のためリモートワークを導入することになり、初めて在宅勤務を経験しました。

家で働くなんて無理でしょ(紙でいろいろ確認できないなんてありえない・・・)、と思っていたのですが、やってみると自宅でも不自由なく働けることを実感しました。であれば、熊本に事業所がない会社でも、リモート環境さえ整っていれば、働けるんだな、と考えるようになりました。

その後の転職活動では、フルリモートワークの会社も選択肢に含めることにしました。そのうちの一社に、「株式会社ヌーラボ」がありました。コロナ禍でのリモートワーク経験がなければ、ヌーラボに出会うことはなかったでしょう。

今年の1月には、国家資格のキャリアコンサルタントを取得しました。こうした資格取得やヌーラボでの人事の仕事を通して、人の心理は奥が深いと感じています。生涯追求していきたいテーマです。

P.S.
ヌーラボの人事チームには、キャリアコンサルタントの有資格者が3名、産業カウンセラーが3名在籍しています(うち2名は両資格を保有)。チームとしても技能の向上や組織への貢献を考えていければと思います。

5. おまけ

▼ヌーラバー(ヌーラボの社員)になりませんか?▼
https://nulab.com/ja/about/careers/

▼採用チームインタビュー(LAPRAS様)▼
人事がエンジニア採用をサポートし、現場エンジニアのリソースを軽減。採用活動の質を落とさないヌーラボの採用戦略
※ここ最近の人事採用チームの仕事ぶりを記事にしていただきました。

▼同じチームの古賀さんが書いたブログはこちら▼
採用チーム&採用チームメンバーのポリシーを作った話 #ヌーラボ真夏のブログリレー2024
ヌーラボのカジュアル面談ってどんな感じ?

▼同じチームの原田さんが書いたブログはこちら▼
入社2カ月のひよこが思うヌーラボの優しさについて🐣

▼小谷の過去ブログはこちら▼
No.001_人事採用担当として「このチームで一緒に仕事できてよかった」を実感する瞬間


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