【イベントレポート】Eat-Pray-Think 〜イスラム教×神道~食べて祈って考えよう!
2018年12月9日(日)に開催したReligion Now!『Eat,Pray,Think 〜イスラム教×神道~食べて祈って考えよう!宗教ってナンダロウ?』についてレポートします!
開催趣旨
世界に19億人いる「イスラム教」と私たち日本人最古の宗教である「神道」、2つの宗教の文化的体験を通じて「宗教ってナンダロウ?」を考え、体験するイベントです。
東京五輪が1年半後に迫る中、訪日インバウンドは過去最高に届きました。中でもムスリムの訪日増が著しく、特にアジア圏を中心としたムスリムが多く日本へ訪れています※1。
宗教の文化的側面における実体験、考える場を設け「宗教とは一体何か?」について、考えてみたい。そう思いこのイベントが企画されました。
日本人にはあまり馴染みのない「イスラム教 」しかしながら世界的にはイスラム教徒の人口は2100年にはキリスト教を抜き、世界最大の宗教になるとも言われています。
日本古来の「神道」という、日本人に一番馴染みのある宗教との習慣の違いや由来。相互の文化体験を通して理解する事により「宗教」をより身近に考えられる場を生み出せるのではないか?多くの日本人におけるキッカケ作りが目的となります。
※1平成30年5月22日 観光庁 観光戦略実行推進タスクフォース「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」より抜粋
■参拝体験
・東京ジャーミイへ参拝(モスクを見学)
・乃木神宮へ参拝(祈祷を受ける)から、日本の宗教儀礼を学習する。
■イスラム食と神道食体験
・ハラルフード(夕食)を食べながら、食と宗教の関連について学習する。
■ワークショップ
・祈りと食事を通して、宗教文化を意識したおもてなしについて考える。
誰が企画しているの?
このイベントは日本青年国際交流機構(International Youth Exchange Organization:IYEO)に所属しているメンバーによって企画されました。内閣府国際交流事業(世界青年の船、東南アジア青年の船、韓国航空機派遣団など)に参加したOBで構成されており、OBたちのつながりでこういった自主企画が開催されることも多々ございます。
IYEOについて、および内閣府国際交流事業につきましては下記のURLをご参照下さい。
それでは、イベントのレポートに移ります!
Think ~ムスリムについて考えよう~
まず、イベントは代々木上原にある東京ジャーミィに集合してスタートしました。
学生から社会人、小学生まで幅広い参加者が集まり、主催から簡単な開催趣旨の説明があった後にイベントがスタートしました。
まず、東京ジャーミィの説明員の方から簡単にモスクに関する説明があった後、モスクの中に入り実際にお祈りをしている現場を体験しました。
筆者も東京ジャーミィに来たことも、お祈りを体験することも初めてでしたが、説明の中で特に以下のことが印象に残りました。
なぜ5回お祈りをするのか
イスラム教にとっての「神」の存在について(一神教、偶像崇拝など)
なぜ一列に並んでお祈りをするのか
ムスリムにとっての方角、星、数字について
等々..
お祈りの前に流れるアザーンは、言葉の意味こそ分からなかったものの、耳から入り、身体に染み入るような、不思議な心地よさを感じました。
参加者はこうしてイスラム教の方がどのように、何のために祈るのかを、説明と体験を通じて理解を深めました。
これらの説明については東京ジャーミイにて見学会を実施しているので、ぜひ参加して生の説明を聞いてみてください!
Pray~ご祈祷を通じて理解する神道~
イベント後半の乃木神社では、神主の資格を持つとみーが解説しました!
