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タイの菜食週間「ギンジェー」について

サワッディーカー、今年もこの時期がやってきました。「ギンジェー」です。旧暦の9月1日からスタートするのですが、2021年(仏歴2565年)は、10月6日~14日までの9日間、厳格な人は浄化のために5日から始めます。この時期になると、タイ人のあいさつが「ギンジェーしてる?」になり、スーパーや屋台にも黄色い旗が目立つようになります。全身白の服の方も多く見られます。

101015チャルンナコン

「菜食週間」とか「ベジタリアンウィーク」とよく言われますし、私もそう書くことも多いのですが(そもそもこの記事のタイトルが…)、「ジェー」は、中国語の「齋」という言葉からきてるので、正しくは「齋食」なんだと思います。【斎〔齋〕】は、日本語ではサイ、いみ、いもい、いつき、いわい、とき、などと読みますが、その意味や使い方は次の通り。

1 神仏を祭るとき、心身を清める。ものいみ。「斎戒/潔斎」
2 祭事を行う。「斎主・斎場」
3 ものいみや読書などをする部屋。「山斎・書斎」
4 精進料理。僧の食事。とき。「斎食(さいじき)」
      https://www.weblio.jp/content/%E9%BD%8B

ギンジェーは、1と2と3がミックスされたようなイメージですね。肉や魚を食べずに菜食すればいいのかというとそんな甘いものではないんです。卵・乳製品を含む動物質が一切ダメなのはもちろんですが、五葷(ニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウ、アサツキ)と呼ばれるニオイのきつい野菜やパクチーも食べてはいけないことになっています。トウガラシはOKですが、あまり刺激が強すぎるのもよくないとされていますので控えめに。ショウガや他のハーブはOKで、どうやらニオイのきついもの、精がつくものはダメということのようです。煙草やお酒など嗜好品もダメなんですが甘いものはOK。
体を浄化したいなら砂糖菓子や塩っ辛いのや油もなんとかしたら~? と思うのだけど、そこまで厳しくはできないみたいです。その他、言われている決まりごとなどをまとめてみると、次の通り。

(1) 身体を清潔にし、品よくふるまい、白い服を着る。
(2) 食事は、ギンジェーをしている人が作ったもので、ギンジェーをしていない人とは調理器具や食器も別々にする。
(3) 性的行為をしない。
(4) アルコールを摂取しない。
(5) 喪中の人、妊婦、生理中の人は参加しない
(6) 嘘をつかない、殺生や盗みをしない、悪事を働かず、善い行いをする

まあ、(6)は当然として、これを厳しく守る人は年々減ってきてて、年配の人に限られてきているような…。若い人は、願掛けでこの時期だけベジタリアンって人が多いですね。知り合いのタイ人は、毎年何かを誓って始めますが、うっかり何かを口にしたり、耐え切れずに食べてしまったりで、いつと途中で「ギャーッ!」って声が聞こえてきます。彼女は中華系なのでがんばってますが、他のイサーン出身の子たちは無視って感じ。タイ全土と思ったけど、そうでもないようです。

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ギンジェーをどう過ごすかはわかったわけですが、由来をタイ人に聞いても知らない人が多く、サイトで調べてもよくわからないんですよね。ある年の新聞に「9つの説があるが誰もどれが正しいのかわからない」とありました。やっぱわからんのかい! そしてその9つの説も7つしか見つからないんですけど!? タイでは「9」が縁起がいい数字なので、テキトーに書いたんじゃないの~?とちょっと疑いの目…。その新聞、そこまで書いたなら9つ並べたらいいのにねぇ。とりあえず、わかっている「事実」を確認してみましょう。

(1) キンジェーは、プーケットを中心とする南部からタイ全土に広がった。
(2) 19世紀初めに中国福建省から多くの中国人がプーケットに移住してきた。
(3) 中国人の多くは、錫鉱山で労働しながら生活し、福建省の信仰や慣習を踏襲していた。
(4) 「ジェー」(齋)という発音は、福建省の発音である。

由来の中でよく言われている説、4つしかみつけられませんでしたが、、、

(1) 偉大なる九皇大帝のお誕生日
(2) タイに移住した中国人たちが、故郷で皇帝が亡くなったため喪に服した。(九皇大帝のこと?)
(3) 多くの錫鉱山労働者が犠牲となったためその弔い
(4) 錫鉱山労働者の慰問に京劇団がやってきたが、原因不明の病気になったため、九皇大帝に願掛けした。

九皇大帝というのは、道教ですかね? 華僑に信仰されている神様だそうで、九皇爺とも呼ばれています。その墓(遺体?)が福建省にあるそうで、やはり何か関係がありそうです。禁葷食(齋食)も道教の影響かもしれません。たしかにバンコクのギンジェーでも「九皇大帝」の文字をみかけます。プーケットには廟があるようで、プーケットのベジタリアンフェスティバルは有名ですね。祭りでは、頬に刃物を突きさしたり、火の上を歩いたりなんて苦行を見せたりするのですが、これは、九皇大帝がのりうつっただの、修行の成果をみせるためだのとも言われています。でもなんか同じ時期のヒンズーのお祭りがごっちゃになってんじゃないかと思ってみたり…???

そういえば、2年ほど前に読売新聞の方が記事にしてくださってました。大体同じようなことかと思いますが、こちらはプロの記事なのでよかったらご一読を。SALADeeのメニューも紹介していただいてたんですよね~。
166億円の経済効果、タイの菜食週間「ギンジェー」を体験してみた

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