泣いてもいい、叫んでもいい演奏会(594文字)
先日、所属するアマチュアオーケストラが、
じっと静かに座って聴くことが困難な子どもたちにも
音楽を楽しんでもらおうという演奏会を開いた。
演奏中に泣いてもいい。
大声で叫んでもいい。
立ち上がってもいい。
階段で転ばなければ踊ってもいい。
他のお客さんの邪魔にならないようにホールから出なければ…
という気遣いは不要。
なにも気にせずにそこにいていいんだよ、
音楽を楽しんでね、
という演奏会。
プログラムは子どもでも比較的馴染みやすい選曲。
クラシックあり、童謡あり、ポップスあり。
初めての試みで、こちらも楽しみだった。
みんな喜んでくれたら嬉しいな、と。
開場時間となり、お客さんが続々と入って来てくれた。
空席が少し多めではあったものの、
通常の演奏会よりもホール内は賑やかになった。
しかし、ひとたび演奏が始まると、
力の限りの叫び声も、大きな泣き声も、
いつの間にか聞こえなくなっていた。
参加型の演奏会で、
希望者の中から抽選で舞台に上がってもらって、
指揮者に挑戦したり、一緒にダンスしたり。
そんな企画もとても楽しんでくれているようだった。
やはり演奏する立場からすると、
オーディエンスが楽しんでくれることが一番嬉しい。
壇上でのダンスに選ばれずに悔しい思いをして
泣き出してしまった子には申し訳なかったけれど、
それほどまでに楽しもうとしてくれたのだなと思った。
またこのような機会があればいいなぁ…
心底そう思った演奏会だった。
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