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「歌の形をした詩」追想

ホアキン・トゥリーナの歌曲集
《Poema en forma de cansiones》
(邦題:歌の形をした詩)、

このチクルスを教えてくれたのは
今は亡き大国和子先生。

文京区春日にある
コンセルヴァトアール尚美の
ディプロマコースに在籍していた頃の話だから
もう32年以上も前になる。

当時、
日本音楽コンクールにエントリーすべく
歌曲レパートリーを探してた私は、
先生の授業と個人レッスンを通じて
スペイン歌曲の世界に出会い
そのパッションの高さと
「土と血の匂い」を知った。

その時は
あくまでコンクールでの使用が
選曲の目的だったこともあり、
チクスル全曲ではなく
虫食いで勉強したのだが、
「いつか全曲を通して
 自分のレパートリーにしたい」
という思いはあった。

結局、
チクルスを完成させぬまま
私はイタリアに渡り、
先生も2010年に急逝されたため
長く私の中でこのチクルスは
お蔵入りになっていた。

このままではいけないと
手をつけはじめたのが2018年。

それまでの間、心に留めていた
このチクルスに関する幾つかの疑問点などは
東京藝術大学の「スペイン歌曲実習」に
聴講生として潜り込むことで
濱田先生や服部先生に質問しまくり、
一応の完成とお披露目を行ったのが
2019年の秋であった。

もう、かなわぬ話ではあるけれど、
大国先生には
聴いて貰いたかったな・・・

30年ほどの期間をかけて
やっとチクルスとしての形にした
トゥリーナの《歌の形をした詩》、

磨きをかけていくのは
これからである。

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