カンボジア|サンブール地区の水衛生環境改善
「水」は生活や健康の基盤となり、生きていく上で欠かせないものですが、世界では約20億人もの人々が安全に管理された飲み水を使えない環境で生活しています(*1)。
不衛生な水は肺炎や下痢などの原因になります。肺炎と下痢を合わせると、世界における5歳未満児の死因のうち29%を占め、毎年200万人以上の子どもの死につながっています(*2)。
カンボジアで5歳未満で亡くなってしまう子どもは年間約8,000人(*3)で、主に下痢・急性呼吸器感染に起因します(*4)。
これらは基礎的な手洗いをすることで、防げる病気でもあります。
手洗いは下痢のリスクを23〜40%、呼吸器系疾患のリスクを16〜21%も低減させることが明らかになっています(*5)。
カンボジアの都市部と地方部では衛生環境の格差が広がっています。特に農村部では、上下水道設備が整っていない地域が現在でも多く、水道水が利用できるのは人口の約7%(*6)と言われています。
認定NPO法人あおぞらは、保健センターを建設したサンブール地区にある小学校の先生へのヒアリングを行いました。その中で「水衛生」に関する問題が多く挙げられました。
サンブール地区にある小学校7校のうち、6校では手洗い場がない、または数が足りず、水・衛生環境が整っていませんでした。
水道が整備されていない小学校では、トイレ後の手洗いに使う水がないため、子どもたちは交代で1日1回、小学校から50m離れたため池にバケツで水を汲みに行っていました。
そんな中、2020年から新型コロナウイルスが世界で猛威を振るいました。
カンボジア政府から全国の保健センターに対して、小学校で手洗い指導を行うように指示が出るなど、水・衛生に対する意識が高まっている一方、子どもたちは、きれいとは言い難い水で手を洗わなければいけませんでした。
何かできることをしようと、NGO Clear Cambodiaご協力のもと、サンブール地区および隣接する地域の小学校で、手洗い場建設を支援することを決めました。
支援に先立ち、認定NPO法人あおぞらはクラウドファンディングを実施し、延べ113名の皆さまに総額874,000円をご寄付いただきました。
おかげさまで、2021年6月までに、サンブール地区にある小学校7校のうち、手洗い場を必要としていた6校に手洗い場を設置することができました。皆さま、ご支援・ご協力、誠にありがとうございました。
2022年4月、コロナが落ち着き始めた頃に現地を訪問すると、たくさんの子どもたちが出迎えてくれました。
大人になって、いろいろなことを考えるようになりました。
目の前のことに全力で取り組むことはもちろん大事。
でも、それだけでいいのだろうかと、考えるようになりました。
また、多少の経験を積んだことで、物事には良い面と悪い面があって、これは絶対こうだ!ということが昔より言えなくなりました。
その代わりに、物事の一長一短を少しずつまとめられるようになりました。
苦手だったロジカルシンキングは、社会人経験を通して、ある程度身につけることができ、後輩から褒められるようにもなりました。
だけど、10代・20代・30代を通して、医師になっても変わらないことは確かにあって。
目の前にいる人が笑顔になると、とても幸せな気持ちになる。
目の前の患者さんに貢献できると、とても嬉しい気持ちになる。
相手が笑顔になると、自分も笑顔になる。
この変わらないことは、僕の中では真理に近くて、物事の良い面や悪い面としてまとめられるようなものではないし、ロジックが必要なものでもない。
子どもの笑顔を見ながら、きっとこれからも誰かの笑顔を見れた時の幸せな気持ちは変わらないだろうなと、思いました。
認定NPO法人あおぞらについて
認定NPO法人あおぞらは、全ての命が大切にされその人らしく生きることができる社会を目指す国際協力団体です。「とどける」「ささえる」「つたえる」をキーワードに、途上国を中心にさまざまな医療支援活動を行なっています。
あおぞら活動は、皆さまからの温かいご支援により支えられております。
生まれてくる赤ちゃんを救い、命がけの出産からお母さんを守るために。
涙を減らし、笑顔を増やすために。
皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
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