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はぐくみ・うまれ・そだつ No.6"命の重さ2"

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生まれてきた子は700グラムちょっとの小さな子。情が移るといけないから抱っこは控えたほうがいいといわれそのまま棺に。

その晩はショックで何も考えられず、けれども後悔の念は幾度となくあふれてきた。ほかの部屋から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声・・・。胸が張り裂けそうになる。眠れなかったら薬を出すからね。と見回りに来た看護師さんが声をかけてくれた。

家にもどったパパさんも長男君と過ごしながらもなぜこんなことになってしまったんだろうという思いばかり。やはり一睡もできなかったらしい。


翌朝、病室に来たパパさんは「今から、赤ちゃんの服とプレゼントを買いに行こう。先生に外出許可は取ったから」と、

私を車にのせて子ども服のお店とおもちゃ屋さんに。きれいな白いベビードレスとたぬきのぬいぐるみを買いました。

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「今までさ、本当の意味で父親になれていなかったんだと思う。お父さんやお母さんがすぐそばにいるから僕がやらなくても大丈夫と思っていた。本当にごめん。ずっと、一人で抱えさせていて本当にごめん。」

「昨日、一晩ずっと考えたんだけど夢を拓く人で拓人・たくとくんって名前どうかな?」

私は静かにうなずいた。そして産院へ戻りベビー服を着せてもらい棺の中にプレゼントのぬいぐるみも入れた。そして一緒に退院。

火葬場へはパパさんと私の家族がいった。私は上の子とお留守番。今頃みんなどうしているんだろう・・・と思いつつ、心配してきてくれた知り合いのおばさんと一緒にお昼ご飯。

「この子は親孝行な子だったね。あなたたちを育てに来たんだね。命がけで繋いでいったんだよ。夫婦にちゃんとなれるようにってね。喧嘩は悪いことじゃない、ちゃんとそれぞれの気持ちを伝えあわなきゃね。だから喧嘩のせいでとか思わないの。」とおばさんの言った言葉で涙がボロボロに。

これまで抑えていたのがあふれ出てきた瞬間だった。そんな私の様子を見て長男君は心配そうにのぞき込んできた。彼をぎゅっと抱きしめるとなんだか頑張れそうな気がしてきた。

そしてこの時から17年たって父から聞いたのですが、この場でパパさんは初めて声を上げて泣いたそうです。そして火葬前に父が棺を明けてみんなで抱っこを。私はこの話を聞いたときに号泣しました。

なぜかというと私の中での最大の後悔はたくとくんを人のぬくもりも知らず天に還してしまったと思っていたから。パパさんはたくとくんを抱きしめながらこう言ったそうです。

いつか、パパが成長したらまたこの家族に戻ってきてね。素敵なパパとママになるからね。待ってるよ。約束だからね。」と。


この体験で私たち夫婦は命というものの尊さと儚さを身をもって知った。そして私たちのことを人間としてとても成長させてくれた。

7か月という短い時間だったけれど、命がけで私たちに伝えてくれたこの子に恥ずかしくない生き方のできる大人になろうと心に決めたのでした。


拓人くんの話はとりあえずここまで。

そして、次の妊娠につづく・・・

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