『アングスト/不安』感想:「見てきたよ!」って人に言えないやつだ...。
先日久しぶりに映画館行ってきました。せっかくなので雑感でも書き留めておこうかと思います。ネタバレ配慮するつもりはないのでご留意されたし。ネタバレも何もないような映画ですけど。
今回見てきたのはこちら。巷でちょっと話題になってたヤツ。
実在するオーストリアの大量殺人犯、ヴェルナー・クニーセクを題材にした映画。映像の質感が古かったのでそういう趣向の映画なのかな~とか思ってたんですが、本国オーストリアでの劇場初公開は1983年と、ホントに昔の映画でした。なんでも内容が過激すぎたとかで上映禁止になり、今の今までお蔵入りされていたらしいです。
で、何故かこのタイミングでお蔵から引っ張り出され日の目をみることになったようです。めでてぇな?
ちなみに映画館の内装がこんなんなってました。不安すぎる...。
感想
罪なき市民が突然キ●ガイ殺人鬼に襲われてキャー!っていういわゆるサイコスリラー系かなって思ってたんですが全然違いました。近くにいた若い女の子集団も上映後に「思ってたのと違った...」みたいなことを言い合ってましたし、お化け屋敷感覚で見に行くとちょっとがっかりしちゃうかもしれません。
なんというか、終始淡々としてるんですよね。人殺しが人を殺してる様子をただ描写しただけというか。被害者は逃げるときに「キャー!」とか叫ばないし、加害者もトドメを刺すときに芝居がかった台詞なんて言わないし。被害者は生きるのに必死で、加害者は殺すのに必死で。
ふつうの殺人鬼系ホラーだったら加害者と被害者が楽しく鬼ごっこしたり、助けにきたはずのポリスメンが秒でミンチになったり、最後にヒロインが覚醒して猛反撃の末キルレ1位で優勝したり...みたいな愉快な展開が色々盛り込まれてるものなんですけど、そんなんは一切ナシです。映画だからと言ってドラマチックに死んだりなんてしません。あっけなく、ただ死にます。
グロなしドッキリなしなので描写の派手さは全くありませんでしたが、それが逆にリアルというか、見ててイヤ~な気分になる映画でしたね。
ちなみに公式ネタバレで明言されてますが、作中に登場するワンちゃんは殺されません。犬は無事です。
というか殺人の最中にも犬を映すカットがやたらと差し込まれてきます。
可愛いので文句はないのですが...。
とまあそんな感じで、『13日の金曜日』とか『サイコ』みたいないわゆる殺人鬼ホラーを見る感覚で行っちゃうと絶対後悔するだろうなっていう一作でした。『ジョーカー』やら『ミッドサマー』やら、イロイロと過激な映画が話題を集めている昨今ですが、この作品はそういうのじゃないです。エンタメとして楽しむ余地は皆無で、「面白かった」かと聞かれれば、「全く面白くなかった」という答えになるでしょう。この映画から感じるものがあるとすれば、恐怖以外にないと思います。本当の意味でのホラー映画です。
『ミッドサマー』とかは「内容はちょっとハードだけど面白いよ!」って言えるんですけど、これはちょっと...。近くに「アングスト面白かった!」とか言ってる人がいたら気を付けたほうがいいと思います。
映画というものはどれだけ陰惨で過激でも、エンタメであるのが常だと思っていたのですが、そうじゃない作品も中にはあるんだと。なんだか知見が広がった気分ですね。
あ、ちなみに被害者のお姉さんは可愛かったです。
それでは。