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きゃらぶきと中国製屋根




壁のなか


僕とあなたを隔てるのはなんだろうか
問うていた嗄れた声の歌う人はナントカを持っていて捕まった

よく人を見ているつもりでいる
なのに誰にも会わない、合わない
自分が確りあるはずでいる
なのに誰にも合わない

人間関係には壁が付き物だ
多分
聞いたことがある
しょっちゅう

ただ、その壁の向こうは知らんとして、壁のなかはどうなっているだろうと思う
詰まっているのか、空間があって誰か暮らしているのか、一人で住んでるのか、家族がいるのか、みんな元気か、何を食べてるか、寝れてるか、働いてるか、たまの休日は何をするか、贈り物は迷惑か、鯛2尾とか邪魔か、冷蔵庫は空いてるか、でっかい冷凍庫はあるか、WiFiは通ってるか、今度遊びに行ってもいいか、都合いい日はあるか、お酒は飲めるか、アレルギーはないか、他に必要なものはないか

とても気になる

壁はルールを作る
友達を守る
家族を離す

壁は人を作る
街を守る
世界を離す

壁のなかは無秩序で、みだらで、暖かい
壁のなかは手短で、身近で、じめじめして、すこしみじめだ



夏の実存


ぶくぶく太った毛羽立つ雲と深緑の山の群れが
冷えた風に包まれる
住宅街の表の路は彩度が嫌な程冴えている

夏はこうでなくちゃ

蝉たちは賛美歌を己の命賭して叫ぶ
冗長な日々が熱され余計伸びる



交差

魂が交差すると人は恋に落ちるらしい
僕の魂は多分あの人のと平行にある
こんなに近いのにどうもだめなんだって
ノイズもゴミも貯めたままで
うちのはさみは右利きにしか使えない

校門前の交差点は事故が多い
魂が交差すると人は恋に落ちるらしい





話し方も息の吐き方も
僕のとは多分違う種類だと思う

いつも冬はほかの季節の時と違い現実味がない
冬になれば世の中はずっと冬だとさえ思えてくる
冬という季節は世界から隔離されているのだ
冬は凍える
でも隅から隅まで冷たく素っ気ない訳ではない
食べ物が美味しいのは冬だ
人の愛情を感じるのは冬だ
人は冬に大切な人と会う
機会を設けている

何にもならない
遠い先で終わるならそれは永遠だ
瞬間になる
時間は無い
時間という概念は存在しない

冬はそんな季節だ

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