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2022 IRONMANケアンズ 9時間27分のためのレース対策

改めてアイアンマンケアンズに向けてたくさんの準備をしてきた。
渾身のレース対策たちを紹介する。
レースレポートはこちら。


1. グッズ

まずは買い揃えたアイテムについて。
アップグレードしたいがどこをアップグレードするか決まっていない人は参考になるかもしれない。

トライスーツ

パールイズミの2021年のモデルを購入。
スピードセンサーIIなる素材が適度な伸縮で、フィット感や快適性に申し分なし。
40km/hから空気抵抗低減効果があるらしい。


ウェットスーツ

アスリートカンパニーのフルスーツを購入。
腕のパーツが真横に縫製されていて肩を回しやすいのと、
手首と股の水抜き穴がうまく水を逃がしてくれて快適。


耳栓

プールで練習していると必ず耳に水が入るので購入。
水が入ったからといってタイムが遅くなるわけではないが不快。
つけるデメリットはないということで。


クランク

バイク初期装備の175mmから170mmに変更。
5mm脚の上げ下げが減った分快適になった。
今クランクは恐ろしく品薄な模様。


ヘルメット

KASKのBambino Proを購入。
耳も覆われることで空力が明らかに良くなった。
ロングではもはや必須アイテムかもしれない。
ただしコナのように暑いレースでは、プロでも通気性の良いエアロヘルメットを選ぶ人はいる。


インソール

バイクシューズ用にReveのメルトインソールを購入。
足裏、指先の遊びがなくなり、踏んでもシューズの中でズレなくなった。
パワーが伝わりやすくなったように思う。


バイクメンテナンス

グッズではないのだが、超強力なグッズを買ったかの如くパフォーマンスが上がる。
駆動系とホイールのメンテはレース前は必須。
ササキさんの職人具合が凄まじいので、兵庫、大阪あたりの方はぜひ体験してもらいたい。


厚底シューズ

ランニング界を席巻して早数年。
スピード、クッション共に買わない手はない。
各メーカーしのぎを削っており未だに勝負シューズを決めきれずにいる。


キャップ

オーストラリアの紫外線対策で購入。
キャップなしは考えられないほど日差しが強かったので正解。
快適さが全然違う。


テーピングテープ

テーピングを何に使うかというと足首に巻く。
なぜ巻くかというとタイム計測のアンクルバンドを巻くから。
アイアンマンに出る前は想像もしていなかったのだが、アイアンマンのアンクルバンドは国内レースとは違い固めの素材でできており、地肌にそのまま巻くと切り傷ができる。
それなりに痛かった覚えがあるのでその対策用。
ちなみに"triathlon chip band"とか"triathlon chip strap"と検索するとそれ用のアイテムが出てくるが、テーピングで代用できたということで。


2. 補給

アイアンマンではいつ何をどれくらい摂取すればよいのか。
計算と実践を繰り返して自分なりの補給作戦を立てた。
基本的な考え方は以下の記事を参考にしている。


計算

必要なものはざっくりこの3つだ。

  • カロリー

これらを消費する分だけ補給したい。
またスイムでは補給できないのでそこは朝食とレース直前で摂取し、
バイクとランの補給のみを考えることにする。


1時間あたり400-800mLの水分補給が目安となるようだ。
トライアスロンはシーズン的に気温が高いことが多いので、800mL寄りな気がする。
ただバイクとランで発汗量が違うだろうし、個人の体格や体質も大きく影響しそうなので理想の補給量は一概には言えなそう。
どのあたりが自分にとって適切なのだろうか。
1時間あたり600mLからスタートして検証することにした。


水分量に対して0.1-0.2%の塩分摂取が適正なようだ。
水分が1時間あたり600mLなら600-1200mgの食塩相当が望ましいことになる。
まずは0.2%でどうなるか試してみることにした。

カロリー
過去のガーミンの消費カロリーでは、
バイク5時間で3300kcal, ラン3時間で2200kcalくらい。
強度が上がるのと、ランはもう少し長くなるため合計6000kcalとする。
この消費量を全部補給しようとすると、例えば8分に1本バナナを食べ続けなければならない。
これは吸収のキャパ、携帯のキャパ、いずれも感覚的に無謀だ。
そこで、脂肪で1400-2100kcal, 筋グリコーゲンで1000-1500kcal, 肝臓で280-400kcalと身体の蓄えを考慮する。
するとレース中に摂るべきカロリーは2000-3320kcalとなる。
現実的な数字になったが振れ幅が大きすぎる。
2000kcalの計画からスタートしてどこまで増やせるか検証していくことにした。

レース中に何を補給するかは本当に個人の自由である。
ジェルしか飲まない人もいれば、おにぎりを持って行く人もいる。
僕は過去のアイアンマンで、現地のスポーツドリンクを飲んで胃腸に合わなかったことがある。
なのでエイドでは水以外を取りたくない気持ちがあった。
そのため必然的にカロリーや塩分がギュッと詰まった固形タイプ多めのラインナップになった。

