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スキー場の今・むかし(1094文字)

昭和から平成に変わる頃はスキーの一大ブームであった。ゲレンデは初心者から上級者までスキーヤーで溢れていて、リフト待ちは長蛇の列。人気のゲレンデでは、30分待ち、40分待ちも珍しくなかった。高速道路は屋根の上にスキーキャリアを乗っけた車がいっぱいで、週末などは渋滞が数十キロにも及んだ。スキーロッジも9月1日の解禁日の朝から電話して予約をとったほどだった。

バブルが弾けて、徐々にスキーブームは萎んでいった。ゲレンデではリフトの待ち時間がなくなり、スノーボードを楽しむ若者は腕を上げた一方で人数は減った。お昼のレストランの場所取り合戦も必要なくなり、昔ながらのスキーロッジの予約はだいぶ取りやすくなった。高速道路の渋滞もかなり緩和され、挙句、小さなスキー場は閉鎖、メジャーなスキー場でもリフトの本数が減っていった。

そして、今、海外からのスキーヤーが我が国のスキー場を盛り立ててくれている。ニセコなどの北海道、長野の白馬エリア、最近は更に野沢温泉や赤倉温泉も外国人に人気らしい。去年白馬に行った際、全てのインフォメーションが日英の二ヶ国語対応となっていることに驚いた。リフトの一時停止のアナウンスや、リフトの安全バーに書かれている注意文も。スキー場の麓に広がる宿泊施設や飲食店、お土産屋さんが並ぶエリアでは日本人を探すのが大変なくらいに外国人ばかりが歩いていた。街並みも洗練されて洒落ている。そして、リフト券や宿泊費などのコストもリッチな外国人向けの高級価格。こればかりは昔ながらの日本人スキー客にとっては閉口する。

また、外国人がそれほど目立つわけでもない新潟県の石打丸山スキー場では最新のリフトが設置されている。一本のケーブルに6人乗りのリフトと箱型ケーブルカーが付けられていて、好きな方に乗ることが出来る。リフトの乗り場は動く歩道のようになっていて、的確なタイミングで自動的に移動し、乗り場でピタリと止まるようになっている。ふかふかのクッション性のあるリフトの椅子は、シートヒーター付きで座るとじんわりと暖かさが伝わってくる。

それでも、越後湯沢駅から石打丸山スキー場への無料シャトルバスはトップ画像の極めて昭和的なバスだった。『アルプの里』というネーミングも、車体の色、どことなく滲み出る歴史感が昔のスキー全盛期を思い起こさせる。また、あの頃から様変わりしたスキー事情の中、雪山の美しさやスキーそのものの楽しさ、わくわく感、スキーの後の温泉など変わらないこともたくさんある。あとは自分の体力がいつまで続くか…それ次第ではあるが、昔と今が融合されたスキー場で、もうしばらくは楽しみたいと思う。



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