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ハードな繋がりじゃなくてソフトな”つながり”を 【シトラバ×小杉湯コラボイベント】
小杉湯番頭兼インターンシップの石田です。
5月22日と23日、雨が降ったり晴れたり。明と暗を繰り返す淀んだ空模様の中、小杉湯×シトラバコラボイベントは開催されました。小田原の矢郷農園から送られた色鮮やかなレモンたちが、小杉湯のあつ湯に浮かび上がってきたり、軒下でノンアルレモンサワーになっていたり、はたまたシトラバの店舗で振舞われていたり。コロナで塞がった日常にすこし爽やかさを与えられたようなイベントだったなと改めて思います。
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シトラバ×小杉湯コラボイベントは、小杉湯インターンシップで行った最初の活動でした。シトラバさんとのコラボで行った内容は、小杉湯インターンシップが0から考えて企画したものです。
小杉湯インターンシップでは、シトラバさんとコラボするにあたって、もっとシトラバさんの魅力が発信出来ないのか、高円寺のお店の魅力を発信出来ないのか、更にいうならばもっと高円寺の居酒屋の、シトラバさんの魅力に気づけるのかを考え、実際に行動にも起こしていきました。
その一部始終を、シトラバさんの魅力も踏まえつつ、小杉湯インターンシップの活動軌跡として紹介出来れば、と思います。
そもそも小杉湯インターンって一体何なんだよ
これを書く上で、そして今でも疑問なのが、この小杉湯インターンとは何者なのかということです。Twitterで唐突に「小杉湯で長期インターン始めました」というツイートを以前、この小杉湯アカウントでもしましたが、一体全体よく分からない人もいると思います。
⭐️小杉湯インターンキックオフ⭐️
— 小杉湯 🐣高円寺の銭湯 (@kosugiyu) April 28, 2021
これから何をやっていきたいか、1年後どうなっていたいか、そのためには何が必要か、などなどを話し合いました‼️
みんなそれぞれ面白いことを考えていて楽しかったです😆
どんどん形にしていくぞー💪 pic.twitter.com/n92JQm4Ta8
小杉湯インターンの出自とは。そりゃ「日本の古き良き銭湯文化の存続と未来と真剣に向きあい、自分らをも成長させていく団体」とかいっちょまえカッコつけて書いてみたいものですが、正直に書いてしまいますと、小杉湯三代目・平松佑介さんの「鶴の一声」で唐突に出来た団体です。
「インターン、俺、本当にやることにしたわ」
小杉湯は杉並区高円寺北三丁目にある銭湯なのですが、環七通りを挟んだ中野区中野四丁目に早稲田大学の国際学生寮WISHがありました。そのWISHという800人ぐらい住んでいる寮から、小杉湯や小杉湯となりで働いている人が、偶然5人もいたのです。どうせなら、WISHに住んでいた早稲田大学生、その付近の若者たちで何か小杉湯で活動をしてみないか。私は元々そのWISHという寮にたまたま住んでいましたので、そう佑介さんからお誘いがかかったのです。
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正直、「予算を渡すから」と言われるまでインターンの活動を開始するのか、全く信じられませんでした。疑問符「?」が沢山湧いてきましたが、大学四年生というモラトリアム最後の期間、小杉湯でも活動したいなという思いもあり、半信半疑で、参加することにしました。
でも、小杉湯でしたいことはたくさんあった
知らないうちにLINEグループが出来て、知らないうちに懇親会が設定されて勝手に行われ、知らないうちに会議の日程が決まり、オリンピック(スーパー)で模造紙と付箋を買い、まちおかでミーティング用のおやつを馬鹿みたいに買う。よく状況が飲み込めていないうちに「小杉湯でこれから何をしていきたいか」を話し合う会議が始まりました。
「小杉湯でこれからやりたいことをなんでもいいから書き出してみて」
佑介さんに言われて、六人ぐらいいるインターン生が付箋に一斉に書き出し始めました。考えが凝り固まらないよう、後ろではガンガンスカパラの音楽を流しながら、キュッキュッと摩擦音を鳴らしながら調子よく、サインペンが躍ります。
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「メンバーが仲良くなるために旅行をしたい」「もったいない風呂の生産者のもとに行きたい」「高円寺のお店をもっと知りたい」「高円寺のお店からまかないを貰いたい」「常連さんと一緒にイベントをやってみたい」「地域のおじいちゃんおばあちゃんのお手伝いをしたい」「子どものためにプールを開きたい」「自分のための勉強をしたい」「コロナを終わらせたい」
いろいろ出たけども、私たちがやりたいことは、もったいない風呂の生産者さんのために何かをする、高円寺のお店のために何かをする、高円寺に住んでいる人のために何かをする、の三つの思いが主軸としてあるのだなと思いました。結局、住んでいる人や新しい人との出会い、親睦を深めてつながりを作ることがやりたいことなのだと分かりました。