神社は、神道の神様が住んでいる場所であり、イスラム教の宗教施設であるモスクと同じく、日本には全国で8万社に及ぶ神社があります。
鳥居、手水の説明を終え、本殿へ。ここでは「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」の説明を受けたのち、実際に正しい作法に基づきお参りを行いました。この参拝の意味は、神様に自分が来たことを知らせるとのこと。ちなみに、この参拝の仕方は一般的なもので、神社によっては作法が異なる場合があります(出雲大社では二礼四拍手一礼。)
また、「これらは普段なにげなく神社で行っている作法だと思いますが、ムスリムの方や、日本人でも一部の宗教団体に属している人、外国人をガイドする際は、外から見たら、宗教行為のひとつではあるので、強要はさせないでください」と、実際にムスリムの方がいた場合にどうしたらいいか、神職の立場からアドバイスが行われました。
今回は、参加者全員で神恩感謝と良縁祈願でご祈祷しました。ご祈祷は本殿の中で神職が参拝者の方々に代わって日々の感謝やお願いなどを祝詞に込めて奏上し、ご加護を祈る儀式です。手順としては、修祓(しゅばつ)というお祓いの儀式を行ない、祝詞という祈願が書かれた紙を神主さんが読み上げ、玉串(たまぐし)をお供えしてお参りし、最後に神饌(しんせん)という神様にお供えしている食事(今回はお酒)をいただくという流れでした。
※残念ながら写真撮影はNGであったため、割愛します。。
Eat~ハラルフードから考えるムスリム~
参拝終了後、六本木にあるハラルフードを扱うお店にて、ハラルフードを食べながら今回のイベントを振り返りました。
ここから日本で働いている、主催者の友人であるムスリムの方々も合流。参加者とともに、交流を深めました。会話の中では、なぜ日本に来たのか、から始まり、日本語を学んだきっかけ(特撮映画が好きだったから日本語を学び始めた..!!)や、日本に住んでいて不便を感じるところなど、ムスリム、日本の文化に関する意見交換を通じ、お互いの差異や共通点を話し合いました。
また、今回の一連のイベントを通じ、疑問に思ったところを実際にムスリムの人に聞く、といったところが非常に有意義であったと思います。筆者もお祈りを5回する意味を聞いて理解しつつも、そこまで厳密に5回もするものなのか、と率直な疑問を投げかけたところ、「人も朝、昼、夜の3食とは別に、おなかが減ったら間食をするでしょ?そしたら5回ぐらい身体に食べ物を入れてエネルギーにしているわけだけど、お祈りも同じ。5回のお祈りを通じて、身体にエネルギーを補給しているイメージ。」と言われ、なるほど..と思わず腑に落ちました。直接的な交流をする機会も少なかったため、こうした機会を通じて新たな友人ができたこともとてもうれしかったです。
ちなみに、参加者でありムスリムである方を囲みハラルフードを食していたところ、運ばれてきたエビが食べれないとのこと。あれ、イスラム教ってエビもダメなんでしたっけ?と無邪気に聞いたところ、「あ、アレルギーなんです」と一言。改めて、無意識に偏見もって話しているな~と感じた次第でした。差異もあれば、共通点もある。こんなスモールトークでも寛容に答えてくれたあの方に感謝です…
終わりに
筆者もイスラム教、神道について知識が乏しかったのですが、実際に説明を通じ、経験をすることで身体に知識をしみこませたような感覚を味わいました。参加者も多種多様であり、交流を通じ非常に有意義な時間を過ごせたと思います。参加者からも、またこういったイベントを開催してほしいと言われ、ご満悦のトミー。
今後ますます海外の人の日本への往来が増え、必然的に異文化と触れ合う機会が増えることが考えられます。そうした中で、こういったイベントを通じ実際に宗教を体験する、理解する、そして意見を交流し、正しい理解を身に着けていくことこそ、本来の意味での「おもてなし」につながるのではないかと思います。
そもそもなぜムスリムに関連したイベントを開催したのか。主催者の一人は、「参加した国際交流事業の中でのムスリムの友人との出会い、共感、日本で感じた現状を見て、こうした理解をするイベントが必要なのではないか」、と仰っていました。問題意識を具現化し、解決する。限られた時間のなかでここまでのクオリティのイベントを仕上げるのは、なかなか簡単なものではないかと想像します。
プラットホームを作る立場として何ができるか、経験を還元する仕組みを作るにはどうしたらいいか、真剣に向き合って形にできるようにしたいと思います。
以上、イベントレポートでした!