【戻ってきてくれた生徒ちゃん】
夏に全ての仕事を失い、落ち込んでいた。
7月は精神病院に、8月後半は原因不明の病で緊急入院し、体力気力共に人生最悪の地点まで落ちた。
これまで色んな仕事をしたが、ピアノ講師と家庭教師は、いつどんな時でも続けてきた仕事だ。(教職員の時を除く)
自分の体調不良のため、後任の講師を探し、各ご家庭に謝り、泣く泣く仕事を辞めるしかなかった。
夏の入退院が終わった後、信じられないくらい体力が低下した事に気持ちが凹み、仕事がない自分を恨み、気持ちは焦る一方だった。
仕事をしたくてもできない自分、動きたくてもしんどく何もできない日々が続き、日常生活を送ることが精いっぱい。
主治医から
『仕事は人生のオプションだから、ゆっくり休んでね』
と言われたものの、何もできない自分が悔しく、自分の収入が0になってしまったという現実と向き合うことに苦戦した。
相方がいようが、結婚していようが、仕事は仕事だ。自分の収入が0という悔しさ、もどかしさに耐えることに大変なストレスを覚えた。
私が担当していた生徒ちゃんたちは、無事後任の講師が決まり、それはそれでホッとしていた。
いい先生に当たればいいな…
数ヶ月から数年、この手で育ててきた生徒ちゃんたちが、自分の手から離れて行くのが寂しくもあった。
どのご家庭の親御さんも、とても心配して下さり、「お見舞いに行きます!」など言って下さったが、まさか精神病院の閉鎖病棟に入院しているとは言えなかった。
ちょうどコロナも流行っており、面会制限がキツい時期でもあったので、それを理由に丁寧にお断りした。
退院し、しばらくしてから、少しずつ体調を取り戻してきた事、お礼とお詫びと共に、各ご家庭にLINEで報告した。
9月の中旬、ピアノを教えていた小学生のお子さんの親御さんから、レッスンを再開したいと嬉しい言葉をいただいた。
未就学児の頃からレッスンをしてきた生徒であり、ピアノ教室に通う事が難しい事情から、出張レッスンをしていた。
あまり熱心に練習するタイプの子ではなく、ピアノは習い事のひとつ、といった感じで、もしかしたら何かのきっかけで辞めてしまうかもしれない…と危惧してした生徒だったので、レッスンを再開したいと言ってくれた時は涙が出そうになった。
後任の先生を探す事なく、先生が復帰するのを待ちます!と言ってくれた数少ないご家庭だった。
およそ2ヶ月ぶりにレッスンに向かい、再会の喜びと、意外とピアノの運指や音符の読み方を忘れていなかった事に驚いた。
夏休みに旅行に行ったと、お土産もたくさんいただいた。
まずは週1のレッスンの再開スタート、非常に嬉しかった。
しばらくして、家庭教師をしていたご家庭の親御さんから『後任の先生も来られましたが、やはり先生じゃないとダメみたいなんで授業お願いします!』と連絡をいただいた。
家庭教師というのは、生徒やご家庭との相性が1番だったりする。
私の入院中、来られていた後任の講師も、もちろん社会人プロ案件を持つ人ばかりで、私なんかより遥かに素晴らしい経歴を持つ専門の講師だと聞いていた。
約2ヶ月半の間、何人かの講師が訪れたようだが、生徒ちゃんとの相性がイマイチだったり、先生の話している事が分からない…など色々あったようだ。
『先生がやっぱり1番でした。後任の先生も来られていますが、都合のつく範囲で授業お願いします』
なーんて言われたら、私も嬉しいに決まっている。
去年から、叱咤激励し、時には厳しいことを言いながら、他の講師が決して話題にしないようなコトでコミュニケーションを取り、生徒ちゃんとLINEをしながら…地道に頑張ってきて良かった。
そんなわけで、家庭教師の生徒ちゃんが2人も戻ってきてくれた。
この先どうなるかなんて誰にも分からない。
ひとつだけ、主治医と相方、キチ母に注意された事がある。
自分でも自覚している、自分の長所でもあり短所でもあること…
“一度スイッチが入ったら、やりすぎてしまうところ″
ついつい“ツメが甘い!″とやりすぎてしまう自分の悪い癖…
コレに気をつけながら仕事をしないと、また元の木阿弥になってしまう。
まだまだ体力も気力も万全ではない。
決して無理をしないよう、だが最高のパフォーマンスができるよう、自分の心とカラダと相談しながら、無理のないスケジュールで仕事を再開する事にした。
10月の半ばから、中学生は中間テストが始まる。
戻ってきてくれた生徒ちゃんたち、親御さんたちの期待を裏切る事のないよう、今日も大嫌いな数学の問題集を解いて、最新のYouTubeも見て、次の授業の準備をすることにしよう。
※興味のある方は、よかったら過去記事も読んでみてください。
(音楽では食っていけない厳しさ&家庭教師の仕事)