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パリで蓄えた、お洒落前菜のアイデア集
パリのレストランを訪れると、はっとするようなおしゃれ前菜が出てくることが多々あり、これまで料理ではメインにばかり注目していた私にとってはコペルニクス的転回でした。
料理をするとき、私はいつも無意識にメインに注力してしまい、これまでとりあえず草を切って添えるような前菜ばかりを量産してきました。
思えば、日本の一般的な家庭料理では(懐石料理などは除く)、メイン料理の重要性が高かったように思われます。サラダやお漬物はまさにメインの引き立て役で、申し訳程度に添えてある場合も少なくありません。
一方フランスや少なくとも周辺ヨーロッパ諸国の文化では、前菜がより重要な役割を担っている気がします。どんなに庶民的なレストランでもまず前菜を食べ、前菜を片付けた後メインが運ばれるというルールになっていますし、カジュアルなホームパーティでも、遅れて到着したイタリア人の友人が「いまは前菜かメインか」と問うてくるほど、前菜とメインは独立した事象です。だからか、こちらの文化圏では前菜が一つの品として成立している気がします。
お洒落前菜をつくれるようになるため、今週数日間は前菜をメインに料理をすることにしました。
1. 焼きズッキーニのサラダ
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ズッキーニはフランスでかなり安価に手に入る野菜で、味方につければかなり財布に優しい食材です。今回はズッキーニを中心としたサラダを、インスタグラムで見かけたレシピ(@alfiecooks_)をベースに作りました。見た目も味も非常に美味しかったです。
塩胡椒とオリーブオイルでマリネしたズッキーニをグリル焼きし、その間にオリーブオイル・砂糖・塩・レモンの搾り汁・紫玉ねぎ・唐辛子パウダーを使ったドレッシングを作ります。ズッキーニが冷めたらお皿に敷き詰め、上にバジル・リコッタチーズ・ドレッシングをかけて完成です。
唐辛子のピリッとした辛さとレモンの酸味が、グリルによって引き出されたズッキーニの甘さといい調和をしていました。
2. モモのカプレーゼ
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パリでは夏になるといくつかの種類のモモがスーパーに並び始めます。平たいモモや黄色いモモ、白いモモなど種類は多岐にわたります。日本では高級食材とみなされているモモが安価(時によっては1キロ2ユーロ)に販売されているとつい手に取ってしまいます。
今回は買い込んだ黄色いモモにレモン汁を絡ませ、いつものカプレーゼに入れ込んでみることにしました。
いつもなんとなくカプレーゼは味が決まらない気がしているのですが、質の高くないトマトとモッツァレラが元凶であることが、今回熟した黄色いモモのはっきりとした味により明らかになりました。
カプレーゼは塩と胡椒、オリーブオイルしかつかわないので、素材の良さが非常に重要と思われますが、これまで薄くて水っぽいトマトとモッツァレラ(今回はスーパーで最安値のものを使用)だったため、味がぼけてしまったのだと思います。次回はトマトを抜いて、モモと少し課金したモッツァレラで試してみようと思います。
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3. 焼きズッキーニとレッドフムスのサラダ
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これもインスタ(@alfiecooks_)で見つけたレシピです。
レッドフムスは、いわゆる伝統的なフムス(ひよこ豆とレモン汁、ニンニク、塩、ねりごまを混ぜたペースト)に、30分ほどトースターでグリルした赤パプリカを投入して攪拌してつくったものです。
その上に焼きズッキーニを並べ、パセリ・唐辛子のチップ・オリーブオイルで飾りつけしました。
結果として、パプリカの香ばしい香りと甘みがフムスに加わって非常に美味しかったです!
フムスはアラブ系・ユダヤ系の方が多いパリでも存在感のある前菜です。パリのスーパーでもいろいろな種類のフムスが売っています。アレンジしたのは今回が初めてでしたが、今後はビーツやグリーンピースなどで色付けを楽しんでみたいと思います。
4. モモとリコッタチーズのカナッペ
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レシピも味も見たそのまんまです。モモは並べる前にレモン汁に潜らせると味が際立つのでおすすめです。次回はモモをグリルしてみようかと思います。
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ハハ(乾いた笑い)
5. 砕いたキュウリのザシキ(ギリシャソース)
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ブルガリア人の同級生がホームパーティで作ってくれた、ディルとにんにくたっぷりのヨーグルトスープが爽やかな美味しさだったのを思い出し、風味が近いザシキ(tzatziki)のサラダをつくりました。余談ですが、このブルガリア人の同級生は日本に留学していたことがあるそうで、彼の母国が日本において「ブルガリアヨーグルト」と「琴欧州」からなるイメージを組成されていたことに驚いたそうです。
Youtubeの下記レシピを参照しました。ギリシャヨーグルトにたっぷりのディル・にんにく・塩胡椒を混ぜたザシキに、砕いて塩をまぶしたキュウリ、さらにマスタード・塩・レモン・はちみつをかけたものです。硬い食感も欲しいなと思ったので、追加で砕いたアーモンドを振り掛けました。
(私の料理実験に付き合わされてきたせいか)ここ数年で味覚が急成長した夫が嬉しそうに食べていて、私も嬉しかったです。
6. サーモンとアボカドのタルタル
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前菜の王様といった立ち位置のサーモンとアボカドのタルタル、これを見ないビストロはあまり多くないですし、日本の家庭でも結構普及している印象です。作り方は数多存在しますが、今回はサーモンにしょうゆ・ケッパー・レモン・オリーブオイルを和えるのに加えて、隠し味で友達がお土産で持ってきてくれた柚子胡椒を入れてみました。しかし、柚子胡椒とケッパーが喧嘩してケッパーが圧勝していたので、次回はどちらかにしておこうと思います。
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