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#4 かわいい味噌汁って何か?


かわいい味噌汁 原宿味

 映像もナレーションもブッ飛んでいる。外国から見た“日本のカワイイ”の姿であり、実像とはちょっと違う“創作物の中のヘンな日本”。だから映像だけでは難しい。でも、ナレーションが全体の説得力を格段に上げている。
なぜ“かわいい味噌汁”なのか?なぜ“かわいい”と味噌汁を掛け算したのか?
 以下、佐藤雄介さんによるコピーの一部。

 あれ?私たちの「かわいい」は、どこ?それは、私の意思など知る由もなく、静寂の中で、あたたかな何かが芽吹いた。時空を越え、形を変え、日本というDNAに組み込まれた、私だけの真実。そう。「かわいい」は、ここにあったのだ。

  順を追って、僕なりの解釈を話したいと思います。


広告マンを数珠つなぎに知っていく

 CMは本当に沢山の人が関わっています。僕はまだ現場を見たことはないけれど、現場に出たらきっと実感するんだろうと思っています。昨日のPS4のコマーシャルもそう。そんなCMの座組みから名前を一人一人検索していくと意外な発見があるんです。


 “かわいい味噌汁原宿味”を見つけたのはも何気ない検索がきっかけでした。PS4スローガン広告の第二弾CM演出をされている鎌谷聡次郎さん。彼の記事が出てきました。“かわいい味噌汁”はCDを佐藤雄介さんがつとめ、コピーも彼によるものです。(ちなみに佐藤雄介さんは「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」シリーズの仕掛け人です。)


 そしてコトリフィルムの鎌谷さん、佐渡恵理さんが2人でディレクションを行ったようです。(スタッフリストでは肩書きは演出なのですが、記事を見るかぎり仕事内容は映像のディレクションなんですよね……)
 カワイイを映像に落とし込むにあたっての意見のすり合わせ、カワイイとは何かひたすら追求していく姿は純粋に楽しそうと思いつつ、きっとすごくハードだったんでしょう。
 とっても面白いので記事を是非読んでみてください。日本の視聴者に共感、感情移入させないためにハンガリー人をキャステングしよう!という話なんか発想が最高。


“かわいい味噌汁”ってどんな味?海外からも注目されるマルコメCM「世界初かわいい味噌汁/Definition of Japanese Kawaii」。監督の鎌谷&佐渡氏をインタビュー!


“かわいい味噌汁”はどこがすごいのか?

 一言でいうと、「抽象化の末に、かわいい=味噌という表現にたどり着いたこと」です。“かわいい”と“味噌”の間には切っても切れない物凄い因果関係があったんです。

“かわいい”っていう文化は、変化をしながら日本人とともに歩んできたと思うんです。日本の大切な食文化である、味噌も太古からの調味料であり、日本人とともに歩んできた。

 “かわいい”そのものを映像化するのは難しい。考えてみれば分かりますが、かわいいって相対的で、主観性が強いものだからです。つまり、皆が100%賛成するかわいいはない。だから、かわいいが何なのかなんて答えられません。


 このCMで描かれているのは、かわいいが何かではなくてかわいいを追い求める女の子です。そして追い求めた結果、一つの結論にたどり着きます。ちょうど女の子が壁を突き抜けるシーンを境に気付き始めます。
 “かわいい”は私たちの内側にあって、昔からDNAレベルで組み込まれていたんだ!と気づくわけです。これって味噌汁も同じで、日本人の中には味噌汁を美味しいって感じる血液が流れている。

そう。「かわいい」は、ここにあったのだ。

 鎌谷さん・佐渡さんのディレクションありきなのか、佐藤雄介さん主導なのかは分かりません。しかし、この全く異なる二つのものの境界を繋ぐコピーの鮮やかさには唸りました。コピーってこういうことですよね。

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