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HW本編 第一部(プロローグ)

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それは、かつての残滓。 巡りを止めた世界で、彼は言葉を紡いだ。その真意を知る者は、もはや誰もいない。
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プロローグ:残滓

破壊は再生へ。終わりは始まりへ。
 幾度となく繰り返される時の巡り。そこに例外はなく、『これまで』を失った世界は『これから』へと生まれ変わる。

 ――――その、筈だった。

 そこは、終わりゆく世界。あたりは闇に支配され、すべては等しく無へと還る。憎悪、失望、絶望……それらすべてを煮詰めたものがはびこり、侵され、吞まれてゆく。それは、唯一”残されてしまった”彼も例外ではなかった。
 光は途絶えた

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