算数科授業研究「4学年:角の大きさの表し方を調べよう」
1 研究授業
6月28日(金)に、4年1組で,算数科の中学年ブロック授業研究会を行いました。
「角の大きさの表し方を調べよう」の単元の5時目で,
180°より大きな角(優角)の測定の仕方を考える授業です。
この単元は、図形としての「角」(1つの頂点から出る2本の辺が作る形)ではなく、測定値としての「角度」(角を作っている2つの辺の開き具合)の概念を理解することが重要です。
「半直線の回転移動」という視点で「角度を動的に見る」見方を育てるため、360°開く扇を使い、操作を繰り返すことで「角度を連続量として見る」うことから導入しました。
これは、180°や360°、180°より大きな角(優角)に角があると認識しにくいという、子どもの心理特性をふまえた工夫でもあります。
また、プログラミング学習で角度の入力が必要な教材を使用することで、「角度が分からないからできない!」「早く角度の勉強したい」という「角度を測る必要性」を感じとらせ、課題意識・学習意欲を高めました。
本時の問題「180°より大きな角(210°)」を提示すると、子どもたちは、扇を使って角を表現しながら課題をとらえ、
「180°より大きい。」「2直角より大きい」「分度器より大きいから測れない」など、優角を角として認識することも、大きさの見積もりもきちんとできていました。
これは、本時に至るための基礎・基本(角度の概念理解など)が十分に備わっているためで、学習を効果的に進めていく上でも、授業研究で手立ての有効性の検証をするためにも、極めて重要です。
見通しをもった子どもたちは、様々な方法で調べていきました。
180°に補助線を引き、残った角を測って足す方法
180°を超える部分の大きさを分度器の基準線を使って測る方法
90°に補助線を引き、残りを測って足す方法
270°に補助線を引き、余分な部分を測って引く方法
三角定規の直角と60°を使って反対側の劣角(180°より小さい角)を測り、360°から引く子もいました。
角度を様々な見方で見る数学的な見方や量感が育っていることを感じました。
本校、学び合いの観点クリアー「CLEAR」(Clear:分かりやすい・Logical:論理的・Easy:簡単・Always:いつでも使える・Refine:すっきり)をもとに、
様々な方法の中から、A「180°+🔲°」、B「360°ー🔲°」の2つの方法について話し合いました。
「180°は測らなくてもいいから、Aが簡単」
「線を引かなくていいから,Bが簡単」
「180°より大きい部分を測って足すAが、分かりやすい」
「分度器で測れる方の角度を測るBは、いつでも使える」
などの意見が出されました。
今回は、どちらかに優位性はなく、どちらの考えもクリアー(CLEAR)である(構造化可能な学び合い)という結果になりました。
次時で、C「90°+🔲°」、D「270°ー🔲°」などの考えも紹介し、「直角に着目して考え、分度器で測れる角度を作って測る」という点では「統合」できるものの、270°を超える角度の場合、C・Dは使えないことから、いつでも使えるA・Bがクリアーであるという「序列可能な学び合い」になることを話し合うことで、数学的な見方・考え方をさらに磨きます。
2 事後研究会
事後研究会では、様々な意見が出されました。
学習指導要領における「図形領域」のねらいは、性質や構成の仕方、軽量の仕方などを「考察すること」が大きなねらいであり、本時も「分度器を用いた測定の仕方を基に、考え・説明する」ことがねらいです。
単元のねらいと本時のねらいを正しくとらえ、教材分析と児童分析により、子どもたちにどのような学びをコーディネートするか……。
数学的価値であるCLEARをもとに学び合いをコーディネートするには、本時の学びは「独立」「序列」「統合」「構造」どのパターンなのかによって、教師のコーディネートが変わってきます。
今年度の研究テーマ「数学的な見方・考え方を磨く ~対話的な学びを通して」に向かって、今後も研究を深めていきます。