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黄色いシールを追え!

「ちょっと何言ってるかわからない」

は、大好きなサンドウィッチマンの名セリフだけれど、まさにそんな気持ちだった。

日本語のサイトで「SDGs」というアルファベットを目にするようになったころ。
それが一体なにを意味するのか分からなかった。

日本に帰省した時、実家の近所の中学校の壁にカラフルな17個の四角が描かれていたとき、あれまたSDGsってやつ?と思ったけれど、やっぱり「持続可能な開発目標」という日本語がよく消化できなかった。

イギリスで暮らして13年目になる。

正直、この国でニュースをみたり、町中をあるいていて、SDGsということばやあのカラフルな四角にでくわすことがあまりない。

日本語の媒体だととてもよく目にするSDGsということばを、どうしてほとんど目にしないんだろう。

たぶん、それは、「ユネスコの17個の四角」というかたちではなく、それぞれのゴールが、サステナブルという考えが、この国のいろんなところで意識されているからではないか。

そもそも「持続可能な開発目標」という日本語が、私としては難しい。

私が「サステナブル」を英語の会話で使うとき、イメージしてるのは「重荷をかけない(だから結果として続けていける)」という感じ。

地球に「重荷をかけない」ために、いろんな環境で暮らすひと皆んなが「不利や負担を感じない」ために、私が「ちゃんと続けて」いける目標はなあに?

「未来は遠いいつかじゃない。未来は明日、いや、今日から始まる」

30年以上前。野中ともよさんの講演会でそう聞いた。
自分の未来を変えたいのなら、明日、いや、今日から自分の暮らしを変えなくちゃ。
セーラー服を着て中学校の講堂でそう思った私は、いつか海外で暮らしたい、そのいつかのためにと英語の勉強をはじめた。
そしていまイギリスで働いている。

未来のためにできること。

だから、私は知っている。
100年先を変えたいのなら、未来は今日から変えなくてはならない。

今日から変えるといったって、大きなことは続けられない。

じゃあ、私がちゃんと継続できることはなんだろう。

それが「黄色いシール」を追うことだ。

そう、それは値引きシール。
日本でも夕方のスーパーでよく見かける、あれだ。

野菜や肉、魚、ソーセージなど。その日が賞味期限のものが値引きされている。
店員さんがワゴンを押しながら、ステッカーを貼り始めると後ろにウロウロとお客さんが溜まり始めるのも、日本と一緒。

節約のためじゃないといえばうそになる。
でも、年頃の女の子がクリスマスケーキに例えられた時代をいきてきた身としては、賞味期限切れと判断されて黄色いステッカーを貼られたたべものたちが、どうにも見捨てられない。

トウモロコシにピーマンに鶏肉。
黄色のステッカーだけを共通項に、ランダムにエコバッグに入れられたそんな食材から、その日の夕飯のメニューを考え出すというのも、なかなか楽しいものである。

無理なく、楽しく、メリットも感じながら。

「もったいない」という美しい日本語を思い出しながら。

そんな黄色ステッカーご飯を食卓に並べ、与えられた資源を、命を、戴くことに感謝しながら、
「いただきます」といって食事をはじめる。

私の
そんなちいさな
未来のためにできること。



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