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高安犬物語(こうやすいぬものがたり) 幻の犬「高安犬」

柴犬がブームだ。
 さらに日本犬ブームでもある。
私が柴犬を飼っていた頃は(2002~2017年)、足の短いダックスフンドやゴールデンリトリバー、ハスキーなどの洋犬がブームだった。

 何故ここまで日本犬、特に柴犬が人気なのか?と思う。
それも日本犬を室内犬として飼うなど、あの脱毛を考えると恐怖を感じる。後、日本犬独特の体臭もある。

 それでも、あの立ち耳と巻き尾、つり目、それと日本犬の特徴である、あの人にべたつかない性格は一度飼うと虜になる。
出来れば外飼いをして、あのモコモコの冬毛に替わった柴犬を見て欲しい。
日本犬は冬場の姿がいい。

愛犬コロ 日本犬保存会の血統だった。

 現在、日本犬保存会で認定し、日本の天然記念物となっている日本犬は6種類ある。
 柴犬 紀州犬 四国犬 甲斐犬 北海道犬 秋田犬 だ。

 昔はもっと地方固有の犬がいたが、近代化した日本において、大量に移入された洋犬との雑種化で消えていった。
一応、この日本犬保存会が管理する血統の日本犬が天然記念物となっている。

 「日本犬、血統を守るたたかい」 吉田悦子さんの著作 1997年。
 日本犬を飼う、飼っている人には、是非この本を読んでもらいたい。
そうすれば、日本の犬の立ち位置が分かると思う。そして現在、形成されている日本犬の性格も理解できる。それでも、このブームで影響で、少しおかしくなっている可能性もある。

 長年の歴史で形作られた性格はそう簡単に変わらないが、最近よく見る。洋犬のように誰にでも飛びついて尻尾振って、ぺろぺろ舐める日本犬は個人的に好きではない。それは違うのではと思ってしまう。

日本犬、血統を守るたたかい 改訂版で文庫もある

「高安犬物語」
 戸川幸夫さんが、絶滅する日本の犬(高安犬)と人の関わりを描いた物語だ。子供時代に絶対に図書館にあったので、私はおそらく読んでいたと思う。 戸川幸夫さんの描く「犬の物語」は名作が多い。

「高安犬物語」

 最近、戸川幸夫さんの本は、何冊か読んでいる。
「いぬ馬鹿」1995年 日本犬を60年間追い続けた著者が、消えゆく日本犬の姿を描いた本だ。滅びゆく狩猟、熊猟、猟師の最愛のパートナーである日本犬を描いている。

いぬ馬鹿

 さて、高安犬物語は1954年に発表された戸川幸夫さんの短編小説。戸川幸夫の第一作目であり、代表作にも挙げられる。第32回直木賞受賞作だ。

そして、今や高安犬は幻の犬となっている。

その写真

その伝説
 和銅年間(8世紀初頭)に山形県高安地方の村に役人に化けた魔物たちが、やってきて年貢として春と秋に子供を差し出せと無理難題をいってきた。
 村人が困りきっていると、道にまよった旅の座頭(目の不自由な僧侶)が思いがけなくやってきたので、このことを相談した。
 座頭は泊まったお堂の中で、たまたま得体の知れない何者かが、「甲斐の国の三毛犬、四毛犬には決して知らしてはならんぞ」というひそひそ話しをしていたのを聞いていた。
そこで座頭は村人に指示して甲斐の国から三毛犬と四毛犬をつれてこさせた。
 人身御供を待つ役人たちに、この2匹の甲斐の犬を放ったところ大乱闘になった。
戦いが治まったところに村人が行ってみると多数の大タヌキや、大ムジナの死骸が散乱していたというはなしだ。
この犬がのちの高安犬になったそうだ。

でどころ不明

 現在、山形県の勇敢なる熊猟犬「高安犬」は絶滅している。
山形県は熊の被害が現在増えている地域だ。当時は必要な犬たった。

 この物語の中の高安犬「チン」は、手負い熊、熊鷹、土佐犬も、やっつけたという。この最後と言われた高安犬もフィラリアで病死した。
死後、剥製にしたが、余りにも出来が悪いので、後世に残すには恥ずかしいと判断して土に埋めたそうだ。孤高の犬の惨めな姿をさらすわけにはいかない。

 私の子供の時代、キングという熊のような、昔気質の中型犬を飼っていたが、私が5才の時、フィラリアで病死した。
鎖を引きちぎって夜中に出歩き、当時沢山いた野犬と縄張り争いなどで喧嘩し、傷だらけで朝帰ってくる。そんな犬だった。
このフィラリアは蚊が媒体になる。当時予防接種などしてないので救いようがない。

 この「高安犬物語」おそらく今でも公立図書館にはあると思う、1時間もあれば読めるので是非読んで欲しい。そして、今ペットとして飼う日本犬の事も少し考えて欲しい。「彼らは幸せなのだろか? 」
そう想像するだけで、日本犬が身近になると思う。

チン 幼犬をちんころと言う、それからチンとなる

犬の話は幾つか投稿している。


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