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#140字小説『夢野久作「瓶詰めの地獄」へのオマージュ』

 晴れた日に砂浜を歩いていたら硝子瓶を拾った。

 透けて見える中には手紙のようなものが……この島に流れ着いて、もう1年になる。島の生活にも慣れてきた。あのことさえなければ。日に日に美しさを増してくる僕と同じ顔をしたあいつはもう大人だ。ああ気が狂いそうになる。……文章はそこで終わっていた。