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私は地元・北海道札幌市の大学には進学せず、親に無理言って東京の大学に進学しました。文化の発信地である東京に行きたいという思いも少しはありましたが、「地元の繋がりが嫌になったから」というかなり後ろ向きの理由もありました。しかし、WISHに入って、サークルやゼミに馴染んで、更に小杉湯といったようなあたたかなバイト先に迎えてもらって、私はつながりの良さも知ることができました。もちろんつながり故のデメリットもありますが、札幌にいたときと異なり、持ちつ持たれつ・つかず離れずの上手な関係性を築いていけるようになりました。だからこそ、自分がもっと楽しくなるために、自分のお世話になっている人がもっと楽しめるようなつながりを、高円寺中に、日本中に、もっと言えば世界中に作りたいと、わくわくしていました。
はじめての貢献
毎回会議では「小杉湯インターンシップでやりたいこと」を付箋に書いて模造紙に張って共有する作業をするのですが、夢ばかりが描かれた付箋がどんどんたまっていき、付箋だらけの模造紙の置き場所に困ってきた頃、こんな話が出てきました。
「シトラバイベントがすぐ近くにあるので、是非インターンのメンバーで何かしらやってみないか」
私は一度シトラバという居酒屋に訪れたことがあるのですが、常連さんというほどつながりを持っている訳ではなかったので、このコラボイベントに携われると知って「常連さんのような付き合いが出来る!」と思い、嬉しくなりました。
私の地元である札幌の実家の周りには、個人経営の店が少なく、外食もあまりしていないような家だったので、「行きつけのお店」というものの存在がどこかドラマの世界の出来事のような気がしていました。東京に来て、大学三年生から一人暮らしを始めても、そういうドラマのような常連が沢山いるお店というのはちょっと入りづらいし、人見知りの自分は入る勇気がなかなか出ませんでした。だから、今回はそういういわゆる街の飲食店のような場所に関われるのはありがたい経験だと思いました。
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今回のコラボは、シトラバという企業と小杉湯という企業の、企業同士のハードな繋がりではなく、シトラバの人と小杉湯のインターン生でのソフトなつながり、交流を目指すことになりました。
ハードな繋がりとソフトなつながり。ハードな繋がりというものは、例えるならば雇用者と労働者、企業と企業、学校のクラスメイトのような関係性だと思います。ある目的を介して繋がるつながり。仕事とか、イベントとか、地域活性化とか、キャリアのためとか。その目的が達成されたら人間同士の関わりは消えてしまう。ソフトなつながりというものはそうではなく、言うなればプライベートで仲良くなれるような友達、仲間のような関係性のことを指します。
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小杉湯インターン生が求めるのは、ハードな繋がりではなく、ソフトなつながりです。ただコラボして終わり、ではなく、その後も小杉湯インターンメンバーがシトラバに来続けて、交流し続けられる関係性を育みたい。コラボ先ではなく、顔なじみの店になっていきたい。そして高円寺に、ソフトなつながりを持った店を増やして、街に住むという感覚を付け、外に魅力を発信していきたい。大学以外で「ご近所さん」のような、ソフトなつながりが出来ずらい今、私たちがやるべきなのはこういうことなのかなって思いました。
以下、インターンがやった出来事について紹介していきます。
シトラバコラボ風呂POPを一緒に作る
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「あれ、可愛い!」
シトラバの店内に入った時、なんとも手書きの短冊やメニュー表がどこか懐かしく、可愛らしく見えました。これを小杉湯の真っ白い浴室の壁に貼れないものかと考えました。ただのレモン風呂に入ってもらうより、シトラバに来てもらいたくなるはず。シトラバの社員さんにご教授してもらいながら一緒に作成してもらいました。達筆な筆文字はシトラバさんの社員さんにもちろん、書いてもらいました。流石、上手です。
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また、休学してデザインを勉強しているインターンメンバー・むとちゃんが、シトラバ×小杉湯コラボを宣伝するPOPを作りました!なんとやる気のあまり、4つもデザイン案を出してギリギリの時間まで粘り強く作ってくれました!そのこだわりの強さ、とてもかっこいいです。
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こだわりにこだわったPOPがシトラバのガラス一面に、小杉湯の中に、大量に張られることになりました。いち勉強中の大学生のデザインが、沢山の人に見られる機会を得られてむとちゃんは嬉しそうでした。決して地域のためだけじゃなくて、個人の夢をもあばよくば叶えるのが、インターンシップの醍醐味です。
シトラバのインタビューnoteの執筆をする
シトラバの魅力を文章で発信したい。大学で文芸創作の勉強をしていることもあり、私は以下のシトラバ店主・脇篤史さんにインタビューをし、シトラバの魅力やシトラバで働く人の魅力を伝えるための記事を執筆しました!我ながらいい記事が出来たのでは?(笑)是非以下のリンクをクリック、タップ、お願いいたします!
