ITパスポートが院内で取得できる新潟少年学院への訪問@新潟県長岡市
2023年11月16日、育て上げネットでは、企業の方々をお招きして新潟少年学院スタディツアーを開催しました。コロナ禍前には年数回のツアーを開催してしましたが、昨年度くらいから徐々にツアー開催ができるようになってきました。
院長をはじめ、法務教官や現場の先生方のご丁寧な説明、見学対応いただきありがとうございました。
少年院とは
少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、その健全な育成を図ることを目的として、矯正教育や社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。少年院は、少年の年齢や心身の状況により、第1種、第2種及び第3種の3つの種類に分けて設置されており、どの種類の少年院に送致するかは、家庭裁判所において決定されます。(法務省HP参照)
新潟少年学院は1949年に設置された新潟県唯一の少年院で、地域柄もありスキー訓練や雪上訓練などが行われています。また、高卒認定試験コースも設置されており、在院中に高卒認定資格を取得することが可能になっています。また、特殊詐欺再発非行防止指導とICT技術科に力を入れているとのことでした。
特殊詐欺再発非行防止指導
近年、詐欺割合は上昇傾向にあり、特に闇バイトや受け子/出し子といった言葉と共に特殊詐欺の問題が近年顕著になっています。
そういった経緯で入院した少年に対し、新潟少年学院では上記の要項で指導を行っていました。
特に「②被害と被害者について知る」では演習も取り入れ、被害者からの声を聞くことで自分の認識とのズレを感じる場になっているそうです。自分の境遇も含めて考えを咀嚼することが重要だと感じました。
ICT技術科
「ICT技術科」は昨年4月から設置されており、プログラミングなどITの専門知識を学び、国家試験である「ITパスポート試験」を受験できるよう、学習を進めています。
新潟少年学院では全国初のMOS試験導入が行われ、IT関連業種への就労希望者が増加傾向にあるといいます。カリキュラムにはPCの基礎講座から映像編集、プログラミング、まで含まれ、ITに対して多角的なアプローチを取っていました。(先生方も資格取得などに励んでおられました)
今後はデザインやVBAなど、より多様なプログラムを行うことで、日々変化する求職市場まで見据えた指導が行われていくようです。
少年院だけで完結しない関わり
今回の訪問で感じたことは、少年院外との関わりを積極的に活用しようとしている院だということでした。
私どもの訪問もそうですが、院内で採れた野菜や陶芸作品を持って地域のマルシェに参加したり、地域食堂に野菜を提供したりといった関わりが印象的でした。
また、ICT技術科を設置することで、出院後に社会と繋がるための学びが多くありました。
高卒認定やITパスポートもそうですが、プログラミングを学び論理的思考の獲得だけではなく、院を出たあとも就労したり、生きることが必要になるんだという、中長期を見据えた指導だと感じました。(院内でお金の教育も行われていました)
IT企業の方との意見交換もさせていただき、新しい技術、新しい職業の出現の話もさせていただきましたが、引き続き現状に即したプログラムの構築を為されていくと思うので陰ながら応援しています。
今後も、スタディツアーを通じて、「知る」ことを通じて本領域の現場を理解できる機会を作っていきます。
応援団を募っています
育て上げネットでは、「少年院を出院した子どもたちに寄り添い、更生自立を支え続けるプロジェクト」を通じて、月額1,000円の応援者を募っています。ぜひ、応援団の一員として、少年の更生自立を応援してください。