ドリンク

バイクに積む用のスポーツドリンク。
アミノ酸系がなぜか苦手で、カロリーと塩分がそれなりに摂れるCCDにした。


ジェル

バイクに積む用のジェル。
アミノバイタルの中でアミノ酸の少ないマルチエネルギーという商品に落ち着いた。
りんご味が美味しく、ボトルに入れてもちゃんと出るサラサラ系ジェルなところが気に入っている。


塩タブレット

世の中の塩タブレットは意外なことに塩分が少ない。
一粒100mgのものが多く、1時間に1200mg規模を摂ろうとしているのだからいったい全部で何粒必要なんだという気分になる。
そんな中、一粒300mg含んだ本気の塩タブレットを発見しこれに決めた。


羊羹

スポーツに羊羹という意外な発想で界隈の知名度を上げてきた一品。
押して出せる、113kcal摂れる、美味しい、バイクに貼り付けやすい、と非常に優秀である。
食べると元気が出る感じがする。


梅干し

塩タブレットの他に塩分の源が欲しいと思い、いつでも手に入るコンビニの干し梅をチョイス。
羊羹と合わせて和風テイストを押し出すことになった。
しょっぱくて甘くて酸っぱいのがたまらない。
毎週買っていくのでそろそろ最寄りのコンビニではスッパマンとか呼ばれているかもしれない。


カロリーメイト

言わずと知れたカロリーメイト。
あんなパサパサしたものレース中に食べられるの?と聞かれるが、半分に折ったものを水で押し込めばいける。
2022年発売のバニラ味が一番食べやすかった。


実践

これらを組み合わせてちょうどよい水、塩、カロリーの分量を目指す。
ドリンクにもカロリーは入っているし、羊羹にも塩は入っている。
まるで連立方程式の問題である。
しかもボトルや弁当箱の容量には制限があるのでため息モノ。
ざっくり仮決めしたものを週末のロング練で試して調整していった。
それを本番用に固めたのが以下の補給作戦である。
15分ごとにタイマーを鳴らしもぐもぐタイムとしたが、
忘れないし少しずつ摂取できるしかなり有効だった。
ロングではガーミンでラップを取るよりも、定期的にタイマーを鳴らす方が圧倒的に大事。

スイム前
ジェル1本と塩タブ1個を食べ、水分を十分に取っておく。

バイク中
水は適宜、1時間に1本消費するペースで飲む。
バイクに積めるのは2本なのでエイドで3本受け取る。
CCDも適宜、5時間で1本消費するペース。
0分 → 塩タブレット1個+カロリーメイト1/2
15分 → 羊羹
30分 → 梅干し2個+カロリーメイト1/2
45分 → ジェルボトル1口
このサイクルを5回繰り返す。

ラン中
水はエイドで毎回飲む、首にかける。
0分 → 塩タブレット+カロリーメイト1/2
15分 → 羊羹
30分 → 梅干し2個+カロリーメイト1/2
45分 → ジェル(エイド)
このサイクルを3回繰り返す。

この作戦では結局以下の補給量となった。
バイク、ランのトータルで、スイム前の分は除く。

  • 水:6.7L (840mL/h) vs 目安400-800mL/h

  • 塩:11.5g (1400mg/h, 摂取水分量の0.17%) vs 目安0.1-0.2%

  • カロリー:3000kcal (380kcal/h) vs 目安2000-3320kcal

目安から大きくかけ離れていないし、何より5時間のロングライド、3時間のロングランで試してみて問題なかった。
そして結果、ケアンズでは最後まで崩れず走りきることができた。
作戦成功である。

ちなみにエイドで水以外取りたくないと書いたが、ランエイドではジェルを取った。
これはMaurtenのジェルと分かっていたため事前に試して問題ないことを確認していたためだ。
自腹購入した時はたった40gのジェルなのに1本1000円と知りさすがに目玉が飛び出た。


またバイクには養生テープで羊羹を貼り付け、ランではジップロックに補給食を入れて手に持って走った。
この作戦は見た目のカッコ良さを気にする人には向かないかもしれない。

ようかん号
塩タブ+カロリーメイト+梅干し+裏側に羊羹

まとめ

それなりの数の対策を並べたが、皆さんの参考になる項目があったなら幸いだ。
悩ましいのはレースごとにチューニングが必要になることだ。
例えばコナは気温が高いため、水と塩の量は増やした方がよいだろう。
そしてさらに悩ましいのが、水温も高いためウェットスーツ不可のレースになること。
僕はウェットスーツの浮力に頼り切った泳ぎなので、浮力のサポートがない状態でも多少泳げるようになっておかないといけない。
レース対策もまだまだ尽きることはなさそうだ。

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