小規模農家でもできる!いちご農園の人手不足解決法と働きやすい現場づくり
いちご栽培を続けていると、どうしても避けて通れないのが「人手不足」の問題です。
私がいつも両親に伝える事があります。
それは
「今ある手札で勝負しろ」
「無い物ねだりしても仕方ない」
当然資源(人材)には限界があります。
いい条件の所にはいい人が集まりますが、
私たちのような小さな農家ではハイクラスな人材は来るはずがありません。
いかに普通の人をレベルアップさせるが鍵だと思っています。
しかし、繁忙期には、収穫や選別、加工などやることが山積みで指導に時間を割く余裕はあまりありません。
そんな中で試行錯誤しながら工夫してきた、いちご園の求人問題への取り組みを少しだけ共有しようと思います。
1. そもそも、どうして人手不足になるのか
農作業は季節によって忙しさが変わります。
たとえば、私たちのいちご園では11月から5月の収穫シーズンは毎日が勝負。しかし夏の閑散期にはほとんど人手が必要ありません。
一方、求人は一般的に年間を通しての働き方を想定したものが多く、こうした季節変動がある農業とはミスマッチになりがちです。
このギャップこそ、農業における人手不足の大きな原因のひとつと感じています。
2. 具体的な悩みと現場での工夫
パートさんにお願いしているいちごの収穫は短時間の仕事ですが、実は意外に専門性が求められます。
採用した方に
「いちご狩りやったことあるから大丈夫!」
と言われる事が多いですが、
一発で出来た人は今まで1人もいません。
いちごの色や形、大きさなど、規格に合うものを見極めるには少し経験が必要です。
そのため、「働く時間が短い割に難しい」と感じる方も多く、どうしても人とのミスマッチが起きがちです。
そうした方にどうサポートしていくか、現場では工夫を重ねてきました。
3. 収穫現場でのトラブルと対策
初めての方には、いちご収穫の現場で様々なトラブルが起きることもあります。
そこで、私たちが現場で実践している対策をいくつかご紹介します。
•収穫した摘み箱を倒してしまう
いちごの摘み箱は1箱で約1万円分の価値があります。
価格を伝えてその大切さを理解してもらっています。
積み重ねは安全な数に留めるように指導し、リスクを減らす工夫もしています。
•収穫するいちごが分からない
商品として適したいちごの色や形を見極めるには慣れが必要です。
県から支給される色味の基準を示すカラーパレットをお渡し実際のいちごと見比べながら一粒づつ確認して貰います。
カラーパレットを中心に指導すると写真のもの以外を収穫しないこともあった為、
あくまで参考である事を伝えます。
私たち自身が手本を見せながら何度も一緒に収穫作業を行っています。
またベテランの方と新人の方を同じハウスにして作業をして貰います。
ベテランの方にしっかりサポートしてあげて欲しい事を事前に伝えておいてあります。
皆さんと雑談をしながら作業をやるようにして、気軽に質問できる環境づくりを意識しています。
また現場で「わかる」まで丁寧にサポートすることを心がけています。
•いちごを傷つけてしまう
収穫中、いちごを強く握りすぎて潰してしまうトラブルもよくあります。
また気がつかないうちに爪で傷をつけてしまうこともあります。
収穫には力加減が大切なので、まずは潰れにくい品種「とちあいか」から収穫を体験してもらいます。
失敗したものは加工品に回したり、パートさんに持ち帰ってもらうことで無駄にしない工夫をしています。
どうしても傷が多い人には次の日に収穫量のうちの傷になっていたものを実際にとっておくことや写真を撮るなどして、どんな傷があるかを伝えるようにしています。
収穫のコツなどをわかるまでサポートします。
4. 季節労働や短期アルバイトの活用
地域の方やリタイア後のシニア層の方に短期間の仕事をお願いすることで、人手不足を補っています。また、Instagramのストーリーで募集をかけることで求人掲載コストを抑え、働いているパートさんから知り合いを紹介してもらうなど、柔軟な方法を採用しています。
5. 今後のビジョン
•わかりやすい作業マニュアルの作成
初めての方にも迷わず作業ができるように、手順書を整えてミスの軽減と効率アップを目指したいです。
•フレキシブルなシフト管理
働く時間の柔軟性を高め、どんな方でも働きやすい環境を整えたいと思います。
保育園のお迎えの時間や家の用事などに柔軟に対応していきます。
•両親の指導力強化
両親は元々あまり人に教える事が得意ではなく、パートさんも同じ指導方法でも理解力に差があります。
私からも伝え方を一緒に考えたり、毎回工夫しています。
例えば、
文章で伝えるのか
視覚でみた方が伝わるタイプなのか
失敗させた方がいいタイプなのか
注意すると萎縮してしまうタイプなのか
褒めた方が伸びるタイプなのか
早く教えて欲しいのか
ゆっくり教えてほしいのか
など
その都度その人にあった指導方法を考えています。
小竹いちご園に来てくれているパートさんに長く働いてもらえるよう、指導方法の工夫やサポートを進めていきます。
6. 終わりに
人手不足は農業全般の課題であり、私たちのような小さないちご園にも大きな影響を与えます。
日々色々なトラブルはありますが、一歩ずつ課題を克服しています。こうした経験が、同じ悩みを抱える皆さまの参考になれば嬉しいです。
写真はいちごを始めた時の両親の写真です笑