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干し草の熱にやられて

<あくまで個人の経験談を記しています。治療に関しては薬剤師や医師に判断を仰いでください>

花粉症(かふんしょう、英: hay fever、pollen allergy、pollen disease、医: pollinosis または pollenosis)とは、I型アレルギー(いちがたアレルギー)に分類される疾患の一つ。植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされ、発作性反復性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの一連の症状が特徴的な症候群のことである。日本においては北海道の大半と沖縄を除いてスギ花粉が抗原となる場合が多い(スギ花粉による花粉症についてはスギ花粉症を参照)。

枯草熱(こそうねつ)とも言われる。枯草熱も医薬品等の効能に表記される医学(医療)用語であるが、この記事では花粉症というように、古語・現代語、一般名・疾病名、の観点で呼び分けることもある。

「花粉症」ウィキペディアより

花粉症かな、と思い始めたのは、高校生のころだった。

まだ花粉症というものが一般的になるはじまりのころ。
私の周囲では、たぶん、中学校くらいから、春先になると鼻をぐすぐすいわせ、涙目になる同級生が増え始めたように思う。

最初はツーッと鼻水が出るくらいだった私のそれは、だんだんと力を強め、就職するころにはだいぶしっかりと鼻水やくしゃみが出る立派な花粉症持ちになっていた。

その後アメリカに行き、いっぺんする。
まったく花粉症の症状がなくなったのだ。春だろうが秋だろうが、まったくもって問題がない。いつも快適に鼻の穴を通り抜ける空気が、どんなにおいしく感じられたことか。(今思えば、アレルゲンの植物が生えていなかったんだろう)

しかしそれも長くは続かなかった。

日本に戻り、深夜まで会社に残ることが続くと、とたんに体調を崩すことが増えたのだ。

最初は咳、そして咳がひどくなるにつれて、のどの痛み。そこから耳の中が痛くなり、発熱する。38度、ひどい時は39度にもなる。

仕事を詰めているから、体力が弱ったところに風邪をひいてしまったんだろうと思っていた。

に、しても、毎年まいとし、夏の終わりから秋口にかけて必ずのようにひどい風邪を引くなんて、と思っていた。

そんなとき、友達のKちゃんがいった。

「それ、花粉症かもしれないよ。うちのおねえちゃんも同じように風邪みたいな症状がずっと続いていて、近所のお医者さんにいったの。そしたら、花粉症だったんだよ」

花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、目のかゆみだとばかり思っていた私。
自分のような風邪の症状が本当に花粉症なの?

とはいえ、とにかく苦しむものは藁をもつかむ。
激しい咳で眠れない夜が続き、そして発熱するという繰り返しに辟易していた私は、西武線に乗って、そのお医者さんを訪ねることにした。

「花粉症だね。花粉が気管について、結果として咳喘息を起こすだろ。で、咳が続くから眠れない。眠れないから体力が弱ったところに、もともと扁桃腺が弱いからそこが腫れて熱を出す。キミの場合、そういう仕組みだな」

目からうろこだった。

だからまずは花粉症を起こさないこと。
起こったらまず咳を押さえて、それ以上ひどくしないこと。
ひどくなったら、とにかく休んで体力を取り戻す。

「ブタクサは、河原なんかに多いんだよ。川の近くは避けたほうがいいよ」

当時の借り上げ社宅は、多摩川のすぐ近くだった。

東京オフィス時代、イギリスに研修へ送られたことがある。
その時は、いつも花粉症が起こる秋口ではなかったので、すっかり油断していた。
ところが、まんまとゴホゴホ咳がではじめ、結局丸一日宿舎のホテルでダウンするという目にあった。

どうも、私は芝花粉にもアレルギーがあるらしい。

だというのに、まんまとイギリスへと転勤してきてしまった。

それ以来、芝花粉が5月から8月、ブタクサが8月から10月。
つまり一年の半分は花粉にドキドキしながら暮らすことになった。

しかも、物件を見て回った時には思いもしなかったことに、買った我が家はテムズ川のすぐ近くだった。
またしても河原の近く!

いやはや。

イギリスに引っ越してすぐ、かかりつけ医に日本で処方されていた軽いステロイドの入った薬などを見せ、アドバイスをもらった。
それらの薬はイギリスではダメダメということで、
抗ヒスタミン剤を早めに飲み、継続的に飲むことで花粉症が起こらないように予防すること、
もしも咳喘息がではじめたら、吸入器で咳をおさえ、さらにひどくなるのを防ぐこと、となった。

こうして10年以上が過ぎ。

花粉症ともずいぶん上手におつきあいできるようなったと思っていたのだが、今年に入ってもうすでに2回、昔、日本で経験していたようなひどい状況になってしまった。

咳と発熱に「すわ、コロナ感染か」と検査したものの、どちらの時も陰性で、思ってみたら、抗ヒスタミン剤を飲んでいなかったときだった。

おつきあいの仕方が分かったからと油断していたのがよくなかったようだ。

この話をすると、「え、花粉症で熱がでるの?」とよくいわれる。

私も、あのときの説明でまるで桶屋が儲かるような論理で自分が発熱している理由を理解したくらいだから、その気持ちはよくわかる。

でも、最近はこういって済ませる。

「だって、花粉症は英語でヘイフィーバー(干し草熱)っていうのよ!」

まあ、熱が出るのは稀な例らしいのだけれど。

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ころのすけ
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