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2024年夏 昆虫と小動物達

 久しく昆虫類(小さい生物)の話をしていなかった。これには理由があり、今年、非常に出会いが少ないのだ。
サイレント・アースの本で言われているように1965年から50年の間に世界の昆虫の75%減少している。日本でもそれは現実だったようだ。

 この地(中央多摩地区)に延べ50年住んでいるが、相当数虫が減っている。特に最近は加速している。10年前なら、夏に最低1匹くらいカブトムシが玄関の常夜灯へ飛んできていたのに今は気配すらない。また近所の農家にあるブルーの殺虫ライトも撤去された。蛾が消えた。

 さらに今年はクソ暑いので、蚊も飛んでいなかった。この夏ほとんど蚊に刺された記憶がない。私は普通の人より屋外へ出ているので、その違いは分かる。

蟻はありがたい
「蟻なんか、いなくなってもいいんじゃねぇ」と言う方もいる。
しかし、人間が消えても自然界はなにも影響ないが、蟻がいなくなれば、地球の環境は大きく崩れて、人は住めなくなる。逆は無いという。

 蟻は絶滅危惧種でもないので、馬鹿にするが、正確な蟻の総数と重さを科学者が計算してみたところ、地球上には少なくとも「2京匹」の蟻がいることが判明している。その重さは炭素換算200万トン。CO2を200万トン固定化している。蟻が消えれば、そのCO2は何処へ行くか想像して欲しい。
これは全世界の野鳥と哺乳類の質量を超え、全人類の体重の5分の1に相当する。また蟻はミミズと一緒で土壌を作る役目を持っている。その規模は侮れない。

 昔と違って、蟻もいないコンクリートで固めた庭、そこにEV自動車と太陽光発電、完全空調の建物。それがエコという感覚に疑問はないのだろうか、私はおかしいと思う。

2024年の観察記録・・・

 3月下旬 寒いので昆虫はいないがヤモリを発見した。
ニホンヤモリ
野川公園のトイレの入り口の壁にへばり付いていた。寒いのであまり動けない、指で突くと「きー」と鳴く。可愛いなぁ。

ニホンヤモリ

 ヤモリは、家の外壁や窓にいることが多く、外敵や害虫から家を守る存在と考えられている。 特に、蚊や蛾などの害虫を捕食するため、家を害虫から守ってくれると信じられている。 家を守る。だから屋守(やもり)。

 またヤモリは家を災害や不運から守ってくれる「幸運のシンボル」として、古くから日本の家庭で大切にされている。我が家に何匹か住んでいる。

4月中旬 多摩動物公園の温室へ行く、ここは蝶が乱舞する楽園だ。
ショートムービー。

リュウキュウアサギマダラ
 南国の蝶だ。マダラ蝶類は体内に毒を持っているそうだ。普通のアサギマダラより小降りで、海を渡る蝶ではない。

リュウキュウアサギマダラ

イシガキチョウ
 この蝶も沖縄に多いという。沢に近い照葉樹林に生息する。 クリの花で吸蜜したり、湿った地面で吸水したりする。 クワ科の樹木を食樹とし、春から秋にかけて発生する。 南方系の蝶だ。

イシガキチョウ

6月中旬 アマガエル 
 岐阜の馬籠宿の中山道沿いの田んぼ脇で見つけた。沢山いる。皮膚のねばねばには毒があるので、カエルを触った後、目などを擦らないようにした。

アマガエル

7月 下旬 アサギマダラ
 伊豆大島のアサギマダラ これは娘2が撮った写真だ。海を渡って、これから八ヶ岳方面へいくのかもしれない。

伊豆大島のアサギマダラ
伊豆大島のアサギマダラ
伊豆大島のアサギマダラ

8月上旬 ミヤマカラスアゲハ 
 場所は長野の松原湖のキャンプ場で見つける。コバキボウシの花で蜜を吸っていた。
ミヤマカラスアゲハは環境省レッドリスト記載種、長野県レッドリスト記載種(最新版)が採集禁止になっている。

ミヤマカラスアゲハ 

 最後は通年、家の中で見る事が出来る小さな蜘蛛 トビグモ
アダンソンハエトリ
が正式名称。
餌を捕まえるために屋内を徘徊して、コバエやダニ、ゴキブリの子どもなどに飛びかかって仕留める。巣は作らないハンターの蜘蛛だ。悪玉のイメージがない。
アダンソンハエトリは毒も持たず、室内の害虫を食べてくれるため「益虫」だ。くれぐれも叩き殺さないよう。

トビグモ アダンソンハエトリ
トビグモ アダンソンハエトリ

朝の蜘蛛は縁起物
 蜘蛛は「家の守り神」という言い伝えもある。特に、朝や午前中に見かけた蜘蛛は幸運の兆し。 日没までに見かけた場合は、幸運が少しずつ近づいていると言われる。

蜘蛛の芸術
 話は少し変わるが、2004年にロンドンのテムズ川沿いの倉庫みたいな美術館で巨大な蜘蛛の像を見た。
ここはテート・モダン(Tate Modern)国立の近現代美術館
産業遺産であるバンクサイド発電所を買い取り、煉瓦造火力発電所を修復・再利用して、英国最大の近現代美術館に生まれ変わらせものだ。
場所も不気味だが、この蜘蛛も不気味だった。

テート・モダン
テート・モダン
テート・モダン
テート・モダンの蜘蛛
なにもない。昔はタービンでも設置していたのだろう

 作者はルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois, 1911年12月25日 - 2010年、フランス・パリ出身のアメリカ合衆国のインスタレーションアートの彫刻家であり、画家、版画家である。

 この方は1990年代からは、巨大な蜘蛛を象ったブロンズ像ママンを制作している。この像には色々なバージョンがある。
見られる場所:
ニューヨークのグッゲンハイム美術館、オタワのカナダ国立美術館、ビルバオのビルバオ・グッゲンハイム美術館、ロンドンのテート・モダン、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館、ソウルのサムスン美術館 Leeum、東京の六本木ヒルズ森タワーなど9か所に展示されている。

今回「ルイーズ・ブルジョワ展」《かまえる蜘蛛》 森美術館がある。現代アートに興味があれば一度見ることはお勧めする。

森美術館

2024年春から、それなりの生物を発見している。


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