私が考える『帰りたくなる地元』—農業と地域の新たな可能性
帰りたくなる地元に
私はまず、自分自身が「帰りたくなる地元」になって欲しいと心から願っています。せっかく程よい田舎で過ごしやすい場所があるのに、若い人たちにはあまり活気がありません。
それは、利益を上げる方法や、地元での戦い方誰からも教わっていないからではないでしょうか。
最近は親の土地で栽培ではなく、
土地を借りて新規就農始めた人達が徐々に増えてきて、
古い人達は新しいやり方を変える必要性が生まれてきました。
20年前のやり方から次の世代に変わる時に取り組み方も大きく変わってきています。
私なんかよりも、もっと儲かる農家さんたちが続々と出てきて、地元全体が盛り上がる姿を見たいと願っています。
農家の大規模化と地域密着型ビジネスの意義
農業の大規模化が進んでいて、近くの農家さんも法人化し、多くの従業員を雇い、都市部向けの商品を生産して収益を上げています。もちろん、こうした大規模化も農業の一つの生き残り方ですが、それだけが唯一の方法だとは思っていません。
私は、持続可能な農業を実現するためには、地元に根ざした「地域密着型ビジネス」が重要だと考えています。実際、いちご農園を経営する中で、地域とのつながりが生活に与える大きな影響を何度も実感してきました。
持続可能な農業って?
みなさんも一度は聞いたことのある
SDGs(エスディージーズ)は「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語に直訳すると「持続可能な開発目標」という意味です。
聞きなれない難しい言い方をしていますが、
私が思う持続可能な農業とは、外部に依存しすぎず、自立した仕組みを作ることで、
日頃農家さんが感覚的にやっていることです。
例えば、直売所の運営もその一つです。すべての商品を直売所で販売できれば、他の流通に頼らずに経済的に自立できます。
私たちは減農薬の一環として、
自家製の「もみがらぼかし」を使っています。
もともと米農家だったことからもみがらが手に入りましたが、今は地元の農家さんから譲ってもらっています。
もみがらは精米時に出る「いらないもの」ですが、それを肥料として再利用することで、地元の農家とつながりが生まれます。
このような取り組みが、私たちの持続可能な農業の一部なのです。
これからの課題と未来の話
今後、農業において大事な課題の一つが「人材の確保」です。
現在、若者が地元を離れて都市部に出てしまい、戻ってくることは少ない状況だと思います。
しかし、もし地元で農業が稼げるようになれば、戻ってくる人が増え、人材の確保も難しくなくなります。
また、収益が安定すれば、IT化や自動化が進み、多くの人を雇わなくても効率よく農業を営むことができるようになると考えています。
直売所だけでは限界がある?BtoBという選択肢
直売所はBtoC(消費者向け)のビジネスです。一人あたりの単価は大切ですが、
来園者数が売上に直結します。
しかし、例えばコロナのような感染症が広がれば、来客が途絶え、収入が一気にゼロになるリスクもあります。
そのため、どんな農家さんもBtoB(企業向けビジネス)を視野に入れることが重要です。
私たちは、地元のケーキ屋さんやクレープ屋さんに「うちのいちごを使ってみませんか?」と提案し、少しずつ取引を増やしています。
今は知り合いを通じて、地元のケーキ屋さんにいちごを卸すことができました。
さらに、ケーキ屋さんのスタッフが農園に直接取りに来てくれるので、輸送コストもかからず、パック詰めの手間も省けます。
これにより、より効率的な取引が可能になります。
Win-Winの関係を築く
ケーキ屋さんや他の地元のお店と提携することで、お互いにメリットを感じられる関係を築いています。
例えば、ケーキ屋さんでは「このケーキには〇〇農園のいちごを使用しています!」と宣伝してもらい、その結果、ケーキ屋さんのお客さんが私たちの直売所にも足を運んでくれます。
また、ケーキ屋さんの商品を私たちの直売所で販売し、相互に紹介し合うことで、地元ビジネス全体が盛り上がります。
こうした地元同士の連携は、地域全体の経済を活性化させ、地域にお金が循環するきっかけとなります。
商売は、お互いにメリットがないと長続きしません。ケーキ屋さんも地元産の食材を使うことで「地域に根差したお店」としてイメージアップが期待できます。
そして、その場所でしか買えない商品は、お店の魅力を高め、他店との差別化にもつながります。
最後に
持続可能な農業とは、ただ規模を大きくすることが目的ではありません。地域とのつながりを大切にし、地域の人々と一緒に成長していくことで、持続可能な未来が築かれていくのだと思います。
こんな形で、地域密着型ビジネスがもたらす持続可能な農業について考えています。これが、多くの人々に広まり、地元が活気づいていって欲しいです。
続く
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