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マスコミの取材に思うこと

NPOにしてこの10年
何度かメディアの取材を受けたり

3ヶ月だけだけど某テレビ局の
コメンテーターをやらせてもらったりしたけど

何となく毎回うっすらと感じることがある。


子どもたちのOD(オーバードーズ)や
自殺についてコメントを求められる際
子どもたちの悩みや苦しみの原因を聞かれるので

『やっぱり一番は親との関係や
家庭環境の問題で
子どもたちが求めてるのは親からの
無条件の愛なんです』

みたいな話をすると

これは本当に感覚的な話だけど
メディア側の「それじゃない感」
感じることがよくある。


もちろん「あー、そうなんですねー」と
受け止めてはくれるけれど

「他には?学校やいじめは?」みたいに
実際に現場で感じてる課題ではない話に
移ることが多い。


先週発表された子どもの自殺率の原因も
トップは「学業や進路、学校のこと」だけど

長年LINE相談をしてきて分かるのは
単純に進路や学校のことで悩んでる子は少なくて

親の期待に応えなきゃいけない
という苦しみから来る進路の悩みや

学校のいじめを親にも相談できずに
どこにも居場所がない子など

結局は親の愛情を感じられてない寂しさや
家庭に安心出来る居場所がない辛さからくる
希死念慮の相談がほとんどだったりする。


たとえば

「行きたい学校があるけど
親が進学校に行けって言ってて
でもそんな頭良くないし辛い」とか

「親の勧める学校に行かないと
何のために塾や学費払ってると思ってるんだ!
と怒られて辛い、死にたい」とか

「あなたのためにって言われて
感謝しなきゃと思うけど
そんなふうに思えない自分は
ダメな人間だと思う」とか

「いじめられてるけど親に相談できない
心配かけるし、学校行きたくないだけでしょ!
とか言われるし」等々

本当に99%と言っていいくらい
子どもたちが自己肯定感低く生きづらいのは

「やっぱり親や家庭環境だよね…」と

うちの相談員だけでなく
子ども支援や親支援をしてる人は
みんな声を揃えて言っている。


少なくとも私の周りで本気で活動してる人は
全員そう言う。


決して親側を責めてる話じゃなく
大人が悪いんだ!なんて言いたいわけでもなくて

親である大人を取り巻く社会情勢や
景気や政策だったり
大人の幸福度を上げる世の中を作ることも
同じくらい大事なんだってことも言いたいんだけど

マスコミはそんな現場の声は
求めてないのかな?なんて…


真剣に子どもたちと向き合ってる同業の人なら
必ずと言っていいほど

「やっぱり親だよね」
「大人を変えないと…」と

激しく共感し合えるほどの共通認識なのに

何故かテレビやメディアは
そこを拾って深掘りすることがほとんどなくて

子ども達の自殺や生きづらさの問題の本質や核心を
真に取り上げてくれるメディアは本当に少ない

というかほぼない。


過去にテレビは一度、あと一部雑誌は
親へのメッセージを尋ねてくれたことがあったけど

ほとんどの場合、取材やインタビューを受けても
核心や本質を拾ってもらえず
毎回モヤ〜っとしたものが残る。


先日久しぶりにメディア取材を受けて
長年うっすらとモヤモヤしていた
出演後の消化不良のようなものが
初めて言語化できた気がした。


ODとかリストカットとかのワードを出すと

「やっぱりそういう相談多いんですか⁈」と
すごく前のめりな反応されるけれど

何故それをするのか?どう対応したらいいのか?
という子どもたちの真の叫びや対策には

悲しいかなマスコミはほとんど興味ないのかもしれない。


本当はそこが一番重要なのに…


うちの団体では
元相談者の若者が元気になって相談を卒業し
うちの相談員として活躍してくれてる子が
何人かいて理想的な循環が起きてるのだけど

希死念慮から脱却し
笑顔で前を向くようになる過程で
大切な要因のひとつに

「親と和解する」ということがあって
親と和解できた子の成長や進化のスピードは
目に見えて大きい。


もちろんこれに限ったことではないけれど
親に自分の気持ちを正直に話せて

それを親が頭ごなしに否定することなく
真正面から受け止めてもらえた子は

飛躍的に生きることに希望を見出します。


メディアは子どもたちの危機的現状を
センセーショナルに報道するのも
大事なのかもしれないけど

こんな豊かな国で
子どもの自己肯定感が世界水準でも極めて低く
自殺率も先進国で一位という
日本の状況を改善するために

本当に大切なことを取り上げてくれる
テレビやメディアがあれば…

と強く思う今日この頃です。


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