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吸いません!すいません!

『カレーを作って息子が食べた』字面にすると普通の事ですが、それだけで喜びを感じれる僕は多分めちゃくちゃ幸せ者なんだと思います。#市販のカレーだけどね

こんにちは、コッシーです。


さて、多くの施設で同じだと思いますが、うちの入居施設では居室での喫煙を禁止しております。ただ今まで喫煙していたのにこちらに入居したから禁煙しろと言っても簡単に出来るものではありません。

隠れて居室でタバコを吸われるのが1番危ないので、館内に1カ所、外に1カ所喫煙場所を設けていますので、おタバコはそちらで吸っていただいております。

現在の入居者でタバコを吸うのはお二人いまして、1人は女性の入居者でその方はきちんと喫煙場所で吸われます。

「部屋に籠りガチになっちゃうから、気分転換になってちょうどいいわ」

と言ってくださります。#とっても良い人

問題はもう1人の方です。Iさんという男性の入居者です。


Iさんは面倒なのかそれとも注意された事を忘れてしまうのか、居室でタバコを吸われます。Iさんは2Fのお部屋ですからIさんがタバコを吸うと2Fフロアが臭くなるためすぐに分かります。

2Fでタバコの匂いがする度にIさんには注意をするんですが、Iさんは決まって「もう二度とタバコは吸いません!すいませんでした!」と言われます。

しばらくは本当に止めてくれますが、ほとぼりが冷める頃にまた2Fフロアがタバコ臭くなります。

「Iさん、万が一火事になってはいけないのでタバコを部屋吸うのはやめましょうか」

「もう二度とタバコは吸いません!すいませんでした!」

そんなやり取りを繰り返していました。

スタッフからは1度厳しく注意をした方が良いと言う意見も出ています。基本的に入居者を叱るような真似はしたくはありません。しかし万が一火事などの事故があってからでは手遅れになります。うーん…どうしたものかなと考えていました。


実はIさんには遠方に双子のお兄さんがおり、時々こちらに来てくださいます。年を重ねると兄弟の顔は似てくるとよく言いますが、Iさんとお兄さんは全く同じ顔をしています。

Iさんは普段メガネをしているためそれで見分けがつきますが、メガネを外すとたとえ入れ替わったとしても気付かないかもしれません。それくらい瓜二つでした。

お兄さんはこちらに来られると「弟がよー、迷惑をよー、かけてないかよー」と必ず言われます。語尾に「よー」とつけられるのが特徴でそれを聞くとなんだかホッコリします。

昔お兄さんにお世話になったのか「兄には頭が上がらない」とIさんはいつも言われます。弟を心配する兄と兄を尊敬する弟、とても素敵なご兄弟だと思います。


先日、Iさんのお兄さんが久しぶりにこちらに来られました。

お兄さんにあまり負担はかけたくはなかったですが、タバコの件を相談しました。するとお兄さんは申し訳なかったと言われ、Iさんに厳しく注意をしました。

「お前よー、部屋でタバコをよー、吸ってるらしいな!タバコはよー、部屋ではよー二度と吸うんじゃない!分かったよー!!」

Iさんのお兄さんがかなり厳しくIさんを叱ります。お兄さんに怒られるのが苦手なIさんは必死で弁解します。

「ごめん!分かったから!もう吸わないから!もうやめるから!」

今までのパターンだとここで引き下がりまた同じ事を繰り返していました。今回はやめさせるチャンスだと思い、僕からもIさんに注意を促しました。

「Iさん、でもいつもそう言ってるよね。本当にやめれますか?」

珍しく僕が真剣な表情で伝えたため、Iさんもいつもと違うと感じたのか、さらに必死で謝りました。

「もう絶対に吸いません!本当にすいませんでした!」

そこにお兄さんがさらに被せて叱ります。

「お前よー!そんな事言ってよー!またやるんだろ!」

「もう吸いません!すいません!」「お前よー!吸うなよー!」

お二人の掛け合いを聞いていたら、なんかRAPみたいだなと思ってしまいなんだかおかしくなって笑いがこみ上げてきました。しかも同じ顔の二人がやり取りしておりそれもまたツボでした。

「吸いません!(お前YO!)すいません!(吸うなYO!)」

ダメだ…今は真剣に話をしているんだ…笑うな、笑っちゃダメだ!

笑ったらいけないと思えば思うほど笑いの波がはちゃめちゃに押し寄せてきます!

「吸いません!(お前YO!)すいません!(吸うなYO!)」

もうやめてくれ!II兄弟!我慢の限界だ!いつまでYO!YO!言ってるんだ!

多分常人なら噴き出していたことでしょう。しかし僕は愛知県屈指の統括責任者です。並みの精神力の持ち主ではありません。顎辺りまで来ていた笑いの波を何とか飲み込みました。


か、勝った……


僕は噴き出す事なくII兄弟とのバトルに勝利できました。やっぱり僕は並みの統括責任者はないなと自画自賛していたら、あるスタッフがボソっと言いました。

「RAPバトルみたい…」

退けたと思っていた笑いの波が再びザッパーンと押し寄せてきました。第二波にはさすがの僕も勝てず噴き出してしまいました。#コッシーアウトー

我慢に我慢を重ねていたためその波はとてつもなく大きく、しばらく僕の腹筋は崩壊していました。II兄弟はそんな僕をポカンとした表情で眺めていたのでした。


(笑ってはしまいましたが)僕からもお兄さんからもいつも以上に厳しく言われたせいか、今のところIさんはタバコを所定の場所でしか吸っていないようです。

またお兄さんが注意することになったら、思い出し笑いだけで腹筋が崩壊してしまうと思うので、そうならないように注意していきます。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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