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波乱だった過去【18:DV彼氏との恐怖の夜】

薬物欲しさに事務所に連れて行かれ
朦朧と意識もない中
知ってるヤクザ屋さんにレイプに遭った日から
私は一切の薬物を辞める決心をした



元々、依存と言っても
私にとってドラッグは
ツラい人生や現実から逃れるための
逃避のための道具でしかなかったから
辞めると決めたらそこから抜け出すのは
そんなに難しいことではなかった



ドラッグのために
あんな悔しい情けない目に遭い
自分の馬鹿さ加減をとことん思い知ったら
辞めるという選択以外に浮かぶのは
「死ぬ」以外ない




ドラッグを辞めて
普通に働いて普通に生きてみたい…

そう思いながらも
普通の人生というものが
私には手の届かない
遠い遠い憧れでしかなかったこの頃


高校に通って
帰ればお母さんが迎えてくれて家族がいて
普通の食卓があって
そこには笑顔があって…

そんなごくごく普通の人生が
私には羨ましくて羨ましくてたまらなかった



何だかもう
遠く知らないところに行きたくなった私は
この年の夏
千葉にある海の家に住み込みで働こうと決めた

郵送で送った履歴書で採用が決まり
2ヶ月分の荷物を送った日


その日の夜、中学からの同級生で
よく遊ぶグループの仲間の一人だった男の子から
「行かないで」と止められ告白をされた私は
荷物を戻しバイトを辞退して
その彼と付き合うことにした



今までの話にはあまり出て来ていないが
小学校・中学校からの同級生で
決して不良ではないけれど
高校も辞めてフラフラしている
走り屋の男子ばかりのグループに
しょっちゅう顔を出しては
みんなとカラオケに行ったり
ドライブに行ったり
ビリヤードをしたり
パチスロをしたりと
よく遊んでいた


バカ正直でこのまんまの性格の私は
グループで固まる女子よりも
裏表ない男子と居る方が気が楽で
ここでも男子の中に女は一人という
そんな状況でよく遊んでいたのだ


そのグループにいた同級生の男子と
付き合うことにした



たまに彼の家に遊びに行っては
彼のご家族と一緒に
夕飯をご馳走になったりしたけど
家族で食卓を囲むという
経験がない私にとって
それが本当に新鮮だった


今でも覚えているのは
彼の家で夕飯をご馳走になった時
沢山のおかずが並び
彼のお兄さんが
「母ちゃん、おかわり!」と
お茶碗を差し出す光景に
”これって私が来てるから演技してんのかな?”
と思ったこともあった


ご飯と言えば
ひとりで食べるもの

小さい時から
朝も夜も食事はひとりで食べて来たから
サザエさん一家みたいな光景に
ドラマの世界だけなのかと思っていた私は
思わず彼に
「これって本当にやってるの???いつもこうなの?」
と聞いてしまったくらい
私には衝撃的な光景だった




けれど
そんな彼とも付き合っていくにつれて
彼の束縛や筋の通らない理不尽な怒りや罵倒が増え始め
私にとって徐々にツラい恋愛となっていった


彼がウチに来て
ちょっと目を離した隙に
私の過去の写真や日記などを
勝手に見ては怒りだす


怒りだすと手をつけられなくなり
ビックリするくらいの罵倒が始まる

時には手が出て来て
ひっぱたかれることもある


暴力ではなかったけれど
「てめえ!このやろう!」
と妄想にも近い束縛や嫉妬で
2時間3時間と延々と怒鳴り続ける


周りの男友達もさすがに
やり過ぎだと止めに入ることもあったくらいで
まぁ今なら完全にDV


だけどDV気質の彼なので
私がもう無理だと別れようとすると
家まで来てとにかく
「もう2度としないから」と謝り続ける



そして淋しさと情ゆえに
許してしまう私


そんな
DVにありがちなパターンの付き合いが
半年ほど続いていった



幸せなんて言葉は無縁の中で
むしろ私は
彼に対して愛情よりも
恐怖心の方が大きくなっていた


私の意に反することしたくないことも
彼が怒りだすから我慢をする


そう、今思えば
典型的な自分を大切にしていない女性の
不幸な恋愛パターンだった



私の本にも書いているけれど
(拙著あなたは何も悪くない
自分の存在価値はないものだと心底思い
自信もなく
自分を大切に思えもしなければ
自分をまったく愛せていないのだから
当然と言えば当然の恋愛だけれど
当時の私にそんなのわかるわけもなく…



そんなある日
彼の家に遊び行った私は
恋人である彼に無理やり身体を求められた


その日はお正月で
彼の家族も出かけて居ない

この頃は私も彼が怖くて
お泊まりに行くようなデートは避けていた

彼の家だし
親が帰ってきたら嫌だから…と
頑なに拒否をしたが
彼は嫌がる私を
無理やり襲って来た


そこには恋人同士の風景はなく
まるでレイプのような光景


彼に対して恐怖心しかなく
そういう行為自体も
本当に苦痛でしかなくなっていた


どんなに嫌がっても彼には通じない

”やっぱりもうこんなの無理だ、別れよう…”
”今日これを最後に、今度こそ終わりにしよう”

そんな気持ちが心も身体も駆け巡る

避妊する物もない中で
とってもイヤで
とっても怖くて
とってもツラかったのを
今でも覚えている



とにかく我慢して我慢して
時が過ぎるのを待つ
そんな状態


それでも彼は
無理やり私を襲って来た





そして、その月


私は妊娠した





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