なんで今、アメリカの物価が日本で注目されるの?-物価から考える経済のしくみ⑤-
(4分で読めます)
今回のお題は『なぜアメリカの物価が日本で注目されるのか?』です。
ここまで「物価は経済にとって大事なものさしの1つだよ~!物価の安定が国にとって大事だよ~!そのために日本銀行は働いてるよ~!」という話をしてきました。
景気と金利と物価は、だいぶ仲良しの関係です。
相関図にするとこんな感じ…??
だから、物価を知るとちょっと先の経済を予測する手がかりになります。
で!問題は!
『なんでアメリカの物価が日本に関係あるの?』
というお話です!
このお話には『日米の銀行金利の差』と『為替』などが、関係してきます。
1.日本とアメリカの金利
先日、iPhoneで有名なアップルが預金サービスを開始することで話題になりました。
その金利はなんと!年4.15%!!
アップルにお金を預けるだけで、100万が一年で自動的に104万になると。しかも投資と違い確実だし、銀行が潰れない限り安全。なんて良いんだ!笑
今のアメリカの銀行金利(貯蓄口座)の平均は0.3%。
そんなのみんなアップルに預けるわ!!
と、普通だとアップルにお金を預ける人が増えるはず。
実はこれと似た動きが、日本とアメリカの間にも起きています。
ご存じの通り日本の銀行金利は今、とても低いです。
以前話題にした、短期の銀行金利を決めるレート(日本 無担保コール翌日物)を確認してみると、-0.034%(5/17 10時時点)でした。これがマイナス金利!!
マイナス金利の説明を始めるとそれだけでひと記事になりそうなので割愛します。
つまり銀行金利がすごく低い!ということです。
その分私たちがお金を借りる金利も低いので、住宅ローンなどは組みやすくなっています。
しかし今の日本では、銀行にお金を預けても預金はほぼ増えません。だから投資が注目されています。
では、アメリカだとどうでしょうか?
国債(10年)の利回りでくらべてみたいと思います。
(国債の詳しい説明はこちらの記事で!)
日本の今の国債利回りは0.389%です。
簡単にいえば、日本に10年間お金を貸す(国債を買う)と、年0.389%ずつ増えていきます。
これが、アメリカだと3.528%です。
アメリカが財政難になって潰れない限りは、年3.528%ずつ増えて返ってきます。
すごーく単純にいうと100万円分の国債を日米で買った場合、日本は年約3000円増えますが、アメリカだと年3万円増える計算です。ケタが違う!笑
もちろん外貨にするリスクはありますが、どちらにお金を委ねますか?増えることを意識するなら、アメリカに預けませんか?
だから去年みんながアメリカにお金を預けようとして、為替が大きく動きました!
現在も130円台で動いています。
では、『なぜアメリカの金利がこんなに高いのか?』というのを確かめたいと思います。
ここででてくるのが「物価」です!
2.アメリカの金利が高いのはなぜ?
今まで書いたとおり、金利は物価によって決まります。アメリカの金利が高いのは「アメリカの物価が上がっているから」です。
具体的に数字を確認してみましょう!
アメリカでは感染症などが少し落ち着いて経済活動が活発になったことで、2021年4月頃から物価が上がり始めました。
そして戦争などいろんな出来事が重なり、2022年10月にはインフレ率が前年比6.6%になりました。
アメリカもインフレ率の目標は「2%」です。
今の結果は、大きく上振れています。
そのため物価を抑えようと金利を上げています。
しかし図のとおり、金利がずっと上がったままだと経済に影響を及ぼします。
金利が上がると経済活動が鈍化するので(景気が悪くなる)、株価は下がりやすくなります。
また、銀行にも大きな影響を与えます。
実際にアメリカではいくつかの銀行が倒産し、大きな話題になりました。
なので、金利はいつか下がります。それに伴い、為替も落ち着くはず。
では金利が下がるタイミングはいつか?
それを確認するため、消費者物価指数(CPI)が注目されました。
ちなみに最新の発表では、インフレ率は5.5%(5/10発表)になっています。ちょっと落ち着いてきている!という感じ。
3.物価・金利・景気の関係
今回は『物価から考える経済の話』を続けて書きました。物価・金利・景気はとても仲良しなので、それぞれお互いに影響を及ぼします。
この経済のしくみと、それぞれの指標(経済のものさし)を知れば、ちょっと先の未来を予測する手がかりになるはずです。
例えば、
アメリカのインフレ率が落ち着いてきている→金利がこの先下がるかも?→アメリカで住宅ローンを組むならちょっと先が良いな!という風に。
逆に、金利が下がる→経済活動がまた活発になるかも?→今のうちにアメリカの会社の株を買っておこう!というような予想も出来るかもしれません。
こんな風に『お金の使い方や預け先を決める手がかり』を知るためにも、経済のしくみや指標を知ることは面白い!はず!笑
ということで、『消費者物価指数(CPI)』と『物価と経済のしくみ』のこと、ぜひ覚えて帰ってね~!(どこに?)
物価から経済のしくみを考えるシリーズはこちら!
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