一緒に仕込みをやる
シトラバコラボ前日の5月21日。小杉湯の浴槽に小田原・矢郷農園直送レモンを入れるために、大量のレモンをシトラバの社員さんとインターンメンバーでたくさんカットしました。圧倒的な手際の良さでレモンをカットしていくシトラバさんに負けじと若者たちが対抗します。
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無農薬ノーワックスのレモンなのか、傷や斑点がついたレモンが沢山ありました。それだけ、天然ものということで、スーパーでは売れないものが出てくるのでしょう。
小杉湯の軒下でノンアルコールレモンサワーの販売
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小杉湯の軒下、入り口でノンアルコールのレモンサワーを販売していました。シトラバのスタッフさんにいつものレモンサワー、贅沢レモンサワー、塩レモンサワーといった三種のレモンサワーの作り方を教えてもらいました。そして、シトラバのスタッフさんと小杉湯インターンメンバー、それぞれ二人ずつが軒下でレモンサワーを売っていました。インターンのやっちゃんが忙しい間を縫って作ってくれたレモンのお面を頭に付けて売りました(笑)。とても似合っている。
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熱々のレモン風呂から上がった後にはちょうど良い、冷たくて爽やかなノンアルコールレモンサワーを提供出来たと感じています。美味しくてお代わりする人もいたりすると、とても嬉しかったです。
隣で一緒に頑張って売っているシトラバの社員さんと世間話をしたり、サワーを買ってくれるお客様にシトラバへの道の行き方を教えたり、そういう他愛もない会話がとても楽しかった記憶が強いです。
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軒下での導線が上手に確保できなかったり、人が溜まってしまって小杉湯に来てくださったお客様の迷惑になったという反省点もありましたが、そういう失敗にも素直に向き合い、よりよいサービスが提供できるよう頑張ります。
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また、小杉湯店内でシトラバTシャツなど限定グッズも販売!このレモンのデザインは、シトラバのガラスコップにも描かれているものです。
シトラバでアルバイト体験
小杉湯に来てもらうばかりではなく、シトラバにも行ってお手伝いをしたい!お店のお手伝いをして見えてくるものもあるだろう。お店のやりがいや大変さをしって、そしてシトラバの業務を教えてもらうことで、シトラバの店員さんともっと仲良くなりたい!そう思い、しんしん、えっぐ、むとちゃんの三人が開店前の清掃と、ホール業務を体験しました!えっぐ曰く、業務は緊張しましたが、シトラバの人のやさしさも感じられたそうで、とてもいい体験になったと思います。
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彼らの頑張りあって、シトラバさんからチキンカツカレーのまかないを頂きました!高円寺のお店に何かしら貢献してまかないを貰うのも、私たちインターンの目論見の一つでした!いいことした後のカレーは最高です!美味しい!
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SNSでの発信
これらの活動を随時リアルタイムの臨場感を持って発信するために、Twitterで一日二回投稿をしていきました!これからも、シトラバの魅力の他、小杉湯インターンシップの小話を投稿していくつもりです!
本日のレモンサワー軒先販売終了しました🙏
— 小杉湯 🐣高円寺の銭湯 (@kosugiyu) May 22, 2021
なんと、今日1日で91人もの方にレモンサワーを飲んでいただけました、ありがとうございます!🥺💛
大好評レモン風呂、軒下でのノンアルコールレモンサワー販売、どちらも明日もやってます!
レモンサワーは朝9時スタート!
ぜひお越しくださーい!🍋🛁 https://t.co/JINdoHOh1Z pic.twitter.com/aRlxGe86rn
シトラバ×小杉湯コラボのこれから
高円寺とのつながりを深めるための第一ミッションとしてあった、シトラバさんとのコラボ。もちろん上手に行かなかった点も多々ありましたが、結果的にうまくいったのではないのだろうか、ハードな繋がりだけではなく、ソフトなつながりを生み出せたのではないのだろうかと考えています。
6月12日、13日にも再びシトラバとのコラボイベントをやります。次はレモンじゃなくて夏みかんをお風呂に入れようかという話も!その時までに、私たちはハードな繋がりに戻らず、ソフトなつながりを持てればと、回覧板をはじめようかと計画中です。
でも無理やり、ソフトなつながりを維持するわけではありません。楽しさ、気楽さがないと人と人は接しようと思いません。どういうつながりを是とし、楽しんでいけるのか。それは、高円寺という街に挑戦しつづける、私たち小杉湯インターンシップで試行錯誤していこうと思います。
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(文責:石田美月)
クラフト麦酒酒場 シトラバ
杉並区高円寺北2丁目22−6 キャニオンプラザ大須賀 1F
03-6383-0301
※中央線・総武線高円寺駅北口から徒歩4分。駅から入った場合、純情商店街の突き当り。小杉湯からは徒歩1分
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〈シトラバ〉脇さん、尚山さん、ゆうかさん、かよさん