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代替治療と詐欺クリニック
今、Twitterや某医師専用掲示板で少々話題になっているYoutube動画があります。『詐欺クリニックにがんの専門医が潜入したらとんでもないことになった』というタイトルで、放射線治療医の上松正和先生が、ある患者さんが被害に遭ったインチキクリニックに、患者の家族のふりをして乗り込む、という動画です。
動画の紹介と詐欺クリニックに騙されないようにするヒント、最後に私の代替療法についての考えをお話したいと思います。以下、上松先生の動画のリンクと簡単な要約です。
この記事は4分くらいで読めます
第1回
今回動画を撮ろうと思ったいきさつ、動画の概要について。初めに患者さんの息子という設定で詐欺クリニックを受診し話を聞き、最後に医師であることを告げて医師として説明を求める、という動画になるようです。この動画の後半は、早くも診察室に入り、詐欺クリニックDr.との話し合いが始まります。なんと、がんセンターとがん研究所の区別もついていない、ひどいDr.でした。
第2回 がんは口から出る?
詐欺クリニックDr.との会話が続きます。それにしてもあまりにも内容が稚拙で、がんを治療(?)しているという立場でありながら何も勉強していないというのが明らかです。こんな頼りない説明でも、追い込まれた立場の患者さんは信じてしまうのでしょう、ただ患者さんを舐めているなぁと心底頭に来ます。
極めつけはタイトルにもなっている、「巨大な石のようなものを吐いた、がんの死骸だった」というしょぼい作り話…。
第3回 詐欺医師の本音
都合の悪い質問をされると話を逸らしながら長々とデタラメを話した後、確信部分のサプリメントの話題に。なんだか怪しい名前のサプリメントに対して上松先生が、「なん%の患者が治るのか」と繰り返し尋ねると「そんなのは分からない」と逆切れ。がんセンターの統計には「あれは嘘」の一言。動画の最後でいよいよ確認に迫る質問が飛び出します…。
第3回は今日(2021年9月12日)に更新されていますので、続きが出たらこの記事でもリンクをさせて頂こうと思っています。
第4回 こんなことやり続けるのか〜
嘘ばっかりで本当にひどいですね…今回は上松先生の「お母さん」として詐欺クリニックのDr.に提示した患者さんが、実はこのクリニックに騙されてがんを進行させてしまった患者さんのプロフィールだったことが分かります。Ⅰ期からⅣ期まで数年間通ったであろう患者さんの名前を挙げても、この医師は患者さんを覚えていませんでした。患者さんを人として診ていなかったことが分かります。
詐欺クリニックに騙されないために
私はこの後に詳しく書こうと思いますが、代替治療を受けること自体は何ら問題はないと思います。ただ、恐らく効果はないだろうと思いますので勧めることはしませんし、それによって患者さんが失うものが大きい場合はやめた方が良いことを話します。
しかし、一度患者さんが心酔してしまうと医師が何を言っても聞いてもらえないこともあります。基本的に詐欺クリニックは患者さんを孤立させるために標準治療を否定するところが多いです(例外はあり)。つまり、否定する私たちは「敵」になってしまうことがあります。
私としては、がんになる前に知識で「武装」することがとても有効だと思います。いざがんになって焦ってネットで検索すると、インチキな治療に出くわす可能性が極めて高く、こころが弱っている時はやはりうまい話しに飛びつきたくなるのが人間です。
大須賀先生のnoteは、詐欺クリニックを見分けるための大切な知識を多く公開しています。一度見ておくことをお勧めします。
それから、こちらの本は大須賀先生たちがトンデモ治療に引っかからないための必要な知識をまとめがんの診断を受けたかた、ご家族はご一読いただくと良いです。なかなか病院の先生も時間がなくて、ここまで丁寧に説明してくれないと思うからです。
代替治療は悪か
私は代替治療を完全に否定はしませんが、まだ標準療法で十分治癒の可能性がある患者さんが代替治療に手を出した結果命を落とすことになるとしたら、患者さんの受ける被害はあまりに大きく、それは殺人に近いと思います。
また、患者さんの弱みに付け込んで何百万もする治療を行うことも同様に罪深いです。
しかし、ここが難しいところですが、有効な治療がもうない、あるいはつらい想いをして受けている抗がん剤治療で大きな効果が望めないのだとしたら、私は効かなくてもいいから代替療法をやってみたいという気持ちはとても分かります。
それは正しい希望ではないですが「何も希望がない」よりはましかもしれません。プラセボでも、しばらく元気になったり不安が少なくなるかもしれません。患者さんがいくらかでも笑顔で過ごせたとしたら、それはエビデンスとはまた違う価値です。
治療の善し悪しの判断基準は、「健康被害がない」「お金や手間があまりかからない」だと思います。ただ、手間やお金というのは個人で基準は異なるでしょう。ただ、たとえば月千円~数万円以内で済む丸山ワクチンやレメディ、ハーブティーなどに目くじらをたてる必要はないと思いますし、気功やサイモントン療法などは書籍代くらいしかかからないので別に良いのではないでしょうか。
私もステージ4で治癒が望めないなら、どうせなら抗がん剤で数か月命を延ばすより代替療法を受けて最期を迎えるかもしれません(その時にならないと分かりませんが…)。
まとめ
がん専門医が詐欺クリニックに潜り込みインチキDr.と直接対峙するという、ありそうでなかった動画があったので紹介しました。効果的な代替治療があれば製薬会社がすぐに飛びつくと思いますので、残念ながら代替療法は効果がないと思います。ただ、患者さんの気持ちを支えているなら全面的に否定しなくても良いと思っています。
最後に、時間がある方は是非こちらもご覧下さい。上でお勧めした『最高のがん治療』はとても良い本ですが、ちょっと違和感も感じました。その違和感が、こちらの記事で分かった気がします。
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