マチネの終わりに 著 平野 啓一郎
ごく最近言われているキュンキュンする恋愛とはほど遠く、本当の愛とはなになのかを考えるにはよい本だと感じた。
そもそも、本当の愛とはなんなのかが分からないので、はっきりとは言えないが単純に浮いた恋愛話とはわけが違う。この作者の価値観なのか、私はそっとした愛というものに、すごく共感を感じた。(作者がそうゆう表現をしたわけではないが。)
やはり、小説はよい。簡単な愛を叫ばない。しっかり落とし込んだ愛が伝わってくる。それがこの本でも伝わってくる。インスタント化した恋愛、愛情に私たちは慣れてきているが、この本を読めばインスタント化した恋愛が恥ずかしく感じると思う。
また、サブテーマであると思われる生についても、非常に興味深い。バグダッドでの鮮明な記載は恐ろしさを感じる。私は、なんて幸せだったんだろうと再度確認させてくれる。
私たちは、私しか知らない世界でのみ優劣を決め、他を知ることなく幸福感、劣等感を感じる。結局、私たち日本人は幸せなのだ。他者に殺されるという確率でいうとほぼ0パーセントいう世界で生きながら、経済がどうとか、他人の不倫がどうとかと言っている。私たちこそもっと生を意識して生きていく必要があると。
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