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【どうしよう病〜ナガノパープルの甘み】

さっき不安で仕方ないので、リスパダールを1包飲んだ。




何もかもが、不安で仕方ないのです。





先週、閉鎖病棟で寝食を共にしたヒナタ姉さんに会うため電車で出かけた。

2か月ぶりの再会。

ヒナタ姉さんと私は歳が1つ違いで、病棟内では頼りがいのある人だった。

彼女も退院後、私と同じように体力が衰え、毎日苦しい日々を送っていた。

『夜寝れてる?1日何してる?辛くて仕方ない…この病気した人にしか気持ちわからないよね…』
そんなLINEをお互い都合の良い時にポンポンしていた。

私も体力の衰え、歩くのがしんどい…気持ちの面での不安定さはあったが、ヒナタ姉さんに会いたかった。

色んな意味でのリハビリも兼ねて、電車で30分、パン屋さんでまったり2時間ほどお茶をして、とりとめのない話しをし、また電車に揺られて帰宅した。

たったそれだけしかしてないのに、翌日、脚全体が痛み、1日バタンとなってしまった。




すごいショック…たった3時間の外出で翌日バタンだ。

ヒナタ姉さんに会えたことは嬉しかった。

自分の体力の衰えと筋肉痛や疲労感に辟易した。




主治医の杉浦先生からは
今は何もしなくていい、元気になってからすればいいんだよ
と度々言われているのに、思考回路がついていかない。





正直な話、外出も人と会うのも怖いんです。


朝起きたら、これからどうしよう…

家事がひと通り終わると、これからどうしよう…

ピアノの基礎練(ハノンやツェルニー)をしている時だけ無心になるが、ひと通りの練習が終わったらどうしよう…

クリニックまで行く道でどうしよう…

夜眠れなかったらどうしよう…




一つひとつの行動にどうしよう病がつきまとい、不安になり頭がフリーズする。



閉鎖病棟で同室だったどうしようおばあさんの気持ちが痛いほど分かる。
きっと不安で仕方なかったんだね…
夜中に、どうしようどうしようとガサガサ騒ぎ出したから、私も怒ってしまった…ごめんね…

(過去記事:閉鎖病棟入院⑧〜それぞれの事情編参照)



ヒナタ姉さんもどうしよう病になったと話していた。






あぁ、なんて自分はちっぽけな人間なんだ!!

何もできない、何かしようとすると不安と絶望が襲ってくる…こんな事でこれから先どうしたらいいんだ…





毎日同じことが頭の中をかけめぐり、気がついたら涙がでている。
泣いてばかりだ。





相方はとても気を使っている…事実何をしてもしなくても何も言われない。
『ご飯作れなくてもいいよ、昼間眠かったら寝たらいい、何もしなくていいよ、居るだけでいいんだよ、謝らなくてもいいんだよ、休みの日出かけれなくてもいいよ…』

ごめんなさい、私はあなたのために何もできていません。
最低限のこともできない日もあります。
ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい…




余計なことばかり考え、常にマイナス思考になっている。その合間にハノンのスケールやベートーヴェンのピアノソナタが頭の中を駆け巡り、私の頭の中は大変忙しい。

グルグルと、とりとめのないどうしよう…と共にピアノの音がグルグル…

あ!!ピアノ練習しなきゃ!
あれもしなきゃ、これもしなきゃ!…

AD/HDの特性なのか、うつ状態なのかさえ自分でも分からない。




たまらなくなって、クリニックにセルシンを打ちにいく。
セルシンの注射を打って受診した日のみ、頭の中のグルグルが少し落ち着く。




デジタルデトックスは継続中だ。
情報過多になっている
主治医のコトバは的確だ。
スマホは別室に置き、3時間に1度くらいだけ画面をつけてみる。
ネットもYouTubeも極力見ない、母親も着信拒否にしたままだ。
イライラは随分落ち着いた。





皆さんは苦しい時、誰かに『助けて…』って言えますか?



私はそれがとても苦手なようです。


言われた人は迷惑じゃないだろうか、
言ったところでどうにもならないんじゃないか、


人に頼ることが苦手な私は、いつ誰に、どのように、それを言えば良いかも分からない。

我慢して自分の気持ちを押し殺す事が身についている。





ピアノが思うように弾けない時、手を自分でバシッと叩いてしまうクセは何とかおさまってきた。

しかし今の私は、常に自分を罰しようと、自分の言動に目を光らせ、それにほとほと疲れてしまう。








つい10日ほど前、あのピアノ界隈で知り合った博識ハルキストくんから、ぶどうの贈り物が届いた。
シャインマスカットとナガノパープル。
農園で採れたものをそのまま産地直送で送ってくれた。

採れたてのぶどうなんて、食べたことがない。

大のフルーツ好きで、心が病んで枯れている今の私に、ナガノパープルの甘さとみずみずしさが染み渡った。



博識ハルキストくんとは、ルイ14世に仕えていたリュリの宮廷音楽やフードリヒ2世の話で盛り上がった。
彼の教養の深さと知識量は、大学教授をも超えるだろう。彼ほどひょうひょうとしながらも深い人に出会った事がない。それでいて威張ったり偉ぶったりせず、いつも謙虚な人だ。

博識ハルキストくんの話す内容と、私の母の話がかぶる事がよくあった。
聞けば、彼の両親も仏文卒で、学者さんであった。どうりで…納得した。





私のどうしよう病も、うつ状態もAD/HDも全てわかった上で、付き合いをしてくれる。


私も相方も博識ハルキストくんから多くの事を学んだ。
人の弱さ、愚かさ、軽薄さ、、、そして人としてのあたたかさ。


それら全てを包み込むような、ナガノパープルの甘さは、これから先ずっと忘れないだろう。





久しぶりにnoteを好き放題書いていたら、少し気持ちが落ち着いてきたので、そろそろ生徒ちゃんのお宅に行く準備をしよう。



(またどうしよう病は数時間後には再発するだろうが、今はヨシとする)





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