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書評 83 「風が強く吹いている」

箱根駅伝ファンの多くが知っている三浦しをんさんの小説。今年も正月が近づいて来るこの時期に、読んでみました。

なかなかに衝撃的なシーンから始まって、どうなることかと思っていると、物語の舞台となるオンボロアパートに導かれる。このアパートにたまたま同居している大学生10人。この「たまたま同居している」だけなのに、炊事場やトイレ共同という昔風の構造があるからなのか、まるで兄弟の様な結びつきがある。その中の一人、4年生のハイジが自身の思いをぶつけ、それに応えることで箱根駅伝に10人が挑戦していくストーリー。

実際にはこんなことはまず起こらないとわかっていても、感情移入させる。それだけ登場人物の個性が際立っている。そしてハイジのチームマネジメント力が素晴らしく、フィクションなのだけれど学生チームのコーチやキャプテンは参考になりそうだ。

もし、箱根にこんなチームが出てきたら。そんな思いを抱かせてくれる一冊。

https://www.shinchosha.co.jp/book/116758/

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