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1995年、最後の夏休み 

8月最後の日曜日、快晴。気温36度。連続夏日の記録更新中。

トライアスロン駅伝
残暑厳しい日曜日、私は静岡県の沼津港近くにある千本松海岸にいた。
ここで開催されるトライスロン駅伝に出場するのためだ。
私にとって3週連続のトライアスロン出場、さらにこの夏日、連日の佐渡トライアスロンに向けての練習も加わって、私の疲れはピークだった。
佐渡の前に一度身体をクールダウンしないと行けないなぁ。でも駅伝は仲間がいるのでやるしかない!

トライアスロン駅伝とは、名前の通り、トライアスロン・ショートタイプ(スイム、バイク、ラン)を1人でこなして、4人でリレーする駅伝形式のトライスロンだ。
本大会は今回で第7回目だ。よく続くいてるなぁ、世界的に見ると駅伝タイプのトライアスロンには日本だけだ。

ちなみにトライアスロンの種類は、設定距離の違いでショートタイプ(スイム0.75K、自転車20K、ランニング5K)オリンピックタイプ(スイム1.5K、自転車40K、ランニング10K)、ミドルタイプ(スイム2K、自転車80K、ランニング20K)アイアンマンタイプ(スイム3.9K、自転車180K、ランニン42.195K)で区分されている。

チーム構成は4人
私の会社の財務の坂下さん、総務の中野さん、そして技術部の私、あと一人は、今回は、坂下さんの知り合に助っ人を頼んだ。

スタート第1走
午前7時、第1走がスタート、初めはスイムです。400人の一斉スタートはなかなか迫力です。でも、これは見ている場合での話で、この中に入っている第1走の中野さんにとっては大変なはずだ。

特に中野さんは、サッカーの試合で足首を骨折し、現在治療途中、その為、今回は足にボルトが入ったままでの駅伝参戦だ。しかし、相変わらず切れ味は鋭く、スイム、バイク、ランもなかなかのタイムでまとめた。

第2走、第3走
第2走の坂下さんへリレーするはずだったが、ハプニング発生する。
リレー地点に坂下さんがいない。
トイレに行ってたのか、2分遅れでリレーゾーンに現れた坂下さんは大慌てでスイムへ、海に飛び込んだ。

坂下さんは、最近記録が向上していることから、今回もやる気満々、しかし、この失敗が精神的に響き、思たよりタイムが伸びなかったようだ。それでも最近失速中の私にとっては、それほど悪いとは言えないタイムで、第3走へリレー。
第3走の助っ人は未知数ながら20代の若さで、期待通りのタイムで戻ってきた。

第4走
ラストの第4走へ。つまり私だ。
泳ぎ始めると身体が重い。思っている以上に調子が悪い。ショートディスタンスの場合、序盤のスイムで調子が悪いと全体的にタイムが落ちる。
皆に悪いなと思いつつ泳ぎ続けた。
さらに悪いことに正午近くになって海が荒れて来た。うねりが大きくなり、ジェットコースターのような海となってきた。私はどんどん違う方向へ流されてしまい、必死でラストの200mを泳ぐ。
やっと泳ぎ切ったら、海の状況が益々悪くなっているようなので、リレーを待たずに繰り上げスタートが始まっていた。
多くの選手がスイムを泳ぎ始めた。そのためスイムのゴール付近がごった返している。私はなかなか海からゴールの踊り場へ上がれない。
「何とかしろよ、目の前がゴールなのに!」
すったもんだでボランテアの人に誘導してもらい、バイク置き場へ向かう。


「本当に調子悪いな」
中野さんに脱いだウエットスーツを預かってもらい、バイクラックへ走る。
バイクパートに移ってすぐ、今度はいきなりの向かい風だ。バイクで何が辛いと言えば昇りでもない向かい風だ。
それでもバイクは往復コースなので、復路はスピードが見る見る上がった。気持ちいい、気分も少しは盛り上ってくる。結局10人ぐらいに抜かれてバイクを終えた。
「だめだなあ・・・・」

最後のランだけは頑張ろう。
重たい体にむち打って走りだす。3人に抜かれて、ラストは頑張って6人抜いた。そこでまた気分が良くなり、ゴール付近で待っていた3人と一緒にフィニシュした。

リタイアもなく繰り上スタートもなく、リストバンドを繋ぎゴール出来た。(今回、正午近くになり海が荒れ、風も強くなったため、繰り上げスタートが20分早くなり、参加者の半分近くが繰り上げスタートとなっていたのだ)

今回、記録はそれなりだったが、飯の美味い古びた旅館とメンバーもいい人達だったので、大変リラクッスして試合に望めた。
レース後、まだ競技中の知り合いを応援しながらビールを飲む。見上げれば、空は真夏の青さだった。その青の中でちぎれた綿飴のような雲が凄い速さで流れていた。
まだ夏真っ盛り、私の人生も真っ盛りだ。

家に帰ってみると、お気に入りのハワイで買ったZOONのウエアがない。
そうか、選手のために開放されている、海の家でシャワーを浴びたとき、置き忘れてしまったようだ。
やはり残念な日だった。


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