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ネイティブも「知らない」英文法

ケビンは、何か面白いネタをみつけると、WhatsAppで転送してくる。
今日も、どこかの雑誌の記事の写真が送られてきた。



私の「ねえ、なんで?」を答えてくれるひとたちの層はかなり厚い。

イングランド人のケビン、ウェールズ人のトレーシー、スコットランド人のジェニー、そしてアイルランド人のヴィンセントで、この国で暮らすたいていの疑問が解決する。

加えて、フランス人のカリーン、カタルニア人のヌリア、チェコ人のジリ、ドイツ人のアンドレアス、フィンランド人のアナあたりが周辺ヨーロッパ各国の疑問に答えをくれる。

もちろんアメリカのことは双子のアメリカ妹たちが教えてくれる。

大人になって外国に暮らすと、その国の「なんで?」「これなに?」の答えが見つからないことも多いと思う。

この野菜なに?どうやって食べるの?
出窓の上のこの部分に穴があいているぽいけど、こういう修理って誰に頼むものなの?
ニュースで取り上げているこのひとって何がすごいの?

そんないろいろを教えてもらえるのはありがたいことだ。

とくにケビンは、かつてのテレビ番組「トリビアの泉」もびっくりする無駄知識の泉。

そんなケビンが今回が送ってきてくれたのはこんな記事。
ちょっと面白かったので、ここに紹介したい。



Why 'tock-tick' does not sound right to your ears. 
どうして「トクチク」は耳になじまないのか。

意訳になるが、ここに全文をそのまま載せたい。

なぜ、(時計の音を)「トクチク」ではなく「チクタク」と言うのか、また鐘の音は「ディンドン」で「ドンディン」はないのか、「コングキング」ではなく「キングコング」なのか、疑問に思ったことはありませんか?

 実は、これはネイティブ スピーカーが知らないうちに知っている英語の暗黙のルールの 1 つなのです。

BBC の記事で説明されているこのルールは、

単語が 3 つある場合は I、A、O の順でなければならない
単語が 2 つある場合は、1 番目が I、2 番目が A または O

というものです。

(混乱状況を示す)ミッシュ マッシュ、(雑談という意味の)チット チャット、(ぐずぐずするという意味の)ディリー ダリー、(優柔不断を示す)シリー シャリー、(最高という意味の)ティップ トップ、ヒップ ホップ、(ビーチサンダルを示す)フリップ フロップ、(ミント飴の)チクタク、(お経を読むように単調という意味の)シング ソング、(鐘の音を表す)ディン ドン、キングコング、ピンポン。

そして「リトル レッド ライディング フード(小さな赤い乗馬頭巾、つまり赤ずきんちゃんのこと)」という名前には、もうひとつの暗黙のルールが働いているとこの記事は続けています。

英語の形容詞は、意見、サイズ、年齢、形、色、起源、材質、目的、そして名詞という順序でなければなりません。
ですから、すてきで 小さな 古い 長方形で 緑色の フランス製の 銀の 彫刻 刀を持つことができます。しかし、その語順を少しでも間違えると、狂人のように聞こえてしまうのです。

これで、どうして私たちは「緑の小さな男たち」ではなく「小さな緑の男たち」と言うのかが説明されますね。

でも「ビッグバッドウルフ(大きくて悪いオオカミ)」という言葉は「意見(悪い)サイズ(大きい)名詞(オオカミ)」なので、この決まりにひどく違反しているように聞こえます。
でも、そうではないのです。
I-A-O 順序の最初のルールを思い出してください。どうもこのルールは破れないもののようです。

馬の足は 4 本ともまったく同じ音を出します。しかし、私たちは常に(馬の足音のことを)クリップ クロップと言い、クロップ クリップとはいわないのです。

もし敢えて知りたいのであれば、このルールには専門的な名前さえあります。母音交代の重複のルール、です。

でも人生は、ルールを知らずに知っているほうが、きっともっとシンプルです。

思い出してみたら、昔どこかで「なんでビーサンのことをフリップフロップっていうの?フロップフリップじゃいけないわけ?」と混ぜっ返した気がする。
ケビンはそれをしっかり覚えていて、何かのついでにこの記事を見つけたに違いない。

記事にもあるが、こんなルールをネイティブたちが文法として理解しているわけではない。
生まれ育つうちに、こういうものと体得しているだけなのだ。
それは、日本語でいえば、こんなこと。

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんいました。
おじいさん山へ芝刈りに。
おばあさん川へ洗濯に。

主語をしめす助詞である「は」と「が」を入れ替えただけで、私たち日本語ネイティブの耳にはザラリと聞こえる。
でも、日本語を外国語として学んだひとたちには、その違いは簡単ではない。
「が」は話者や聞き手にとって新たな情報の場合で、「は」は既知の情報の場合に使い分けられている(英語の「a 」と「the」のように)、なんて、私たちにとっては「知らない国文法」なのだ。

だから。パーフェクトなんて目指さなくていい。
むしろこんなことは、ランチの時のトリビアとして話すくらいがちょうどいい。

そう、ケビンがいつもやるみたいに。

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ころのすけ
いただいたサポートは、ロンドンの保護猫活動に寄付させていただきます。 ときどき我が家の猫にマグロを食べさせます。