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A.スチョーピンのワークショップ 02

前回に引き続き
アレクサンドル・スチョーピン先生の
アクチョール(バレエ演技)ワークショップの話。

ワークショップは
キッズクラスと一般クラスに分かれるが、
基本的にエチュードは同じ。
ただし、キッズクラスはおおらかに、
一般クラスは論理的に。

そう、
結局やるべきことは、
大人も子供も一切の例外なく
最初から最後まで同じなのだ。

延々と同じことを繰り返して、
飽きがこようとおかまいなしに
繰り返しを重ねてゆき、
そうして、辿り着く先が
「ひとつの動き」だったりする。

本当に、ただの動き。
でも、本当に自然で美しい動き。
それを会得するために、
バレエの世界では
幼年のころから延々と
同じ動きを訓練している。

歌に置き換えてみる。

一つのフレーズ、
ほんの小さな「ドミソミド」のフレーズ、
あるいは「ドレミファソファミレド」でもいい。
それを美しく歌うために
「ただ、それだけのために」
毎日努力している人が
何人いるのだろうか?

単なる喉暖めではなく、
「エチュード」として真剣に
毎日「ドミソミド」に向き合っている人は、
果たして何人いるのだろうか?

どんなに複雑な歌曲のフレーズも、
元をたどれば単純な音の繋がりであり、
その連続に過ぎない。

結局のところ、
美しいフレーズを
美しく歌おうとするならば、
クソ面白くもない基礎トレーニングを
延々と、
しかも毎回を「真剣」に
繰り返すしかないのだろう。

スチョーピンのワークショップは
この単純かつ不動の原理を
情け容赦なく突きつけてくる。

ぶれの一切ない世界。
それ故に「厳しい」などという
言葉では言い表せぬほどの
峻厳な世界。

これがワガノワのバレエ・アカデミーで
ダンサーに求められているものであり
世界最高峰の劇場が
その舞台に立つ者に求めているものなのだ。

(写真は2013年のワークショップより、教授と私)

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