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その夢叶えましょう

今日、膝が痛いと言われる入居者を整形外科に連れて行き膝の水を抜いてもらったんですが、膝の水の色があんな色だとは思ってもいなくて、「うわっ」って声が出てしまいました。

こんにちは、コッシーです。


さて、うちの施設の中で最も介護度が高い入居者がSさんという女性の方になります。

Sさんは要介護5でほぼ全介助の入居者さんです。ご自身で歩くことも出来ないため移動は車イスですし、食事も全介助です。認知症もかなり進行しているため会話もままならない状態です。

しかし、言葉を発する事は出来るため調子のいい時には意思の疎通が取れてるかは微妙なところですが、お話をすることが可能です。

例えば配膳を待ってる時には、

「Sさん、今日のご飯は何だろうね~」

「もう少し待ってください。なんもかんも1人でやっておりますので時間がかかります。」

と言われたり、

例えば排泄介助でオムツ交換してる時には、

「Sさん、お尻をもうちょっと上げてもらって良いですか?」

「これ以上お尻を上げたら漏れてしまいます」

という感じで話が噛み合ってるような合ってないような感じになりますが、それはそれでコミュケーションが取れてると思いますので、僕はこれで良いと思っています。


そんなある日のことです。

Sさんと昼食を一緒に食べている時にTVにタラバガニが映りました。

「Sさん、カニが映ってるよー!美味しそうだね。Sさんはカニ好きかな?」

と答えが返ってくるとは思わずSさんに話しかけました。するとSさんから思いがけない返事ありました。

「私はカニが1番好きです。」と言われました。

本当に失礼ですが、僕の質問に対して完璧な答えが返ってくるとは思っておらず、「へっ!?」というすっとんきょうな声を出してしました。#すっとんきょうって何?

「え?Sさんカニが好きなの?」

「はい。私はカニが1番好きです。」

「そっか…そっか、そっか!Sさんはカニが好きなんだ!みんなー!Sさんはカニが好きなんだって!!」

Sさんが僕の言葉にしっかり答えてくれるのが嬉しくて食事中にも関わらず僕はスタッフを呼んでしまいました。

集まってきたスタッフがSさんに声をかけます。

「Sさんカニが好きなの?」

「はい。私はカニが1番好きです。」

「すごーい!Sさんがこんなにちゃんと答えるなんて!」

Sさんの反応にスタッフも驚きそして喜びます。

介護をしているとたまにこういう奇跡の瞬間に遭遇することがあるのでやめられません。


Sさんの奇跡の瞬間に喜びをかみ締めていると、あるスタッフがこんな事を言い出しました。

「でもSさんにこんな風に言われたら、もうカニを出すしかないんじゃないですか。」

他のスタッフもそれに便乗します。

「ですよね!Sさんにカニを食べてもらいたいですよね!!」

「みんなもカニ食べたいよね!」「食べたいです」

「これはもうここでカニを振る舞わないと治まりきかないですよ!!」

入居者が期待の目で僕を見ます。ここで「ダメです!」と言える勇気は僕にはありませんでした。

「分かりました!では皆さんにカニ料理を出します!!」

「「「やったーーー!!!」」」


というわけで、おそらくうちの施設開設以来初めてカニ料理を出すことになりました。たださすがにカニを丸ごと出すのは手間もかかってしまうので、カニ缶を出そうと思いました。

早速厨房スタッフにそれを伝えたところ、「でもカニ缶って結構高いし、全員分用意するとなると結構数いるけど大丈夫?」と言われました。

まぁ高いと言ってもたかが知れてるだろと安易に考えていましたが、ネットで調べてみると、めちゃくちゃ高いんですね!!

普通に1缶1万もするのもあるし、安くても何千円もします。それを入居者全員分用意するとなると…さすがに予算オーバーかもしれません。

しかしもう入居者には約束してしまいました。ここで「やっぱりやめまーす!」なんてことを言えるはずがありません。やばい…どうしよう…

顔面蒼白の僕を見かねた厨房スタッフが助け舟を出してくれます。

「蟹雑炊にしようか。そうすれば蟹はそんなに必要ないし蟹の風味も出て美味しいよ」

「か、蟹がそんなに必要ない…?」

「うん、多分3,4缶でいけると思うよ」

3.4缶…それならいけるかもしれん!

「蟹雑炊にしよう!絶対に蟹雑炊にしよう!!もう決定です!!」

「分かった(笑)分かった(笑)」


というわけで、入居者が全員いる今年最後の日曜日12月27日に蟹雑炊を振る舞いたいと思います。

当日は蟹雑炊記事になると思いますので、皆さんもお腹すかせて楽しみにしてくださいね。

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現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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