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フジミツ タスク
2020年11月13日 22:01
「ねえ、レイ」 誰よりも透き通った声で名前を呼ばれた僕は、ゆっくりと後ろを振り返る。僕の視線の先に佇む少女は、いつも哀しそうに笑い、辛そうに話をする。まるで彼女は、自分が紡ぎ出す言葉は全部間違っていると、確信しながら生きているみたいだ。「この世界に、神さまはいると思う?」 静かだけれど、真っ直ぐに僕の元へ届く少女の言葉は、いつだって心地良かった。「僕は、いないと思ってる」 出来る限り彼女
2020年7月7日 17:28
私が高校に通い始めて三年目になるが、登下校の際、毎日気になっている場所があった。それは、住宅街から少し外れた所にある小さな教会だった。 家から学校まで、歩いておよそ二十分かかるが、その道のりの中程に教会は位置している。朝も夕方も思わず目線を送ってしまうその場所は、どこかこの世のものとは違う世界に思えていた。 けれども、興味を惹かれるだけで足を踏み入れたことは一度もない。自分と今まで関わりのな