第五回【いい子を育てる6つの習慣】
勉強を見てあげたり習い事に行かせたり、いろいろ手をかけているのになぜか成果があがらない... そんな悩みをお持ちの方、一度ご家庭での生活習慣を見直して見ませんか? 家庭で身につけた生活習慣は、学力・運動・社会性など、あらゆることのベースになります。 そこに原因があると...いくら努力しても伸びるはずがありません。 よかれと思ってやっていることが本当に正しいのかどうか、いっしょに確認していきましょう。
習慣その4 スポーツ
6~10歳の頃は、一生のうちもっとも巧みさを 伸ばしやすいことなどから、“ゴールデンエイジ” と呼ばれています。運動分野の脳神経回路がまだ 伸び盛りで、運動能力を伸ばすのに絶妙のタイミ ングだからです。
この時期に、正しく身体を動かしさえすれば、誰 でも一生ものの巧みさを養えるのです。
● 運動神経を磨く大切な時期
日本の子どもの身体は、年々平均して大きくなっ ています。身体が大きいということは、体力もあ がっているだろうと思いがちですが...そうでも ありません。かえって、体力や運動能力は落ちています。その一因は、今どきの子どもたちが、外 で遊ばなくなったことといわれています。
ふと気がつくと、歩道で遊んでいる子はめったに 見かけなくなりました。子ども同士を外で遊ばせ るには物騒な世の中になりましたし、習い事や塾 で忙しいなど、さまざまな事情が子どもを外で遊 びにくくしています。
それに比べると、今の大人世代は、外遊びを通じ ていろいろな運動体験をしてきました。「あいつ は、運動神経がいい」と言われるようになる人は、 子ども時代の体験でいろいろな運動パターンを 体得したからなのです。
子どもの頃の運動体験が豊富な人は、大人になって新しいスポーツにチャレンジしても、上手にこ なすものです。逆に、子ども時代の運動体験が足 りないと、大人になってから新しいことをはじめ たときになかなか上達しません。
将来のためにも“今”の運動体験がとても大切な のです。
● 適度な運動
子ども時代の運動体験が大人になってからの財 産になります。とは言っても、運動不足もやり過 ぎも、いい結果には結びつきません。
昔と違い、遊びの中で自然な運動体験をしにくい 世の中ゆえに、運動不足に陥りがちな子どもが多 いです。運動不足解消のためには、親御さんが積 極的に関わることがポイントになるかもしれま せん。時間の許す限り、一緒に外で身体を動かせ ば、コミュニケーションのいい機会にもなります。
一方、運動不足を心配してスポーツクラブに通わ せている親御さんも、結構多いようです。ところ で、それは子どもにとって「やらされている」運動になっていないでしょうか?
「やらされている」という思いがあると、いい思 い出として残りにくいものです。逆に、自分からやりたいと挑戦し、がんばった結果できるように なったことは、一生忘れない思い出となり、自信 にもつながります。
運動体験が少ない、あるいはヘトヘトになるまで やらされて運動に嫌な思いでしかない。こうした 極端なケースが増えていることで、運動嫌いの子 どもたちが多くなっています。そうならないためにも、運動は適度に取り組ませてあげましょう。
そして、自分は努力してできるようになったとい う成功体験を、早いうちに味わわせてあげたいも のです。
● 運動の向き不向き
ウチの子には、どんな運動が向いているのか? どんな運動なら子どもが、楽しく自主的に取り組 んでくれるのか? 運動の成功体験を味わってもらうためにも、とて も重要な要素のひとつだと思います。
運動の得手不得手には、筋肉が大きく関係しています。というのも、筋肉には、速筋という白い筋 肉と、遅筋という赤い筋肉があるからです。
速筋は瞬間的に大きな力を発揮する(瞬発力)た めの筋肉、遅筋は長時間運動を続ける(持久力) ための筋肉です。この2つの筋肉のうちどちらが 多く備わっているかで、どんなスポーツに向いて いるかがだいたい分かるそうです。
見分け方は、たとえば握力計を握って、
・ 最初に大きな数字が出るが、数回でガクンと落ちる→速筋タイプ
・ 数字は大きくないが、その後あまり数値が落ちない→遅筋タイプ
といったことが目安になります。
・ 瞬発力がものをいうスポーツ
陸上短距離走、水泳短距離、体操競技、バレーボ ール、テニス、卓球など
・ 持久力がものをいうスポーツ
陸上長距離走、水泳中長距離、マラソン、トライ アスロン、自転車ロード、クロスカントリーなど
それぞれのタイプに合わせて、才能を磨いてあげ たいですよね。
● 自分で気づけば自信が持てる。
成功体験を味わうひとつの題材として、“かけっこ”はいかがでしょうか?というのも、小学校時代、「あいつは運動ができる」と一目置かれるのは、たいてい足が速い子だからです。
こちらのホームページを参考になさるといいと 思います。他にも、検索サイトで、「かけっこ 速 くなる方法」などを検索すると結構出てきますよ。
正しい走り方を体得すれば、速さの個人差はとも かく、誰でも以前よりも速く走れるようになりま す。その典型的な例が、上記のページなのです。 でも、すぐに速く走れるわけではありません。
速く走るためには、「こういうことか!」という 正しい走り方への「気づき」が必要です。そして、 それは正しい方法の繰り返しの中でしか体得で きません。さらには、自分なりに試行錯誤してい くことも大切です。
工夫しながら努力を続けているうちに、ある日突 然「気づき」がやってきます。その日を境に、速 く走れるようになれば、自分への自信も持てるよ うになります。
運動には、「この方法なら10分でできる」よう な魔法の特効薬はありません。できるようになる コツは、正しい繰り返しの中で身につけるもので す。
ゴールデンエイジの今だからこそ身体を動かし、 ひとりでも多くのお子さまが、自分の身体は変えられるのだという体験を味わい、運動への、そし て自分への自信が持てるようになればと思います。